「何気に、消費者行動教育映画。」闇金ウシジマくん とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
何気に、消費者行動教育映画。
まじめに生活していて、生活のためにお金を借りる人は出てこない。
皆、ギャンブルとか、ちゃらい考えで、あぶく銭を掴もうとしている人たち。
そんな考えでいると、こうなっちゃうよと教えてくれているよう。
なので主要二人の顛末がメッセージ?
原作は途中まで読んだ。「ヤンキー君」から、リアルに日本で起こっている犯罪の現場に立ち会っているような感覚、愛沢に群がる小中学生の屑っぷりに、嫌悪感と恐怖を感じて、耐えられなくって、読めなくなって、挫折。
この映画で取り上げられているエピソードは読んだっけ?
『part2』の予告の”しりとり”を見て、丑嶋達3人が面白うそうで、これなら見られるかな?と鑑賞。
エピソード自体は、漫画の方を思い出せないけれど、全体的な雰囲気は、大分マイルドになっている。
(TVは未見)
ひところはやった”人脈”、お友達がたくさんいるって言う意味も考えさせられる。
本当に自分の為に動いてくれる人との繋がりが一人でもいればいいってか?
丑嶋にはいるもんね。
主要二人の行動も問題だけど、もっと気になったのはバンドメンバーの対人関係。大学生にもなっておんぶにだっこって。バンドメンバーにとっても”人”は利用するための存在。仲間であれど自分を犠牲にして助けるつもりはない、という希薄な対人関係。
反対に、ナオキを、いろんな思惑はあれど、自分の身を削って助けた小川。ナオキはそれなりにお金に融通のきく家庭で育ったのだから、ナオキの家族に問題を投げてもいいのに、解決のために奔走した小川。恩を売りたかったのかな。「お父さん」と呼ばれていて、頑張んなきゃと思ったのかな。こんなメンバーさっさと捨てて、もっと芽が出そうな人材探しても良かったのに。見極める眼がないし、こんなバンドメンバー以外には相手にしてくれなさそうだから、しがみついちゃったのかな。でもバンドのメンバーってその小川の気持ちに応えた人っているのかな?バンドのメンバーは小川にとって金づる、バンドメンバーにとっても小川は金づるなんだろうけど、ちょっと小川がかわいそうだった。ラストの小川の判断にもほろっときてしまった…。
家族。搾取されたり、見捨ててもいいのに見捨てられなかったり。上手くいかない理由にしたり。
親の価値観から離れて、自分の人生を歩んでもいいのに。
それはそれで、やはり、小川みたいな想いを持ってしまうのもわからなくはない。
親ガチャ。
裕福だから幸せとは限らない。バンドメンバーもろくな人生送らないだろうし。
とはいえ、絶対的貧困。ヤングケアラー。
人生を積み上げていける人、掴みそこなう人。わずかな決心が道を分かつ。
見捨てる・見捨てない、助ける・助けない。どうすることが建設的で、どうすると破滅に繋がるのか。
難しい。けれど、考えていかなければ。どうお金を使うかも含めて。
☆ ☆ ☆
丑嶋の言葉がちょっと聞き取りづらかった。表情を動かさないから、声がくぐもってしまったのだろうけれど。丑嶋が言葉をはっきりしゃべるというイメージはないけど、聞き取れないのは困ったものだ。難しい。
丑嶋のポロシャツ姿が妙に品が良くて…。あと、オムライス。あれは丑嶋チョイス?(笑)。
原作からすると、やっぱり品の良さって言うか、山田氏本来の人の良さがにじみ出てきていて、原作と違う味わいなので、私も最後まで見られたかな。
原作の私のイメージは、『ブラックレイン』の佐藤と菅井。佐藤のように「俺が、俺が」ではなくて、普段は菅井のように胆据えて全体を見ているのだけれど、常に抜身の刃的なオーラはまき散らしているイメージ。でも、そうしたら、映画のテイストかなり変わる。
山田氏の『ウシジマくん』なら、ずっと見ていたい。
高田のビジュアルは漫画通りで笑った。
ナオトがあれからどうなったの?とか、みくの実家が変わっていたのはどういうこと?とか突っ込みどころ満載。
かつ蝮男とか、この流れだと無理くり突っ込んだみたいな、余計なエピソードが入ってきて冗長かな?
警察沙汰も確かに最大の危機なんだけど、スピード感は薄れたし、もっと盛り上がる演出でも良かったかな。それが、小川の仕打ちに繋がるのだし。
それなりに楽しめたけど、テンポは今ひとつ。かつ整合性がとれていないような点も気になって…。
なので、☆2.5。