「混ぜるな危険とはこの事か」KOTOKO つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
混ぜるな危険とはこの事か
塚本晋也監督といえば暴力。様々なアプローチで暴力というものに迫り表現してきた。
本作では暴力に対して暴力でしか対抗できない葛藤を描いていると聞いた。なるほど、まあわかる。
暴力を肯定する気持ちと否定する気持ちが混ざり、肯定、否定、どちらの面からも恐怖するってところだろうか。
そこに主人公琴子の病気(統合失調症なのかな?)による幻覚などが加わる。
現実なのか幻覚なのかわからないことでサスペンス的な味付けがされ、その部分でそれなりに面白く観ることはできたものの、やはり最初にある暴力に対してしっくりこない気持ちが芽生えてしまう。
というのも、暴力に対する葛藤を踏まえるにしても踏まえないにしてもどこかでほころびが生じているように思えるのだ。辻褄が合わないようなチグハグさがある。
そして、色々と考えていくと最終的に、小説家の田中はなぜ出てきたのだろうか?に行き着く。
田中の存在が葛藤そのものなのかもしれないと考えたりしたけど、別にいなくてもよかった気もするし、そうなるとただ塚本監督が演じる役としていただけのような気さえしてくる。
主演でアイデアも出したCoccoによって成り立っている作品だけれども、Coccoの存在が塚本節を鈍らせたようにも思う。
Coccoと塚本監督の化学反応が悪い方に起きたようなね。
なんか歌うシーンとか長かったもんね。この辺りがプラスでもありマイナスでもあるのが作品のチグハグさとして出てしまったように思う。
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