「この監督さんは強い!」ヴィオレッタ 恩田かーやさんの映画レビュー(感想・評価)
この監督さんは強い!
人が相手の意見を全否定したい時によく使う台詞。
「あなた、ちょっとおかしいんじゃない?病院行った方がいいよ!」
これを母親が娘に言う。
しかも、娘はマトモ!
おかしいのは母親と周りの大人達。
これは酷い!一種の洗脳だ。
(でも残念ながら、これは虐待あるある)
普通の大人だったら、そこから本当におかしくなる状況。
それを幼い女の子がされて、
『床にバタン!と倒れて奇声を上げる』だけなんて、まだ健全で逞しい反応だ。
母親が娘の性を食い物にする。
ただ、この物語が、そこまで汚ならしく感じられないのは肉体的な被害がない(描かれていない?)事と、
ヴィオレッタがどのシーンでも手を抜かれる事なく、美しく着飾らされていること(監督から子供時代の自分へのせめてもの憐微の情?)と、
そして、この物語が、ヴィオレッタの子供時代で終わっている点。
子供の憐れはともかく、「いい年した私の愚痴なんて誰も聞きたくないでしょ?」という、作り手の孤高を感じる。
作品の最後に「その後、彼女は……」などというテロップが入る事もない。
自伝などではそんな件もあるのかもしれないが、
映画はエンターテイメント!
それを踏まえた監督の潔さを感じる一編。
でも私生活では辛ければ、わめき散らしてもいいんだよq(^-^q)
母と姉妹である事実を知ってから、ラストのシーンでまだ母親から逃げているヴィオレッタに涙が浮かびました。
自伝的映画であることを念頭に見ていたので、母親の愛の形の歪みを表しているのだと、それでも愛されていたというメッセージなのか?とおもっていたのですが、ラストシーンでまだ監督は母親から逃げているのかも知れないとおもうと切なくてたまりませんね。
あなたの感想に共感を抱いたのでコメントさせていただきました。
失礼しました。