劇場公開日 2011年11月26日

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「時代を駆け抜けた愛」サルトルとボーヴォワール 哲学と愛 kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5時代を駆け抜けた愛

2014年10月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

幸せ

実存主義の仏哲学者サルトルと、彼の生涯の伴侶で『第二の性』執筆者ボ​ー​ヴ​ォ​ワ​ー​ルは、私の学生時代、課題で慣れ親しんだお二方。というわけで今作は是非観たいと思っていたし、「NOVO」のアナ・ムグラリスがボ​ー​ヴ​ォ​ワ​ー​ル​を演じるということも興味を惹いた理由のひとつ。
この2人の男女の関係は、ある意味、自由意志の下で互いを個の確立としてみていた新しい時代の先駆者であるかのような男女の関係だった。彼女の『第二の性』のあまりにも有名な一文、
「人は女に生まれるのではない。女になるのだ。」に象徴されるように彼女は自らの家庭環境や身近に起きている女であるがゆえの不自由な体験をもとに彼女独自の論説を確立した。現代でこそ、ナンセンスだろうが、当時のまだ社会で活躍できる場が男女で歴然の差があった風潮の中で、彼女のそれは実にセンセーショナルだったと言っていい。
前置きが長くなってしまったけれど、私的には悪くはなかった。実に2人の容姿・性格、実際のエピソードまで、事実に忠実だったと思うし、それでいてサルトルも、ボ​ー​ヴ​ォ​ワ​ー​ルも互いを伴侶と認めつつ、一方で恋多き私生活を謳歌していたのも面白い。彼らにとっての夫婦の意味は同じ方向を見つめる同志だったのだろう。だから、彼女はある時から「もう、私達、セックスするのやめましょう・・」とサルトルにはっきり断言する。そして、彼女は渡米先で知り合ったジャーナリストと深い愛人関係になり、彼から貰った指輪を薬指にはめたまま、サルトルの墓のとなりで永眠しているのだそうだ。
2人の生の息吹が蘇る作品。

sonje