ガール : インタビュー
「男女問わず共感できる、小さな選択でも大きな選択でも当てはまる、そんなセリフだったので印象に残っています。たとえば、食事に行ってハンバーグを頼んだけれど、ステーキにすれば良かったっていう小さなことから(笑)、人生の選択まで当てはまる、とても深いセリフだなって」。そして、優しくほほ笑んだ後にキリッと表情を変えて語ったのは、香里奈が歩んできた28年間のなかにある“選択”。人生を振り返り思い出したのは、名古屋でモデルをはじめた頃の自分だった──。「名古屋のモデル事務所に入ったのがこの世界に入るきっかけでした。その当時、モデルの仕事をするという判断も、名古屋から上京するときも、モデルだけではなく女優もやらせていただくという選択も、今それを続けているということも、どれもが私にとっては大きな決断。由紀子と同じように違う道があったのかなとも思いますし、今ぐらいの年齢になると、地元の友だちは結婚したり子どもが産まれたりして、ああ、そういう選択をする時期なんだなって思いますし、自分はどうすべきかと悩むこともあります。けれど、人は人、自分は自分なんですよね」
「自分らしく」をモットーに歩んできたからこそ、モデルと女優の両方の世界で活躍する逸材として輝き続けられるのだろう。モデルと女優の二足のわらじを選択した理由は、「あまり前例がなかったからこそ試してみたかったというのと、単純にどちらの仕事も好きだったから。欲張ってしまったんです(笑)」。このコメントだけでも、好奇心旺盛な性格であることもうかがえる。先に出た「生まれ変わるとしたら?」についての香里奈の見解は、「次は男性に生まれてみたいんですよね。一度、男性として生きてみてから選びたいんです」という挑戦的な答えであり、どこまでも香里奈らしいものだった。そして、28歳の今を見つめ、香里奈流の女の人生の頑張り方を伝授する。
「モデルと女優もどちらも100%で臨むので、当然大変さは2倍になるんです(苦笑)。でも、いいことも2倍。マイナスポイントは忙しかったり大変だったりという時間の問題ぐらいなので、仕事においては相乗効果でいい方向に出ているんじゃないかなって思っています。逃げ出したくなることもしょっちゅうありますよ。それでも、今の頑張りが30代の私を作るわけだから、今を頑張りたくて。忙しいのは自分だけじゃない、世の中にはもっと忙しい人がいるって考えると、私はまだまだだなって思えるし。いま頑張っていることは後々につながるはず。長い目でみたら、あのとき頑張って良かったなって思う日がきっと来る。あのとき頑張っていれば……という後悔はできるだけしたくないんです」。そんな香里奈の30代を楽しみにしつつ、今の香里奈の頑張りを込めた映画「ガール」で、自分自身のガールを探してほしい。