「しょせんアイドルホラー」Lost Harmony ロストハーモニー よっこいしょういちさんの映画レビュー(感想・評価)
しょせんアイドルホラー
このサイトの映画の紹介にもあるとおり、"コンクールに向けた強化合宿にやってきた南ヶ丘女学院合唱部の生徒たちは、想定外の事情で当初の宿泊所が変更になり、湖畔のコテージに宿泊することに。仲間内で流行している携帯タロット占いで当番を決めるなど盛り上がる合唱部の面々だったが、突然、占いの画面に人体の一部らしき不気味な画像が表示される。やがて練習を開始した合唱部のメンバーが1人また1人と何者かに襲われはじめ、14年前に起こったある事件の隠された秘密が浮かび上がってくる。"
というのがあらすじです。
個人的には女生徒たちの心情描写とかが上手かったと思います。
私もまだ一応現役の女子高生なのですが、ああ、こういう会話とかするなあ、こういう空気にもなるなあ、と一緒の世界にいるような、そんなかんじの、
どこにでもいるごく普通の明るい今時の女の子をナチュラルに描いていたところに好感を覚えました。
俗に言うアイドルホラーなので、正直それほど期待はしていなかったのですが、各役者さんの演技も不自然さがあまりなくよかったです。
しかし、映画として評価するには微妙な作品だなあと感じました。
というのは、まず展開が容易に読めたこと。
ああどうせこうだな、ほらきたハハハ、という具合に、他のブログとかで久々にきたJホラーとか絶賛されてるわりには邦モノ独特の先の見えない恐怖とか追い詰められる不安とか、そういうじっとりした雰囲気なんかは特に皆無だったし、むしろ競馬気分で視聴していました。
一方で洋モノのようなパニック系ホラー、心臓が止まるような突然の襲撃やえげつないほどのグロ描写などがあるわけでもなし。
まあ、そのへんは"所詮可愛い子を推したいアイドルものの映画"で区切りがつきますね。
色合いでごまかしてはいるものの、安物映画のよくあるチープ感満載の小道具やら怪物やらが出てこないだけマシでしょうか。
それから、全体に対する描写が甘いことも低評価するに至る理由です。
だいたい、最初の方に祀られていた地蔵をいじったから災いとして彼女たちが次々怪奇現象に襲われているんですよというような絵の見せ方をしておきながら、彼女たちがその事実に気づくことは最後までなくキャーキャーいってあっけなく死亡で終わり、
地蔵が祀られている原因の事件と深い関わりを持っていたという真っ先に殺されたり腕もがれたりしていいはずの顧問は結局呪いに振り回されたりすることなく何故か主人公と最後まで生き残ったり、
降りかかる呪いの内容が「バラバラになった自分の体のパーツを他人からそれぞれ切断し集める」ことで、しかし部員は全て殺され揃ったパーツが縫い合わさった体が死んだ女の子を蘇らせ主人公に襲いかかる!恐怖と勇気のラストバトル!とかいうアツいな展開があるわけでもなくあっけらかんと終了したり、
おもしろさに繋がる要素は転がっているのに、それらを掘り下げ回収することがなかったのが残念かなあと思いました。
主人公がはっきりしなかったのもマイナスですね。
主観がころころ変わるのはよくないです。
長いので一行でまとめると、『学生がノートにかいた創作ホラーを実写化したらこんなかんじ!』です。
まあ、出演者のキャラクターはそれぞれ魅力的であったり、気にしなければストーリーはまあまあだし日常部分はそこそこ馴染めたりもするので、お気に入りの俳優が出ていたりする方は楽しめるのではと思いました。