ダーク・フェアリーのレビュー・感想・評価
全11件を表示
ある意味、ダークな「となりのトトロ」
久しぶりにどっぷりと映画世界に浸りました。画面を凝視し過ぎて、登場人物並みに怯え、飛び上がって叫び出しそうになりました。床にぶちまけるポップコーンなんぞを持っていなくてよかったです。
艶やかで底知れぬ陰影、色鮮やかな草花やきらめく水面の光など、みっしりと密度ある美しい映像で綴られるゴシック・ホラー。いわゆるJホラーとはまた異なる味わいです。ラテンが誇るチャ・チャ・チャ三兄弟の一人、ギレルモ・デル・トロの面目躍如! 心地よく怖がらせてもらいました。
キャスティングもなかなかです。不敵とも繊細とも映る、こぼれ落ちそうな黒い瞳の少女はもちろん、あの「メメント」のガイ・ピアース、「ケイティ」のケイティ・ホームズ…と訳ありの薄幸そうな顔ぶれが揃い、過去の作品の影がちらついて色々な想像・妄想が広がりました。さらには、「見えそうで見えない」怖さに留まらず、「小さいの」がしっかり登場。その気になれば叩きつぶせるネズミなみの小ささ、それなりの愛嬌さえあるものの、闇から群れをなして登場すると迫力満点…。ゾクリとします。少々古いですが、グレムリンもあっさり一蹴されそうな勢いでした。
母親から離された少女、古い屋敷、豊かな自然、そこに昔から住むモノたち…と、実は「となりのトトロ」と主要素が共通する本作。この機会に併せて観ると、新たな発見も加わり、相乗的に楽しめるかもしれません。
どこか憎めない妖精
トゥース・フェアリーという伝説は日本ではあまり聞かないかも知れないが、あちらでは古くから伝わる物らしい。本作の第一の感想として、「ギレルモ・デル・トロ」らしい作品だった。彼が好みそうな世界観であり、なぜ監督に回らなかったのかが不思議な位だ。過去にも「パンズ・ラビリンス」等を手掛けた監督だが、それに引っ張られるような作品では無い。一応ダークファンタジーというジャンルに当てはまるというところは共通だが。ホラーまではいかない恐怖感のため、そこを期待すると物足りないだろうが、世界観に引き込ませるのは流石の一言である。
妖精が程良く怖がらせてくれながら、開始一時間程で正体を表す。その間は気難しい一人娘と父親、その恋人の人間模様が描かれる。丁寧な描写であり、この家族が今どんな状況に置かれているのかは良く伝わるが、やや丁寧すぎる印象も残った。物語に新しいエッセンスが加わっている訳ではないが、バランスの取れた作品である。出演者らが豪華だが、本作に「華」を感じないのはダークな世界観だからなのだろうか。
過去の名作とはこちらも比べようとは思っていないが、本作の鑑賞後に「パンズ・ラビリンス」を観てしまったのは言うまでもない。
娘一人にしちゃダメでしょ...
最所から娘に対する愛情が低すぎないか?と疑問を持ちながら見ていました
てか雇い人(名前が分からない)が大怪我をしたのにも関わらず父親の無関心さがすごい。
娘が恐怖で怯えているのに仕事にしか関心がない父親よりも、急に娘がで来た父親の恋人の方が娘に対して親切で最後は切なくなった...
てか、娘の精神状態が良くないって分かっているのに一人にするのが多すぎる
医者からもこんな幻覚は初めてとか言われながらも一人にしてるし...本当に娘のこと愛しているの?
家に住み着く魔物系のお話では よくあるパターンかな。 最初の5分位...
