ミッドナイト・イン・パリのレビュー・感想・評価
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あっさりとした幕閉じ(いい意味で)
先ずは風景、次に背景音楽すべてがうまく混ざっていて心地よかった。過去への強い羨望がスリップの引き金に。
時に良い方向に。時に悪い方向に。身まで委ねたのが、アドリアナ。彼女はこれからもエポックを彷徨うことになってしまうのでは?そんな不安が残りました。
ギルは一度は委ねたまでもそこのカラクリに気付くことが出来たから、現実そしてこれからの未来に向かうことが出来たのかな。
過去との交流は懐古するところまでが丁度いいんです。
脚本の美しさに惚れました。
ウッディ・アレン監督作品はクセがあってなかなか好まれないようですが、
この作品だけは万人にウケる気がする…!!
全てが美しき都市、パリの今と昔(1890年代)とを行き来する主人公。
過去で出会った女性に一目惚れをし、今付き合っている女性とは婚約を結ぶもグダグダな関係。
昔のパリの景観、ことば、目に映る全てが美しく感じ興奮の連続だけれど、主人公が選ぶ道は意外な結末。
主人公は婚約者に対してとても不誠実なんですが、それは婚約者も同じ。
ラストにスカッとお別れしてくれる様が爽やかです。
前半を観ていると、ああもう主人公はすぐに過去のパリに居座りたくて仕方がなくなるんじゃないだろうかと思わされますが、中盤にくると主人公の中に生まれてくる疑問にどこか共感し始めてしまいます。憧れは、あくまでも憧れ。今を生きる自分を大切にしよう というラストに微笑みたくなりました。
昔のパリの調度品の美しいことよ!映像だけでも楽しめるのに、ストーリーも奥深く、キャラクター性も深く掘り下げた名作だと思います。
初ウディアレン
深夜のパリを舞台に不思議な車によって1920年代、さらには1890年代へとタイムスリップしてしまった映画脚本家ギルことプルシェンコ似のオーウェンウィルソンが現代の婚約者イネス(レイチェルマクアダムス)という者がありながらも、1890年代の世界で出会ったピカソの愛人アドリアナ(マリオンコティヤール)に惹かれ始め、最終的にイネスとは別れ、アドリアナとも別れ、傷心のところを骨董屋?の店員ガブリエル(レアセドゥ)といい感じになって終わるなんとも許せない作品(嫉妬)
初ウディアレン!この人ものすごい歴史がある映画監督みたいでどっから手つけていいのかわからずとりあえずレイチェルマクアダムスとレアセドゥ観たさに鑑賞笑。
旅先で出会った過去の偉大な芸術家や小説家らによってパリに魅了されていく主人公をコミカルかつ芸術的に描いた作品。ピカソやヘミングウェイ、フィッツジェラルド辺りは聞いたことあるのでうんうんとなるが、ジャンコクトーやガードルードスタインなどはどんな存在なのか知らないためギル並のリアクションは取れない笑。驚いたときのギルはココリコの田中みたいだった笑。
パリのオサレ感が前面に出てて行きたくなる上に住みたくなる。トムヒが変な髪型だけどやっぱカッコよくてでもやっぱ変な髪型ってなる笑。キャッチコピーも含めて素敵って言葉がよく似合う作品。だけどイネスのピアスをアドリアナにプレゼントしようとするギルのクズさには笑う。
小難しい辻褄合わせはなく、そんなものが重要な話ではないのだと思う。...
小難しい辻褄合わせはなく、そんなものが重要な話ではないのだと思う。ギルは過去に残ることは選ばないけれど、恋人と別れ、パリに残ることは選んだ。それは不思議な力で導かれる過去、その過去に憧れる「逃避」ではなくて、手堅い道を捨てて自分の本当にやりたいことを自分自身で選ぶ、という「選択」をした、という彼のひとつの成長なのと思う。しかし一方でアドリアナの選択もまた格好いい気もする。それはアドリアナにとっては、それは逃げてばなくて選択だったからなのかもしれない。また見たくなるかも。
パリ
もちろん出てくる芸術家も豪華だけど、出てくる役者さんもかなり豪華だと、、
雨の日までオシャレに見えるパリの町並みが堪能できる映画だと思いました。
それ以外は、、主人公があんまり良い人じゃないなって、芸術家は変わった人が多いのかな笑
アレン印のパリタイムスリップ旅
京都シネマ名画リレーにて鑑賞。会員500円の素敵企画です。
ミッドナイトインパリ、やっと見られました!
