劇場公開日 2012年2月4日

  • 予告編を見る

「わんこザムービー」人生はビギナーズ ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0わんこザムービー

2012年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

物語運びが非常にユニークですね。
話の冒頭でイキナリ父が「ゲイ」と明かすところも中々イキだなー、と。
主人公オリバー(マクレガー)のモノローグで様々な年代の時系列を目まぐるしく移行し2003年の舞台・現在と対比させ、その時々に父がゲイであった事実の「ああそう云えばあの時」感と、母は一見奔放でありながら心に何か得体の知れないモノを抱えていたことを示唆し、現在から数年前の父のゲイカミングからの闘病生活模様を挟みつつ、一人の女優アナ(メラニー・ロラン)と奇妙な出会いを果たし恋に落ち、そこから僕らはどうなっていくんだろう、という、まあ複雑に見せて話は単純で、見せ方、控え目なユーモア感、軽いコメディ要素、別にマイノリティーに偏見を持ってるつもりはないのに、しきりに父のパートナーから「偏見を捨ててくれ」的に云われる感じとか、何だろう、そういう語り口が全部心地よく楽しかったです。
映画を包む雰囲気が兎に角優しいんですよね。

それで、まあそれは置いといて。
自分が一番言いたいのはそこじゃないんですよ。

犬なんですよ、この映画は。

犬!犬が可愛い!
親父からの唯一の忘れ形見、アーサー君!
オリバーの後ろをチョコチョコ付いて回るし、字幕で語りかけて主人公の話し相手になって上げたり、家に置いてかれると悲しげに鳴くし。
もう!「もう何だこの愛らさは!」と!
「何だこの傍に置いときたい感は!」と!
あんなキョトンとした顔されて話しかけられたら一日中でも語り合いたいぐらい!
オリバーだけじゃなく、一旦仲良しになったらアナの後ろ付いて歩くし、ゲイ役のゴラン・ビシュニックにべったり懐いたり。嗚呼!俺にも懐いて欲しい!
自分犬飼ったことないんですけどね、ジャック・ラッセル・テリアって云うんです?飼いたくなりましたよ本当!

この忠犬名犬迷犬アーサー君のお陰で、主人公オリバーの深い喪失感がどれだけ中和されたことだろうか、という。
たぶん、この映画の7割8割方はアーサー君がイイトコ持ってっちゃってます。
マクレガーもメラニーもクリストファー・プラマーもお株取られちゃってます。

いやー、とても良い犬映画でした。

ロロ・トマシ