劇場公開日 2012年4月7日

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「涙が溢れてきました」KOTOKO 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5涙が溢れてきました

2020年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2012年5月劇場鑑賞
主演のCoccoは、同監督作「ヴィタール」以来ですね。
私はCoccoの歌が好きなので、当時活動休止してた彼女の歌が「ヴィタール」で流れたのはとても衝撃でした。
なんでもその時Coccoにオファーを出していて、今回の出演につながったようです。7~8年越しでできた作品ですね。
塚本晋也とCocco。わかってはいたのですが、想像以上の強烈な化学反応でした。
まず、Coccoの削るような演技が素晴らしい。
過去の塚本作品では、作品内にも出演する「塚本晋也」のアクがあまりにも強く、他の役者の印象がどうしても薄くなりがちになります。
悪く言えば全部持ってっちゃうんですね。
ですが本作はCoccoが圧倒的すぎて「塚本晋也」以外の役者が印象に残った初めての塚本作品ではないでしょうか。
歌い上げるシーン等は本当圧巻で、彼女はとても塚本作品のフィルムの色に合っていました。

この作品は「親子の愛」と「命」がテーマの作品です。
ですがこれは塚本作品、本当に凄まじかった。
あまりにも「命」を生々しく表現していて、色んな意味でひどく重いです。
組合わせ的にビョーク出演の「ダンサーインザダーク」をイメージする方もいるかと思いますが、あんなにソフトではありません。
轟音と静寂、加減の無い暴力描写も多く、全編を通して色々な物を延々と投げつけられている感じです。
ですが、ラストシーン。
そこにはちゃんと小さい光があって、観ていて涙が溢れてきました。

描写が描写なのでもの凄く「残る」作品ですが、もの凄く爽やかな作品でもありましたよ。
本当素敵な作品でした。

白波