タイミングが合わなくてみられてなかったのですが、うまい具合に劇場で見られてラッキーでした。
ウディアレン印のタイトルロールとエンドロールと音楽と喋りすぎる人たち。落ち着きました。
イネスとその父母が結構やな感じですね。
一番うざいのはヒゲのポールですが。
イネスはあのヒゲのどこがいいんだか。
楽しいタイムスリップものですね。パリはその時代の衣装を着た人物だけを用意すれば違和感ないような場所いっぱいありますもんね。
ヘミングウェイにピカソにダリにフィッツジェラルドなんていう有名人が出てきます。そしてジルの心をつかむのはアドリアナという美女。マリオンコティヤールです。かわいいです。
現代のノスタルジーショップの売り子・ガブリエルにレアセドゥー。まー、フランスの売れっ子美人女優が目白押し。
ロダンの墓?でガイドしてた女性も綺麗な方でした。
ストーリーはあってないようなものですが、いつの時代の人も現実逃避的に過去を美化するということが描かれています。いい皮肉だと思いました。
そして、ギルはイネスと別れ、パリに住むことにするのです。
あっさりぱぴっと短く終わります。
ウディアレン的な様式美ですね。
気があうなぁと思います。
見始めたのはここ2,3年ですが、アレンのいきている間に好きになれてよかったです。
あぁ、今日から世間は黄金週間。
わたしは普通にカレンダー通りの休みですが、休暇気分をあじわえ、いい骨休めになりました。満足満足。
パリに行ってみたい!
パリの街並みがすごく綺麗だった。昼間も夜も建物も川沿いも車もすごくオシャレ。
本当に行きたい。絶対行く。
物語は感動ものかと勝手に思っていたら、全然違った。笑 終始コミカルな音楽が流れてる感じ。当時の音楽も素敵でした。
過去に憧れてしまうけど、今を見つめないと。
無理して相手に合わせるくらいなら、相性が悪いと分かっているなら、離れることもしなくちゃ。その先で素敵な出会いがある。羨ましいー
ぁ、今回も人が多すぎて隣にも人はいるし、ポップコーンの音うるさいし、隣の人の鼻息気になるし、笑い声すごいしで…仕方ないけど…やだなぁ。
知的で上質
正直、始まりの二組のカップルやスノッブな婚約者の両親、パリのアメリカ人たちにうんざりし始めた頃に、本当の物語が始まる。
色彩の違う過去のパリ。
もはや歴史上の人物となった芸術家たちと次ぎつぎ出会う主人公。
たぶん彼らの半分くらいしかわからなかったとおもうが、十分に空気が感じられ、楽しかった。
ウディアレンに恋した
面白かった!タイムスリップ物で一番美しい作品だと思う。現実は厳しく汚れてるかもしれないけど、ここで生きるしかないものね。説教くさくないけど、ウディアレンに優しく諭される作品だった。キャスティングも良かったし、とにかく観て感激している。パリに行く前にウディアレン作品を遡る旅に出ます。
ヘミングウェイの言葉「あちこち旅をしてまわっても、自分から逃れられることは出来ない。」という事だな。
考え方を問い直す名作
パリの美しさと古き良き時代の素晴らしさを堪能!パリには何度も足を運んでいますが、こんなに素敵な場所だと思ったのは初めてです。
また、解雇的な考え方ながらも、イネズという女性の性的な部分に惹かれて自分の気持ちに結論を出せないギルが、アドリアナという女性の考え方に共鳴を受けながらも、その姿に自分を重ね、成長をしていくストーリーにも非常に共感がもてる。
過去の素晴らしい事に学び慈しみながら、現代を自分の強い価値観を持って生きることを強く感じさせる名作だと思います。
ウッディ・アレンの俺様劇場
小説家志望の男(もう若くないやや中年)がパリにやってきたら…というお話。
「ボク、夢があるんだ!今の仕事辞めて小説家になるんだ!!」
なんて突然男が言い出したら、たいていの女は
「はあ?何言ってんの?それで成功出来るの?お金になるの?もっと現実見なさいよ」と思うだろう。
それに対して男は「いつだって世間はボクを理解してくれない!ボクって孤独!!」と拗ねる。めんどくさいことこの上ない。
で、拗ねて向かった先はノスタルジー溢れる1920年代のパリ。
タイムスリップした先では、当時の有名人たちと楽しくパーティー。麗しきパリの姐さんとも懇ろになり、さらには有名著作家に自分の小説の添削までお願いしちゃう。
なんて都合の良い話なんだ!!!!!
