「coccoとkotoko」KOTOKO kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
coccoとkotoko
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二つに見えると言っても、どちらかというと対人関係においてのみ。人から優しく声をかけられれば、もう一方の凶悪な本性みたいなものが見えるといった具合に・・・しかし、それは全て妄想のような世界。琴子は分裂症気味の統合失調症タイプなのだ。頻繁にリストカットはするし、子育てと料理など、二つのことが一度にできない。大二郎を抱きながら、フライパンで炒め物をするシーンなんて、はたから見ていて怖いぞ!
大二郎に会うために姉の住む故郷の沖縄へと出かけたときは本来の自分に戻れる琴子。その琴子が歌うのをバスの中で見かけてから、ストーカーのようにつきまとう田中。彼は小説家で憧れでもあった文学賞も受賞するほどの人物だった。何度もデートを重ねるが、自傷癖だけではなく他人をも傷つける癖のある琴子は田中の手の甲にフォークを突き刺す(笑)。それでも彼女が心配でリストカット現場へも不法侵入して助けたりする田中。一緒に住むことになっても極度のSMシーンを見せられるかのように、顔面腫れと血まみれになるほどおぞましい。さすがホラー映画監督だけはある。
ようやく大二郎を手元に置くことができるようになったのだが、そのとき田中は去っていってしまった。人の手によって殺されるという強迫観念が先走り、治ったと思っていた“二つに見える世界”が復活し、軍人によって殺される錯覚さえ覚える琴子。そして終に我が子の首に手をかけてしまい・・・気づいたときは精神病院だった。そこになんと大きくなった大二郎が面会に来てくれた。死んでなかったんだ・・・泣き崩れ、何もしゃべれない琴子。鼻水も止まらない。痛くて辛い、女の内面を描いた狂気の野心作。
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