家に住み着く魔物系のお話では
よくあるパターンかな。
最初の5分位が一番怖かった。
前の住人の芸術家をメインに撮った方が良かったのでは
子供向けのホラーだった・・・・
丁寧な作りの作品で、ホラーチックな色彩はいいが、いかんせん肝心の魔物(妖精orノーム?)が全然怖くない。ていうか、弱いし、かわいい位。それに反して、主人公の少女がかわいくないので、感情移入出来なかった。あっ、みなさん誤解しないで下さいね。そういう趣味ぢゃあござんねん。見てもらったら分かりますってば。
どうしても「パンズ・ラビリンス」と比べてしまう
1973年のTV映画「地下室の魔物」を、ギレルモ・デル・トロの脚本とプロデュースでリメイクしたファンタジー・ホラー。
両親が離婚し、父アレックスと父の恋人キムと共に郊外の屋敷に引っ越して来た少女サリー。ある日サリーは地下室を見つけ、得体の知れない魔物を呼び起こしてしまう…。
歯の妖精トゥース・フェアリーが題材…なのだが、日本人にとっては馴染み薄い。
先日見たドリームワークス製CGアニメ「ガーディアンズ 伝説の勇者たち」では善の妖精として登場していたのに、本作では魔物。いい妖精なのか恐ろしい妖精なのかもイマイチ分からず。(誰か教えて〜!(笑))
デザインはなかなか。本当に恐ろしい妖精が居たらこんな感じかなとさえ思う。
“少女”と“地下室”と“魔物”…。
うっすらデル・トロの最高傑作「パンズ・ラビリンス」を彷彿させる。
ただ、「パンズ・ラビリンス」と決定的に違うのは、少女の背景。
「パンズ・ラビリンス」のオフェリアは母の病気と独裁的な母の再婚相手に押し潰されそうな悲しみを背負っている。
それに対し本作のサリーは、両親の離婚と父の恋人への不満から勝手に不幸を背負い込んでいる。
それが多感な少女にとってどれほどの心の傷になるか分からないでもないが、「パンズ・ラビリンス」と比べるとどうしても深みに欠ける。
雰囲気も悪くない。ハッピーエンドではないラストもいい。
それだけに…後一歩惜しい作品。
凡作
ギレルモ・デル・トロでモンスターものなら見なくては、と思ってみたが
意外にも凡作であった、パンズ・ラビリンスと比較して見ると駄作といってもいい
子役がブサいのは狙ったのだろうか
キーキーうるさいのでいつフェードアウトするのか期待してしまった
もっと賢いガキなら面白かったのだが
モンスターのデザインはさすがであったが
やはりヘルボーイやパンズ・ラビリンスに比較してしまうと
見た目的にかなり抑え目で恐怖感が物足りない
よくある道具を使って攻撃してくるのはかなり恐怖だが
最後にあんな強攻策を取ってくるならさっさとやればよかったのに
あとダイナマイトでもなんでも叩き込んで根絶すればよかったのに
なんであんなオチなのか
いろいろ納得行かない
駄作ではないけれど、傑作だった『パンズ・ラビリンス』と比べてしまうと物足りなさを感じてしまう。
★★★☆☆
昨日の試写会は試写状を紛失して、同行者の方には大変ご迷惑をおかけしました。小地蔵だけ試写会仲間に助けられて参加することができました。
古い歴史のありそうなお屋敷を舞台に、こころにトラウマを持った主人公の少女が謎の声の持ち主とこころを通わせる。しかし、その声の持ち主はちょっと怖いダーク・フェアリーだったという点では、『パンズ・ラビリンス』を踏襲しています。しかし、そのぶん既視感たっぷりで新鮮見を感じませんでした。
日本人にとって子供の歯や骨を好物とする「トゥースフェアリー」という存在になじみがない分、符丁として怖さを連想できないという民俗上の違いも大きいと思います。でも地下室の魔物がいたというくらいの話は、ホラーの定番のようなもの。ギレルモが脚本と製作を務めているのなら、もっと彼らしいファンタジーや人間ドラマを打ち出して欲しかったです。特に主人公のサリーが抱えた両親の離婚のショックからくるトラウマがあまり活きていないように思えます。もちろん地下室の魔物の存在を作に気づいたサリーのことを離婚のトラウマのせいにして全く信じようとしない父親ハーストとの葛藤は描かれています。そのためサリーは家出までしようとするのです。ただそうしたサリーの孤独感も『パンズ・ラビリンス』ほどこころが切なく感じさせるところまでは行きませんでした。