そう、いつだって男というものは自分に都合のいい夢をみる。
若くなくても夢をみる。
オレの才能、趣味の良さ…いくつになっても信じてたい。
ボギーやジェームスボンドよりオレの方がカッコイイと思ってる。
オレの良さを理解してくれる女性がいつかきっと現れるはず…。
男のそんな愚かさ可愛さを、どうか笑って許してくださいなと、ウッディ・アレンは映画を差し出す。
夢や感傷に浸った監督自身のアイロニー。
嘲笑するもよし、自分の身に置き換えて苦笑するもよし。
ただただ夢の素敵さに浸るもよし。
ウッディ・アレンの俺様劇場…観客にとっても苦くて甘い夢のひとときでした。
ふわふわした良作
自身初ウッディ・アレン作品。
どこかふわふわとした楽しい作品。
ちょっと違うのかもしれいが見てる最中に思ったことを書いておく。
昔に「こち亀」で読んだんだと思う。
ピラミッドの壁画にも書いてあったそうだ。
「近頃の若者は…」と。
いつの世にも回顧主義はある。
もっと言えば、自身の若い頃や幼い頃を懐かしみ戻りたいと思うのも同じ様なものなのかも知れない。
だが作中でも主人公ギルが憧れていた時代の人たちは嘆いていた。
昔は良かったと。
結局「ちょうどいい時代」なんてないのだ。
昔を懐かしみ憧れながら現世で足掻くしかないのだなと思った。
しかし作中出てくるインテリぶる男。
心底ムカついた。
さらに彼に心酔する婚約者にも腹が立った。
故に見事である。
あの二人が居たお陰で過去に逃避した後の浮遊感、安心感が増したと思う。
二人共覚えて置きたい役者だ。
素敵な余韻が続く素敵な物語でした
ノスタルジーと文学と雨のパリを愛する男の物語。
結婚を控えて、婚約者の両親のパリ滞在に同行するところからスタートしていき、ふとしたきっかけでタイムスリップして自分の崇拝する芸術の黄金時代へと紛れ込みます。
このタイムスリップが実に現実的でもあり幻想的でもあり神秘的でもあって面白い。まったく「タイムスリップ」って意識が無いのですよ。
僕もこの主人公と同じように、昭和40年頃が日本の黄金期と思い込んでる手ですので、すごいストーリーに引き込まれていきました。
自分の愛する崇拝する芸術家達とつぎつぎに出会っていく様子はなかなか面白いです。
各芸術化のキャラクターを特徴的に演出されてますので、この手の話に敏感な人には結構面白いようで、劇場内もけっこう笑いが上がってました。
もともとウディアレンの作品って何かこう違和感もってどこが面白いんやろ・・と思ってたほうなんですが、今回の作品はなかなか一般受けしやすい素直な面白さに満ちてましたね。
僕はフランス映画とかフランス文化ってどちらかというと苦手なほうですが、この映画みてるとパリに行ってみたくなりました。
最初の婚約者には「雨のパリ」が理解されていませんでしたが、
物語のラストで主人公と感性を共有できるであろうニュアンスをたっぷり感じさせる素敵な女性と意気投合していくシーンで締めくくります。
やっぱり人生のパートナーは、心の感性を共有できる人であるって素晴らしいし理想ですね。
どこかで見た女優さんだなーと思ってたら007で凄腕の暗殺者役してた人でした!
でも、007の時も不思議な魅力を感じてたので、こういう役柄がいちばんぴったりしてる女優さんなのかな!
帰路につきながらも、一番最後のシーンがずーっと頭から離れなかったかな。
素敵な余韻を残してくれる美談でした。
できたら、パンフレットを先に買って一読しておくとより楽しめるかも!
