劇場公開日 2013年3月22日

  • 予告編を見る

「何であれ、大きすぎると問題です」ジャックと天空の巨人 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5何であれ、大きすぎると問題です

2013年4月12日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

興奮

ブライアン・シンガー監督作品としては珍しい、ド直球のエンタメ大作でした。

巨人の恐ろしさやそれを支配する者の姿にこれまでの
シンガー監督作品との共通項を見出だした方も居られるようだが、
今回は作品の事を調べない限りは、彼が撮ったとは分からない映画だったと個人的には思う。
むしろ多数の人間から疎まれながらも新天地を求める巨人達に対して
多少なりともシンパシーを感じさせる描写があってこそ
ユダヤ的かなあと思うのだが、それはユダヤ人というものを単純視し過ぎかしら。

悪いヤツは悪くて善いヤツは善い。
スジは分かり易いし話のテンポも早い。
なので本作、単純明快で安心して観られるのだが、作り手の個性がよく出ているとは言い難い。
けれどそれは、自分のスタイルにこだわらず、
誰にでも楽しめる映画を作ろうという気概の表れかな。

ジャックとお姫様のロマンスが駆け足過ぎるとか、
物語の鍵を握るあるアイテムがあまりに都合が良すぎるとか、
全体的に展開が性急なのは気になるが、
その分見せ場に次ぐ見せ場の連続で飽きさせない。

目も眩むような高さの豆の木を登ったり跳んだりする中盤や
燃え盛る樹木がこれでもかと飛んでくるラストの戦闘シーンはかなりの迫力!
今回は3Dで観とけば良かったなあとちょっと後悔してます。

本作一番の特徴である巨人も怖い。
ボスも含めて個性が薄いのと、やたらめったら汚ならしい(笑)のがタマにキズだが、
全速力で逃げる人間をホップ・ステップ・ジャンプ(3歩かよッッ)で捕えるシーンや
大平原を集団でズドドドドッと追い掛けてくるシーンの怖いこと怖いこと!
ファミリー向け映画だとは思うが、これ、怖がりな子だったら泣くレベルだよね。

主人公を演じたニコラス・ホルト。
『アバウト・ア・ボーイ』のヘンな子がカッコ良く成長したね〜。
あれだけ勇敢な行動を見せる理由にもっと説得力が欲しかったが、
(これもロマンス部分をはしょった弊害かな)
フレッシュさと古典的ヒロイックさが相俟って良い良い。
ヒロインのエレノア・トムリンソンもこれまた少し古風な感じの美人さん。
庶民的な雰囲気とエレガントな雰囲気を併せ持った所が魅力的。
ユアン・マクレガーはその姫を守る勇敢な隊長なのだが、
いつもと違うチャキチャキした発音や、ミョーに緊張感の無い感じがなんだかユーモラスで良い。

という訳で、観て損ナシの3.5判定!

〈2013/3/22鑑賞〉

浮遊きびなご