劇場公開日 2012年8月25日

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「原作の魅力を十分引き出した秀作」るろうに剣心 pipo1015さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作の魅力を十分引き出した秀作

2012年9月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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萌える

昔実家で子供たちが持っていたコミックを読んだことがあります。一度だけなので細かなストーリーは覚えていません。原作からの実写化は、過去の例から見れば賛否両論入り混じっているものだが、この作品に関して言えば絶賛されているようです。それだけ質の高い作品であろう。もう一度コミックを読みたくなった。

主要メンバーの内「龍馬伝」で出演した佐藤健(岡田以蔵)香川照之(岩崎弥太郎)青木宗高(後藤象二郎)蒼井優(お元)の起用は監督が同じで、気心が知れているからでしょうか?
動乱の幕末、京都で最強の暗殺者として恐れられていた「人切り抜刀斎」と言われたが緋村剣心(佐藤健)明治を迎え流浪人となった。しかも音信不通のままであった。
鳥羽伏見の戦いから10年後、いよいよ日本が世界と肩を並べるため富国強兵へと時代が進もうとしていた。最後の内戦の西南戦争が終結したが、世情が未だ不安定で新政府に対して不満を持つ元士族が“廃刀令”に反感を持っていたはずである。行き場を失った元士族が武田観柳(香川照之)の下で用心棒として雇われる。当然のことなのである。

あえて説明する必要もないが、剣心が武器とする刀は“逆刃刀(さかばとう)”である。“不殺の誓い(ころさずのちかい)”を立てて相手を殺さずに相手を倒すためである。この時代としては最も有効な武器である。原作でよく考えだしたものだと感心します。もしかしたら実在しているのかな?
それに対して斎藤一(江口洋介)は「なんだ、このふざけた刀は」と言っている。剣に生きる者としての不満を吐き出しているのであろう。

神谷薫役の武井咲さんは、今年になってから出演が多くなったような気がします。ただ神谷活心流の師範代としては、力強さが見られないのが残念である。ただの剣術好きのおてんば娘でしかない。恐らく殺陣(たて)を練習する時間が取れなかったのではないかと思いますが、もしそれを理由にするのであれば、素人役者。まあ本人はそこまで意識していないと思います。時代劇初挑戦にしては上々でしょう。続編に期待します。あればの話ですが。

るろう人としての剣心の「おろ」「拙者は」「~でござるよ」はおとぼけキャラと抜刀斎の剣客キャラとのメリハリのある使いこなしが楽しませてくれます。二重人格ではない自然に発しているのがいい。
抜刀斎の飛天御剣流はニセ抜刀斎の鵜堂刃衛(吉川晃司)の時だけだった。外印(綾野剛)との対決では飛天御剣流ではありませんでした。続編ではきっともっと披露してくれると思います。あればの話ですが。(二度め)
剣心役の佐藤健さんは、かなり殺陣を練習したと思われます。
“殺陣”とは難しい話はなしで、端的にいえばチャンバラである。でもこれは奥が深い。
型にはまった演技なのでもちろんアドリブは出来ない。と言うより厳禁である。
見た目は演技なので誰でもできると思いがちである。経費や安全面で竹光など本物ではない模擬刀を使用するが、それでも一瞬の間合いのずれやアクシデントでも大けがをする場合がある。演技とは言え真剣勝負を求められるのである。
そして、見た目の優雅さ、流れる動作、立ち居振る舞いは、まさに日本が誇る芸術である。

高荷恵(蒼井優)が剣心と薫の仲に割ってはいる言動をし、薫に対して嫉妬させる小悪魔的な一部分が垣間見える。それが小気味いい。順風満帆な男女間の仲で終わるより、ひと波乱あった方が観る方としては楽しい。そのことはきっかけでお互いが強い絆で結ばれるのだから。結果が分っていても楽しいものである。

冒頭での斎藤一(江口洋介)が「誠」の旗を放り投げる行為は解せない。なぜなら「誠」は新選組の象徴のであり、「誠」の隊旗のもと命をかけてきたのである。監督はそこを考えていたのだろうか?
あと鳥羽伏見の戦いで斎藤は巻きタバコを吸っていた。この時代はあったかな?時代考証は正しいのかな?明治になってからも巻きタバコを吸っていました。可能性が無いとは言えないが・・・それに対して恵はキセルでした。当時としてはこれが正統であると思います。
プチツッコミでした。

pipo1015