灼熱の魂のレビュー・感想・評価
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業火か煉獄か
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の出世作と云われる、戯曲が原作の映画。当人が舞台を観て衝撃を受けた気持ちを、そのまま取り出して彷徨った様な作り。洋の東西問わず作品の種類(映画、小説、音楽等々)問わず、初期作と呼ばれるものには作者の熱量が存分に備わっているので好きなのですが、コレもそう。劇場で鑑賞出来て良かった。
「キリスト教」と「ムスリム」を語れる程に宗教は知らないし、宗教や人種をベースとした中東の諍いの根深さも、極東の温室育ちには想像を超えるものがあるのだろう。そんな一端を抜き出した様な物語に途中から痺れが止まらなかった。一応舞台も含めて架空ではあるらしいが、むしろソレがリアルの生々しさを浮き彫りにしていた。なるほど「ボーダーライン」が改めてしっくりと腹に落ちていく感覚である。
思いは色々とあるだろうが、一度触れてみて頂きたい作品。
時として、知らない方が良い事もある
待っているのは驚愕の結末。
でも、分かりずらかった…
名前が似てるし、時系列が行ったり来たり…
中東に興味ないのもあるけど、退屈で眠かった…
オチは驚愕だけど。
驚愕結末映画ベスト10に入る。
なぜ?はある終わり方
なぜ母親は、兄と父に対する手紙を用意したのだろうか?2人がどういう心持ちになると読み切ってのことなんどろうか?結果1+1が1であることに気づくのだが。
それにしても、戦争、内戦というものは、人間性を喪失させなければ生き抜けない過酷な現実であることも思い知らされた。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とは誰?やっぱり最高ですね。
僕の評価の高い「メッセージ」「ブレードランナー 2049」「DUNE デューン 砂の惑星」を手掛けたビルヌーブ監督とは、
出世作とは?
とっても気になり鑑賞してみた。
時間と場所と私を幾度もチェンジして真実に近づいていく。
その度に殺戮と争いが繰り返され、真実が見えなくなっていくが、事実が明らかにっていく。
そしてオチが見えてくる。
ところが、
そんなオチと言う真実などどうでもいいことに大変換されてしまう。
しっかり、たっぷり映画を堪能させてくれる名画だ。
思わず「砂の器」を思い出し、
落涙してしまった。
「DUNE デューン 砂の惑星」見た人は観るべし!
評価はご自分の目で観てから
上映当時、何の予備知識もなく鑑賞し、真相が解った途端、周りも気にせず号泣してしまった作品です。なんちゅー酷い話なんだ!と 笑。少し間を開けてもう一度観に行き、再び号泣 笑笑。
淡々と進む長編ですが、構成が素晴らしいです。私の映画人生の中では、今でも一番記憶に残る衝撃作です。
三連星
カナダで公証人の秘書をしていた母親が死に、遺言書と共に手紙を託された双子が父親と存在も知らなかった兄を捜す話。
遺言書を開封する「双子」の章から始まる父親と兄を捜す為に母親のルーツを追う双子の姉のストーリーと、「ナワル」から始まる1970年代からの母親のストーリーを章立てて交互にみせていく。
多分公開当時?に観た記憶があって、それ以来の2度目の観賞だから、細かいところは全然憶えていなかったけれど…。
宗教と戦争のキツい部分に触れて掘って晒してハマって行く恐ろしさとやり切れなさはやはり堪らなく、観賞している側には早々にみえてくるものもあるけれど、歌う女の話しが出てからの流れはなかなかに衝撃的で、それを知ったジャンヌ、そしてさらに先を知ったシモン、と結末を知ってはいたけれど重かった。
再上映してくれて良かった、こんな映画を知らずにいた。 フィクション...
