灼熱の魂のレビュー・感想・評価
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中東の嫌ミス。
メッセージ、ブレラン、デューンと続くヴィルヌーブの出世作なのでチェックです。
原作者は中東出身の劇作家の方で右派キリスト教とイスラム教の内戦がベースにあり、なかなか日本人にはすっきり腹落ちしない複雑な状況のなか悲惨な人生を送った1人の強い活動家で母親と、彼女の死後、遺書に翻弄される子供達の話。舞台でも日本で上演済みだそうです。
ズバリ日本でいうところの「嫌ミス」を中東の紛争地区ベースで組み上げた感じです。ちょっと都合良すぎる感じもしますが「嫌ミス」ですからトコトン追い込みます。欧米キリスト教圏、イスラム教のかたなら色々複雑な感情絡むのでしょうが幸か不幸か日本人なんで、宗教の話はいまいちピンとこず、どっちが悪いとか、ミスリードだとかあんまり気にしないで見たほうが「嫌ミス」を楽しめます。原題Incendiesはフランス語で炎の意味。
こんだけ面倒臭い話をよく捌いたなというか、この人ならブレラン、デューン行けるかも、、とプロデューサーに思わせる処理能力の高さと演出力。振り返るとヴィルヌーブ作品はたしかに宗教的な崇高さと説教臭ささを利用して話をリアリティ損なわず大袈裟に見せるのが上手いなと思う。レディオヘッドの音楽も効いてる。
つまり、この映画を観て彼はなるべくしてメジャーになったと納得しました。
ストーリー・テリングの巧みさが再確認できる
過去の母の物語と、その謎を追う現代の子供達の物語が並行して描かれる中で、徐々に真相が明かになっていく展開に、グイグイ引き込まれる。物語の描かれ方も、子供が事実を知ってから、母のエピソードが語られたり、その逆だったりと、画面から片時も目が離せない。
その構成の巧みさに、この監督は、つくづくストーリー・テリングの人なのだということを思い知らされる。
確かに、強引なところがあったり、ご都合主義的なところもあるのだが、衝撃の結末に持って行くまでの見せ方の上手さには、目を見張るものがある。
その一方で、そうした語り口の見事さが、最近のハリウッド大作では、あまり感じられなくなってしまったのは、残念としか言いようがない。
この監督の才能は、これぐらいの、小さな規模の映画でこそ発揮されるのではないかとも思ってしまった。
業火か煉獄か
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の出世作と云われる、戯曲が原作の映画。当人が舞台を観て衝撃を受けた気持ちを、そのまま取り出して彷徨った様な作り。洋の東西問わず作品の種類(映画、小説、音楽等々)問わず、初期作と呼ばれるものには作者の熱量が存分に備わっているので好きなのですが、コレもそう。劇場で鑑賞出来て良かった。
「キリスト教」と「ムスリム」を語れる程に宗教は知らないし、宗教や人種をベースとした中東の諍いの根深さも、極東の温室育ちには想像を超えるものがあるのだろう。そんな一端を抜き出した様な物語に途中から痺れが止まらなかった。一応舞台も含めて架空ではあるらしいが、むしろソレがリアルの生々しさを浮き彫りにしていた。なるほど「ボーダーライン」が改めてしっくりと腹に落ちていく感覚である。
思いは色々とあるだろうが、一度触れてみて頂きたい作品。
なぜ?はある終わり方
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とは誰?やっぱり最高ですね。
評価はご自分の目で観てから
三連星
カナダで公証人の秘書をしていた母親が死に、遺言書と共に手紙を託された双子が父親と存在も知らなかった兄を捜す話。
遺言書を開封する「双子」の章から始まる父親と兄を捜す為に母親のルーツを追う双子の姉のストーリーと、「ナワル」から始まる1970年代からの母親のストーリーを章立てて交互にみせていく。
多分公開当時?に観た記憶があって、それ以来の2度目の観賞だから、細かいところは全然憶えていなかったけれど…。
宗教と戦争のキツい部分に触れて掘って晒してハマって行く恐ろしさとやり切れなさはやはり堪らなく、観賞している側には早々にみえてくるものもあるけれど、歌う女の話しが出てからの流れはなかなかに衝撃的で、それを知ったジャンヌ、そしてさらに先を知ったシモン、と結末を知ってはいたけれど重かった。
再上映してくれて良かった、こんな映画を知らずにいた。 フィクション...
