僕たちのバイシクル・ロード 7大陸900日のレビュー・感想・評価
全2件を表示
シンプルだからこそ伝わるもの
「僕たちのバイシクル・ロード 7大陸900日」という邦題がすべてを説明している。 若者2人が自転車で、900日以上をかけて7大陸を走る。それだけだけど、それだけからこそシンプルに伝わりやすい。 映像は素人の撮ったカメラだけどヨーロッパからアジア、オーストラリア、南極(なんとペンギンやアザラシがたむろする氷の上を走る! この画にはハッとさせられる)、南米、北米、アフリカ、そしてヨーロッパへ…。 大陸ごとに異なる、移り行く風景を見ているだけで世界の広さが伝わってくる。 世界は広く、人間は小さいけれども、小さな人間が自分の脚だけで動かす自転車で世界を渡ることができる。 何事もやろうと思えばできる、ただ理由をつけてやらないだけ。 そんなメッセージも伝わってくるナイスなドキュメンタリーでした。
ふつうの『映画』に飽きた人におすすめ
この作品に有名スターは出ませんし、 美麗なCGもありません。 撮影も素人2名によるもので、 ストーリーに大逆転があるわけでもありません。 しかし、観賞後も各シーンが記憶に残る、 強烈な名作です。 映像からは「自由さ」があふれてきます。 パンやズームを多用しない映像は、目にやさしく 週3本ペースで映画を見る私にとってかえって新鮮でした。 中身にも、はっきりとした方向性があります。 「ジョーズ」のプロデューサー、故デビッド・ブラウン氏は 「一行で中身を伝えられない映画はヒットしない」という名言を残しました。 (じっさい「ジョーズ」の企画書は「美女がサメに襲われる映画」たった一行でした) その点、「自転車で7大陸を渡った記録」と 一行で描写できる今作は、強い個性を持っています。 そして、その一行から想起されるイメージに応えてくれる内容です。 南極ではペンギンの脇を滑走し、 ロシアではトラックに肘をぶつけ 中国ではススで真っ黒になり、道路の崩落に引き返し、 砂漠では水不足に苦しむ。 家族が涙ぐみながら主人公たちの帰りを待つシーンは、 勧善懲悪型の安っぽいストーリーを超えた、 スケールの大きな感動を与えてくれます。 映画の定型文に飽きた方に、おすすめの作品です。
全2件を表示