劇場公開日 2013年7月6日

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「凸凹コンビの誕生まで遡ったところに新鮮味と技あり」モンスターズ・ユニバーシティ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0凸凹コンビの誕生まで遡ったところに新鮮味と技あり

2013年7月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

あるものを擬人化したり異世界を描いたアニメに人間が出てくるのは好きでない。ましてや本物の人間が登場してしまう「ハッピーフィート」はいきなり夢から現実に引き戻されてキライだ。そんななか、「モンスターズ・インク」(2001)だけは気に入っている。それは物語にとって、モンスターたちにとって人間の子供が必然的なものだからだ。人間の子供を脅かすことが本業のモンスターが、実は人間に見つかるのが怖いという設定が可笑しい。

今作では、モンスターのサリーとマイクが大企業モンスターズ・インクで活躍するようになる前譚で、ふたりの出会いが描かれる。

この世界らしく大学に「怖がらせ学部」がマジメに存在するところが面白い。
名門の生まれながら天性の才能に溺れるサリーと、見た目が可愛すぎる致命的な欠点がありながらも持ち前の負けん気で努力を惜しまないマイク。単に続篇とはせず、後に最強コンビといわれるふたりがいがみ合い、なかなか打ち解けない学生時代を描いたところに新鮮味と技を感じる。
ふたりを取り巻く仲間や大人たちも楽しい。とくにヘレン・ミレンが声を担当するハードスクラブル学長がいい。身体はムカデ、顔は「眠れる森の美女」の魔女、ドラゴンのような羽で神出鬼没、たくさんの足でカタカタと不気味に床を鳴らし、才能のない学生をいびる様は格段の存在感だ。

単純な話と思いきや二転三転する構成、楽しいキャラクターと色彩豊かで細部まで描かれた背景、3Dのこなれたバランスといい、楽しい時間が過ごせる。
ランディ・ニューマンによる音楽はディズニー・ランドのパレードのようなマーチで華やかだ。

マスター@だんだん