再上映してくれて良かった、こんな映画を知らずにいた。
フィクションであることが救われるけれど
事実は小説よりも奇なりというし、、、
約束(誓い)とか許しとかは
宗教上とてつもなく深い意味があるのだろうと想像できた。
いずれにしろ
厳しい戦渦を生き抜く人たちが、例え一瞬でも
安らかな気持ちでいられたら良いな、と思った。
1+1=1の悲劇
ラストに至るまでに、精神的に相当なカロリーを消費したが、エンディングでは精魂尽き果ててしまった。
母親であるナワル・マルワンの回想が始まるや否や、名誉殺人らしきシーンがスクリーンに映り、中東における一族の掟の非情さに衝撃を受ける。ナワルが過酷な半生を送ったことは、予告編でほのめかされていたが、想像をはるかに超える苛烈さで、生かされた事自体が罰ではないかと思える。
多くの宗教と部族がモザイク状態で混在しているレバノン(劇中では、ぼかされている)が抱える問題をナワルがすべて背負わされている。民族間対立にととまらず民族浄化にまで激化した内戦、敵対勢力の子供をさらって洗脳教育を施して戦士に仕立て上げる民兵組織、徹底した拷問を行う収容所。この物語の結末を聞くのが恐ろしい。
劇場の集中できる環境で打ちのめされて、「赦す」ということは何であるかを理解できる糸口を見つけることができた。
物語の力(家族の秘密と世界)
2010年。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。中東系カナダ人の母親が死んで双子の娘と息子に不思議な遺書が残される。いないはずの兄と父を探して手紙を渡せ、それまでは墓碑銘を入れるな、という内容。途方に暮れる二人だが、娘は母親の故郷に向かう。そこで次々と母親の生涯が明らかになって、という話。
戯曲が原作とあって物語の力がすごい。出生の秘密、宗教対立、中東と西側諸国、要するに、家族の秘密を探りながら世界を探究する話。過去を織り交ぜながらの語りが極めてスムーズで、神話的でありながら現実的な物語の世界に自然に引き込まれていく。踵の傷と近親相姦ってオイディプスそのままではないか。
ラストでいかにも意味ありげに満足な表情をする公証人に違和感を感じて振り返ってみると、劇中でもちょいちょい家族の話に顔を出していたことに気づく。最初からすべてを知っていたかのように、あるいは、真実をジャッジするのは俺だというように。真実の追求をうながすこの公証人は死んだ母親の上司であり、劇中でたびたび「家族の一員のようなものだ」と言い訳めいたことを言うのだが、それは言わない方が、ただ死んだ母親の遺書を厳格に執行する公証人というだけの資格で関わった方が、カフカ的でおもしろかったかも。
オチは素晴らしいが、
リアルのかけらも無いリアリティとはこれ‼️❓
いや、ほんとに、最初は、ノンフィクションかのような始まりは見事です。
そのうちにボロが出てきます、辻褄と現実と明らかに乖離しています。
いや、本当に、リアルな映像とセリフです。
あれ、コメディかな、そんな気もする。
でも、無知な人には、これが世界なんです。
上手いなー、その点では、策略のプロです。
こんな映画は深く考えずに、ただ、動向に食らいつくべし。
それぞれの場面は名作です、何の意味かわからんけど。
でも、希望はあるよ。
一つ一つの場面はいいかんじがする、カメラマンとシナリオライターがいいのだろうか。
ストーリーは無茶苦茶だが演技とセリフが素晴らしい、究極的に刹那的映画だ、演劇的だ。
玄人感覚の映画ファンなら是非。
灼熱のストーリー
ご都合主義
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