劇場公開日 2012年4月13日

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「浅野忠信が画面を引き締める」バトルシップ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0浅野忠信が画面を引き締める

2012年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

映画会社のOPロゴをCGで描くようになってから作品の内容に合わせた工夫が見られて楽しい。
今作では、地球の裏側から出てくる「UNIVERSAL」の文字がカチッとした書体のシルバーメタリックで、「BATTLESHIP」のロゴと統一してある。

さて本篇は、「ジョン・カーター」と同じくテイラー・キッチュによる無鉄砲な滑り出しだが、本作のホッパー役の方が若々しくシャープだ。ただ、この俳優は突出したものがなく目立たない。まるで007のティモシー・ダルトンみたいだ。
恋人役のブルックリン・デッカーもやや地味で、ミーガン・フォックスあたりを使って欲しかったが、そのぶんを海軍兵曹レイクス役で俳優デビューの歌手・リアーナがカバーして余りある。

シェーン提督のリーアム・ニーソンが、ほとんど蚊帳の外ならぬバリヤーの外に置かれたのは、話がすっきりしていい。最後はきっちりいいところを持っていく貫禄を見せる。
肝心のエイリアンとの戦闘では、浅野忠信扮する海上自衛隊護衛艦「みょうこう」艦長のユウジ・ナガタ一等海佐が存分に働く。ナガタはホッパーと並ぶ主役級の重要な人物で、ときにはホッパー以上のナガタの活躍に日本人としては誇らしい気持ちになる。

エイリアンによる地球侵略の映画は多いが、「海戦」というところがユニークだ。第二次世界大戦以前の戦記ものならともかく、現代の戦闘もので艦隊が出てくることはまずない。今の艦船は、航空機を運ぶこと、航空機に情報と指令を送る支援活動と連携活動が主な行動で、どうしても画的に航空機を花形に据えてしまう。
だが海戦に於ける敵艦との間合いをとっての攻防は、どこか野球的であり、一瞬でカタがつく空中戦と違い、その戦略がよく見える。

艦隊が壊滅状態のなか、最後はそうきたかの逆転エピソードはまさに9回裏二死走者なしからの逆転劇だ。
日米が開戦した真珠湾沖を舞台に、これまた日本が降伏の調印に使った式場まで駆り出して、輝ける米国海軍の歴史と退役軍人を称えつつ、かつては敵国同士だった日米の若い将校が協力して未知の敵から地球を守る。なんとも出来過ぎな話だが、観終わってスカッとする。

大して経験もないホッパーが、なぜあの捨て身の荒技をとツッコミたくもなるが、そういや「パイレーツ・オブ・カリビアン」でも、同じ技を素人の小娘が指示していたことを思えば許せる。

マスター@だんだん