「USB!USB!カモン、ベイビー、無茶苦茶~♪」この愛のために撃て kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
USB!USB!カモン、ベイビー、無茶苦茶~♪
『すべて彼女のために』のフレッド・カヴァイエ監督。『すべて』もかなり面白かったけど、こちらは上を行く。善良な一市民が犯罪に巻き込まれてゆく過程を大胆かつスリリングに描いていて、そのドキドキ感は85分という短い尺の中に凝縮しているのだ。
容疑者サルテ(ゼム)はなぜ追われているのかわからないという状態で交通事故に遭ってしまい、病院に収容される。その晩に白衣を着た闖入者が吸入管を切るという事件が起きた。その処置をしたのがサミュエル(ルルーシュ)であり、彼を尾行したサルテの弟が彼を襲いナディア(アナヤ)を誘拐。サミュエルは脅迫通りにサルテを連れ出すが、サルテも弟も何者かに命を狙われていたのだ。
その追手は警察内部のヴェルネール(ジェラール・ランバン)率いる捜査班だった。彼らは警察の仕事以外にも裏の仕事をやっており、ある資産家殺しを実行し、強盗常習犯のサルテを犯人でっち上げようとしていたのだ。サミュエルの悩みを聞いてくれた殺人課のファーブル(ミレーユ・ペリエ)が現場にかけつけると、無残にもヴェルネールの部下に殺される。サミュエルは無実の刑事殺しの罪をも被せられ、逃亡犯として追われることになる。サルテとサミュエルは結託して、ヴェルネールの殺害現場を撮ったUSBを奪おうと計画する・・・
腐敗した警察内部を描く映画はやはりフランス製がピカイチ。残忍で手際よく、世で無事に解決した事件さえ捏造があるんじゃないかと妄想が膨らんでしまうほどだ。また、終盤には思いがけない手法で警察内部の部屋に侵入する!サルテがボスに頼んで、ある時間に一斉に軽犯罪を起こさせるのだ。警官たちはあちこちの現場に駆り出され、阿鼻叫喚ともいうべき忙殺される雰囲気の中、POLICEの腕章をつけただけで侵入に成功するサルテたちだった。サルテの弟も殺され、サミュエルの妻も警察に監禁され、やがて事故死を装って殺されそうになる。無茶苦茶な警察!
そんな警察のなかでもファーブルの部下スジーニ(クレール・ペロ)の思いやりの目がよかったな。