「仲間との絆だけは絶対の真実!」劇場版 SPEC 天 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
仲間との絆だけは絶対の真実!
"SPEC(劇場版)" シリーズ第1作。
通常スクリーンで鑑賞。
TVシリーズは視聴済み、
ノベライズとコミカライズは既読です。
連続ドラマを観てすっかりファンになりました。元々刑事ドラマが好きでしたが、超能力者との死闘と云うSF要素を加味したストーリーが斬新で、尚且つちゃんとした理論的な謎解きもあり、めちゃくちゃ面白かったからです。
最終回が多くの謎を残したまま終わってしまい、当麻の「映画化なんてゼッテーしねぇからな!」と云う宣言に、これは絶対フリじゃないかと大分期待しておりました。だからこそ、連ドラから1年空けてTVスペシャル「翔」が放送され、それから間を開けずの本作公開は大変嬉しかったです。
「翔」でもその片鱗がありましたが、TVシリーズから格段にスケールアップした物語が展開されました。連ドラは序章でしかなかったわけで、西荻弓絵の脚本構成に脱帽です。
様々な思惑が絡む物語から目が離せませんでした。「ファティマ第三の予言」など中二病を擽るワードが登場し、さながら「エヴァンゲリオン」。収拾つくのか心配になりました。
連ドラ、スペシャルを経た当麻と瀬文の関係性が堪らない。やり取りの面白さも安定感抜群でした。確固たる信頼と絆で結ばれたふたりの関係を揺るがす出来事が起こりますが、きちんとふたりの精神的支柱である野々村係長がフォロー。未詳のバランスの取れた人間関係が巧みだなぁ、と…。屋上でのシーンに涙。野々村係長の名ゼリフにしびれました。
死んだはずのニノマエとの死闘は手に汗握るものがありましたが、「TVドラマの劇場版」の限界を感じたことも確か。スクリーンに映えるアクションもそんなに無く(シネスコ画面を意識した画づくりはされていたものの)、やっていることはドラマの延長線上でしかない。全体的にスペシャルドラマのレベルであることは否めませんでした。もっと予算出して欲しかった。タコさん触手のCGのクォリティーがはっきり言ってしょぼい。いや、ストーリーは本当に面白いんですが…
一見さんお断りなのも少々解せませんでした。連ドラとスペシャルを観ていないと内容が理解出来ないと思います。私のようなファンは大歓迎ですが、思い切ったことをするもんだと思いました。ドラマの視聴率があまり良くなかったこともあり、企画の段階で映画化のゴーサインはギリギリのところで出たとか。一見さんお断りが杞憂となり、ヒットしてくれたのは非常にありがたく、ファンとして嬉しい限りでした。
※修正(2023/08/25)