再上映してくれて良かった、こんな映画を知らずにいた。
フィクションであることが救われるけれど
事実は小説よりも奇なりというし、、、
約束(誓い)とか許しとかは
宗教上とてつもなく深い意味があるのだろうと想像できた。
いずれにしろ
厳しい戦渦を生き抜く人たちが、例え一瞬でも
安らかな気持ちでいられたら良いな、と思った。
1+1=1の悲劇
ラストに至るまでに、精神的に相当なカロリーを消費したが、エンディングでは精魂尽き果ててしまった。
母親であるナワル・マルワンの回想が始まるや否や、名誉殺人らしきシーンがスクリーンに映り、中東における一族の掟の非情さに衝撃を受ける。ナワルが過酷な半生を送ったことは、予告編でほのめかされていたが、想像をはるかに超える苛烈さで、生かされた事自体が罰ではないかと思える。
多くの宗教と部族がモザイク状態で混在しているレバノン(劇中では、ぼかされている)が抱える問題をナワルがすべて背負わされている。民族間対立にととまらず民族浄化にまで激化した内戦、敵対勢力の子供をさらって洗脳教育を施して戦士に仕立て上げる民兵組織、徹底した拷問を行う収容所。この物語の結末を聞くのが恐ろしい。
劇場の集中できる環境で打ちのめされて、「赦す」ということは何であるかを理解できる糸口を見つけることができた。
物語の力(家族の秘密と世界)
2010年。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。中東系カナダ人の母親が死んで双子の娘と息子に不思議な遺書が残される。いないはずの兄と父を探して手紙を渡せ、それまでは墓碑銘を入れるな、という内容。途方に暮れる二人だが、娘は母親の故郷に向かう。そこで次々と母親の生涯が明らかになって、という話。
戯曲が原作とあって物語の力がすごい。出生の秘密、宗教対立、中東と西側諸国、要するに、家族の秘密を探りながら世界を探究する話。過去を織り交ぜながらの語りが極めてスムーズで、神話的でありながら現実的な物語の世界に自然に引き込まれていく。踵の傷と近親相姦ってオイディプスそのままではないか。
ラストでいかにも意味ありげに満足な表情をする公証人に違和感を感じて振り返ってみると、劇中でもちょいちょい家族の話に顔を出していたことに気づく。最初からすべてを知っていたかのように、あるいは、真実をジャッジするのは俺だというように。真実の追求をうながすこの公証人は死んだ母親の上司であり、劇中でたびたび「家族の一員のようなものだ」と言い訳めいたことを言うのだが、それは言わない方が、ただ死んだ母親の遺書を厳格に執行する公証人というだけの資格で関わった方が、カフカ的でおもしろかったかも。
オチは素晴らしいが、
オチは素晴らしいがそれに至るまでが長すぎる!
その長さあってこその落ちのすばらしさであるのは分かっているがそれにしても、長い。
移動のシーンは特に眠たくなった。
しかも所々で残酷な描写もあるので
ラスト15分まで本当に耐えるだけなのがこの映画の惜しいところだと思う。
リアルのかけらも無いリアリティとはこれ‼️❓
いや、ほんとに、最初は、ノンフィクションかのような始まりは見事です。
そのうちにボロが出てきます、辻褄と現実と明らかに乖離しています。
いや、本当に、リアルな映像とセリフです。
あれ、コメディかな、そんな気もする。
でも、無知な人には、これが世界なんです。
上手いなー、その点では、策略のプロです。
こんな映画は深く考えずに、ただ、動向に食らいつくべし。
それぞれの場面は名作です、何の意味かわからんけど。
でも、希望はあるよ。
一つ一つの場面はいいかんじがする、カメラマンとシナリオライターがいいのだろうか。
ストーリーは無茶苦茶だが演技とセリフが素晴らしい、究極的に刹那的映画だ、演劇的だ。
玄人感覚の映画ファンなら是非。
灼熱のストーリー
個人評価:4.0
報復の連鎖。人間の本質と歴史。その連鎖を止めるには1+1=1にする必要がある。衝撃の事実とこの理論に脱帽する。
素晴らしい脚本だと感じる。
後に作品性の高いアクションも多く送り出す、ドゥニ・ビルヌーブ至極の一本。
ご都合主義
これをご都合主義と言うのだろう。
悲劇性を高めるべく物語の肝に作者が用いた策はあまりに安易だ。
反戦という切実なテーマも消し飛ぶ。
これなら「冬ソナ」の方がイイ。
演技演出が的確なだけに悔やまれる。
評判ゆえ観る人を止めぬが。
ネタバレ回避要。
すっきりしないが
見応えはある。
が、極めて確率の低い「不幸な偶然」でプロッ卜が成立していて、映画の主題に結びついていない気がする。そのため、母からの手紙の中の言葉や台詞で映画のテーマ(憎しみの連鎖の遮断、共にいることが大切…)を語らせてしまっている(映画なのに)。そこが残念。
あまりに衝撃的な「不幸な偶然」はなくても良かったのではないか。何か話題作りのためのようで、すっきりしない。
(シネフィルWOWWOWプラス)
焦土の果ての許しを。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の名前を初めて知った作品です。
タイトルは仏語で「焦土」の意とか。
母亡き後、残された子供たちが、母の伝えられなかった過去を知る話というと
「マディソン郡の橋」を思い出しますが、こちらはかなり深刻な内容です。
戯曲の映画化だそうで、母の過去と、子供たちが母の祖国に渡って
母の過去を知る過程、そして自分たちの父と兄を探す過程とが
同時進行的に進んでいく様子はあまりにも衝撃的です。
子供たちには、己の生を肯定して欲しかったようですが、
焦土と化した地から生を生み出した母自身にこそ
その人生の賛歌が与えられるべきでは、と感じました。
つい、移民の人々の存在を忘れがちになりますが、
黙して語らない人々のことを知るのは大切だと思わされる作品です。
大変辛い内容なので、もう一度観るのは躊躇われますが、
とてもいい作品なので、興味のある方は是非。
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