「『レオン2』になるはずだった映画」コロンビアーナ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
『レオン2』になるはずだった映画
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『レオン』の続編『マチルダ』として製作される予定の脚本が、いろいろ大人の事情があって実現せずに、もういいやと『レオン』から独立させて作られた作品。なのでベッソンの過去作の焼き直しのように見えるのは不可避であって、逆に言えばベッソンが得意技を披露している安定のベッソン印とも言える。
とりあえず単体として成立させるために冒頭から「レオンの出て来ない『レオン』」を一気呵成に描いて見せる。まるで2本の映画を1本にまとめたみたいな力技に、いかにも興行師的な山っ気を感じて商魂のたくましさに笑ってしまう。しかしアクションに全力で身を投じるという点ではゾーイ・サルダナは申し分なく、子供時代を演じたアマンドラ・ステンバーグともども、借り物ではないキャラを成立させている。
むしろ『マチルダ』が微妙な形で実現してコアな『レオン』ファンを失望させるより、幸せな結果だったと言えるのではないか。いや、幸せというほどには成功した作品ではないかも知れないが、本家が作った亜流という、作家至上主義とは相容れないジャンル映画の良さはあると思っている。
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