「短編に負けてる。」メリダとおそろしの森 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
短編に負けてる。
ディズニー&ピクサー初の試みだという、女性を主人公に
迎えたファンタジー。メリダのカーリーへアの凝り具合といい、
さすがピクサーと思える映像には確かに目を見張るのだが…
いや~悪いけど面白くなかった。(スイマセン)
アイディアは悪くない。母娘の葛藤をテーマに置き、王国の
慣習に逆らい、自らの運命を切り開こうとする王女メリダの
奮闘記が描かれているんだけど、どこぞやでお見かけした
設定が多い(これは仕方ないとしても)うえに、胸躍るような
ドキドキワクワクする展開が少なく、どの場面も尻切れトンボ
的にサラリと流されてしまう。そして映像の豊かさに違わず、
なんだか森が全然恐ろしく感じなかった。タイトルと違うなぁ^^;
個人的に自分と母親の関係に少なからず似ており(爆)
思い出し苦笑いとそれ見たことか的展開にはけっこう笑えた。
おそらく根底の部分で似ていながら(血筋でね)、このメリダは
自立心が強いのだ。誰かに支配などされたくない。もっと自由に
自分の運命を切り拓いていきたいが、横で母親があーだこーだ
と意見する(当たり前だけどね、王女なんだもの)この対立がね^^;
自由には大いなる責任が伴うことを、まだまだこのお嬢ちゃんは
分からないから、ここでひとつ大事件を起こしてみましょう!と
いうことで鬼火…森の魔女…魔法…となるんだけど、なんだか
この部分の神秘性と恐怖感がまるでない。まぁディズニーだから
ホラーにすることはできないだろうけど、ここでメリダと母親の
思いの丈をグッと詰められなかったかなぁ…と思い非常に残念。
母娘の関係性を冒頭からグイグイ突っ込んで描いていけば、
メリダが今後どうしたいのか、その思いに母親がどう応えるのか、
(おそらくこの二人は今後も何かと対立し続けると思うけど^^;)
のちに王国の指揮をとるのは娘になるのだから、親もどこかで
容認する必要が出てくる。同時に娘も母の忍耐が身に沁みるのだ。
女性監督ならではの着眼点は鋭いものの、
深い感動に繋がっていかないのは掘り下げ方が足りないからか?
いやぁ~しかしメリダ姫、よく頑張りましたねぇ。
声優のAKB、まずまずだけどもっと声に強さがあると良かったか。
三つ子の弟(どう見てもトンチンカンを思い出す^^;)
お母さんと比べて、ずいぶん簡単に元に戻った気もするけど…(爆)
力は強いけど、妻にめっぽう頭の上がらないって国王のお父さんも、
現代のお父さんぽくてけっこう面白かった。
ピクサーの次の挑戦は、女性目線で物語に感動を紡ぐというお題を、
どう描きこんでいくか…になるのかな。
ちなみに短編二本は、かなりの出来映え。
トイストーリーは今回も素晴らしい。これに1800円(はチト高いか)を
出すのは納得がいく、というのがこれまた皮肉^^;
(似たくないと思えば思うほど…親にはどんどん似てしまうもので…)