「ある意味、ダークな「となりのトトロ」」ダーク・フェアリー cmaさんの映画レビュー(感想・評価)
ある意味、ダークな「となりのトトロ」
久しぶりにどっぷりと映画世界に浸りました。画面を凝視し過ぎて、登場人物並みに怯え、飛び上がって叫び出しそうになりました。床にぶちまけるポップコーンなんぞを持っていなくてよかったです。
艶やかで底知れぬ陰影、色鮮やかな草花やきらめく水面の光など、みっしりと密度ある美しい映像で綴られるゴシック・ホラー。いわゆるJホラーとはまた異なる味わいです。ラテンが誇るチャ・チャ・チャ三兄弟の一人、ギレルモ・デル・トロの面目躍如! 心地よく怖がらせてもらいました。
キャスティングもなかなかです。不敵とも繊細とも映る、こぼれ落ちそうな黒い瞳の少女はもちろん、あの「メメント」のガイ・ピアース、「ケイティ」のケイティ・ホームズ…と訳ありの薄幸そうな顔ぶれが揃い、過去の作品の影がちらついて色々な想像・妄想が広がりました。さらには、「見えそうで見えない」怖さに留まらず、「小さいの」がしっかり登場。その気になれば叩きつぶせるネズミなみの小ささ、それなりの愛嬌さえあるものの、闇から群れをなして登場すると迫力満点…。ゾクリとします。少々古いですが、グレムリンもあっさり一蹴されそうな勢いでした。
母親から離された少女、古い屋敷、豊かな自然、そこに昔から住むモノたち…と、実は「となりのトトロ」と主要素が共通する本作。この機会に併せて観ると、新たな発見も加わり、相乗的に楽しめるかもしれません。
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