ギレルモ作品のキモにあたるのは、主人公の少女の薄幸さと深い孤独感にあります。そこをきっちり描くことで、主人公がこころを満たすために、たとえダーク・フェアリーであっても「友達」として受け入れてしまうというのが基本線。だから主人公の少女のエモーショナルな表現とそれがどう変化していくのかが大事なところなのです。
ただ駄作というのではありません。どうしても傑作だった『パンズ・ラビリンス』と比べてしまうと物足りなさを感じてしまうのです。本作の売りが、いま人気急上昇の子役イリー・マディソンの絶叫度というのは、ちょっとアピールポイントが違っているのではないかという気がします。確かに業界最大音量との評判のイリー・マディソンの『キャー』と叫ぶ音量は凄まじかったですけれど(汗)。
それでも幻想的で絵画的な映像美は見どころでして、日本から取り寄せた鯉がおよぐ庭園の美しさや、豪華なブラックウッド邸内など恐怖のお伽話の世界を幻想的にオブラートしていたのです。また正体不明の何かが闇に蠢く前半の描写は、さすがに「BATMAN」の作画を担当してきたトロイ・ニクシー監督だけのことがありました。暗闇を使っての恐怖感を盛り上げてくところは巧みです。
残酷なシーンも極めて少なめなので、ホラーは苦手だけどちょっぴし怖い映画も覗いてみたいという方にはピッタリでしょう。
●Introduction
田舎の屋敷に住み着く魔物の恐怖を描いた、知る人ぞ知る傑作TV映画「地下室の魔物」(73)をリメイクしたサスペンス・スリラー。欧米に伝わる邪悪な歯の妖精「トゥースフェアリー」をモチーフに、両親の離婚により郊外の古めかしい屋敷に引っ越してきた心を閉ざした少女とその家族が体験する未知の恐怖を描いている。この企画を長年温めてきたという、『パンズ・ラビリンス』で知られる鬼才ギレルモ・デル・トロが脚本と製作を務め、「BATMAN」の作画なども手掛けるコミックアーティストのトロイ・ニクシーが本作で監督デビューを果たした。その幻想的で絵画的な映像美は見どころで、衝撃と戦慄に満ちたこの“身も凍るおとぎ話”の効果的な味付けになっている。
TVムービー『地下室の魔物』のリメイク。欧米に伝わる子供の歯を食べる邪悪な妖精“トゥースフェアリー”をモチーフにしたショッキング・スリラー。製作・脚本は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ。監督は、イラストレーターのトロイ・ニクシー。出演は、「バットマン ビギンズ」のケイティ・ホームズ。
建築家アレックス・ハースト(ガイ・ピアース)はロードアイランド州プロヴィデンスの郊外で、家主の失踪によって100年近く放置されていた屋敷ブラックウッド邸に、助手で恋人でもあるインテリア・デザイナーのキム(ケイティ・ホームズ)と住み込み、修復に携わっている。彼には、ロスで暮らす別れた妻と小学生低学年の娘サリー(ベイリー・マディソン)がいた。アレックスとキムは、両親の離婚で心を閉ざしたサリーを屋敷に呼び、一緒に暮らし始める。屋敷に来たサリーは、通風孔の奥から何者かが話しかけてくるのを感じる。翌日、サリーは地下室を見つけ、アレックスに伝える。祖父の時代から屋敷を管理してきた使用人ハリスの制止を振り切り、アレックスは封印されていた地下室に入っていく。そこは、著名な動物画家だった家主ブラックウッドのアトリエだった。サリーは地下室で、厳重に封印された小さな扉を見つける。夜な夜な話しかけてくる声がそこから聞こえるのに気づいたサリーは、大人の目を盗んでその扉を開ける。その夜、扉の奥から這い出した小さな魔物たちは悪戯を始める。魔物たちは、子供をさらいその歯を食べる“トゥースフェアリー”という邪悪な妖精だった。ハリスは地下室の小さな扉が開いているのに気づき閉めようとするが、魔物たちに襲われ瀕死の重傷を負う。サリーは魔物たちの仕業だと2人に告げるが、彼らは信じなかった。しかし、ハリスの見舞いに行ったキムは、サリーを屋敷から逃がすよう言われ、公立図書館で屋敷に関する公式記録を見るよう助言される。記録には、約100年前トゥースフェアリーが原因でブラックウッドと8歳の息子が行方不明になったことが記されていた。キムはただちに屋敷から逃げるべきだと主張するが、その夜には屋敷修復のスポンサーを集めたパーティーが予定されていた。しかしパーティーの最中、サリーが魔物たちに襲われる。アレックスも脱出を決意するが、群れをなした魔物たちは彼らに襲いかかる。
[ 2012年1月21日公開 ]
全11件を表示