「笑えるけど笑えない」生きてるものはいないのか 114645さんの映画レビュー(感想・評価)
笑えるけど笑えない
始めは最近観た映画の様に最初と最後に繋がりがあったり後半に前半に蒔いたタネが明かされるものだと警戒しながら観ていました。しかし、この作品では謎解きのような仕掛けは無く、謎のウイルス感染は謎のままでした。それでも納得できる内容でした。なぜならこの作品は小さな粒の大きな集合だったからです。大きな粒だろうと思って見ていては気付かない点が多かったと観た後で思いました。この作品は登場人物のちょっとした一言、世界への疑問が多々見られ、考えさせられる作品になっています。疑問の質は今の私からすると、そこそこ高いものでした。途中で何度か登場人物の言葉を考えながら観ていたりしましたが、大きい粒だろうと思いながら観ていると完璧に小さな粒について頭を使うことは出来ませんでした。この仕掛けが分かってきても観終わるまではやはり集中できませんでした。自分の猜疑心が過去と未来を見ることに集中させてしまい重要な今を見えなくさせていたことにも考えさせられるものがありました。何度見ても疑問に対して考えることが違ってくると思ったので、とても良い心に残る作品だと思いました。
前半(大学に感染し始める前)の大学生達の会話はナチュラルな感じで演技されていて良い違和感でした。そのためか、音量を上げていたためか、音声がハッキリクッキリ大きく聞こえたので吹き替えでもした様に感じられ悪い印象の違和感を感じました。
後半(感染した人が死んで行く)は死に際の一言が少し笑える様なもので楽しみだったりしました。多分、違うと思いますが最期の言葉はアドリブの様に感じました。ブサイクが美人に片想いだったのは普通ですが、美人がブサイクに片想い(一応婚約してた)の所が顔なんて関係ない感じで良いなと思いました。その美人はブサイクのこと知らないけど好き、知らないから好きって所もそういうのあるかもと同感しました。
エンディングの染谷将太と一緒に海に行った病人が死に、飛行機は墜落し、カラスも落ち、夕日も沈んでいこうとしている所に一人で立っていて題名である"生きてるものはいないのか"と文字が出る所は敢えて声に出さない所がとても良かったです。
内容掘り起こしてもキリがないぐらい詰まってます。友だちにも勧めていきたいです。そして、あの人のこの言葉が良いよなって語り合いたいです。
自分の中に一生残る作品になりました。