幻想とノスタルジー。
男というものはまったく夢見がち…なんてよく言うけれど、
いえいえ女だって夢しか見てないようなタイプはいますよ。
ホラここに…^^;などと言ってみる。
だいたい映画好きが夢を見れないでどうする!
絶対起こりそうもない出来事が起こるから映画は楽しいのだ。
自分の人生と比べて云々…という理屈では成り立たない。
女は確かに超現実的(これは生きる上でそうなってくる)だけど
決して夢を見てないワケではないのだ。叶いそうな夢を選んで
実現させている…だけ。そう、小さなことからコツコツとねぇ^^;
初めからドン!とデカい夢を据え置いてしまう男性の威力と
先窄みになっていく儚さを目の当たりにしたおかげで?
ギャーギャー煩く言ってしまうのが女。だけど夢なんて結局、
叶う叶わないことより、抱いているのが楽しいんだけどね~。
で、1920年代のパリ。いいですねぇ~♪
なんかもう出てくる著名人が面白すぎて^^;笑えるのなんの。
呆気にとられつつ会話を楽しもうとする主人公の熱意も素敵、
文化とオシャレとコメディがそつなく混ざり合った極上舞台。
W・アレンお得意の分野という感じですねぇ。
ゲージュツに理解ある相手を選ぶなら、ゲージュツ家の愛人
の方が確かに手っ取り早いかもしれないけど(爆)
同じ部分で笑い合い、涙し、理解し合えるのは本当に大切。
だけど根本的には赤の他人なので多少のズレはあるワケで、
それを補い合える相手でないと、ムリが長じてやがて壊れる。
自分が一番大切に思うものが何であり、それをどうしたいか、
その流れにスッと乗ってきてくれるヒト(爆)が一番お似合い。
劇中で「おっ?」と思う出逢いがあった。
おそらくそうくるんじゃないかと思ったら、本当にそうなった^^;
過去の栄光や栄華に対して、稀代の輝かしさを感じるこの頃。
あの頃は~だったなぁ♪あの頃の映画は良かったのにねぇ~♪
なんていう常套句を最近頻繁に使うようになった。
ノスタルジーに浸るにはもってこいの年齢になってきたってこと?
だから今作も自分にスッと入ってくるんだな…と思える。
しかし過去で生きることはできない(実際には)から、
現実世界で少しでも^^;心地良く生きていこうと思うのが人間。
パリの幻想は(短い上映時間内で)こんなに幸福にさせてくれる。
(やっぱダリ~♪がかなり面白かった。ヘミングウェイ格好良すぎv)
現在に生きるためのファンタジー。
ウディ・アレン監督作品は、どちらかと言うと私は苦手。
でも、この作品は、ロマンチックなファンタジー要素が程良く、とても居心地の良い作品だった。
婚約者のイネズと心のすれ違いを感じたギルは、真夜中に一人散歩に出る。
午前0時の鐘の音と共に現れた旧式のプジョーに乗り込むと、そこは何と1920年代。
その1920年代で、ギルの目の前に現れるのは、彼が憧れ続けている著名人達。
フィッツジェラルド夫妻、ヘミングウェイ、コール・ポーター、ガ―トルード・スタイン、ピカソ、ダリ、マン・レイ、ゴーギャン、ロートレック、ベル・エポックたち。
そんな著名人達のそっくりさんぶりが、とても楽しい。
詳しくは知らないけれど、きっと、そんな人だったのだろうな~なんて素直に思える。
ある人には、作品のアイディアを教えたり、
ちゃっかり、美人と淡い恋をしたりしてね。
タイムトリップは、まるで魔法のようで、とても気持ちが良い。
古き良き時代を十分に堪能できる。
絵画を切り取ったかのような映像も綺麗だった。
魔法話のラストもステキだった。
オーウェン・ウイルソンのコメディも良いけれど、こんな作品も良いね。
結局不倫かよ(笑)
1920年代にタイムスリップしてしまう小説家の話。
映画はヘミングウェイ、ピカソ、ダリ、ゴーギャンなど過去の芸術家が次々登場。その辺文学やら美術やら詳しくないと、この映画は見る価値がない。
俺みたいに「ピカソの名前なら知ってる」程度の知識だと退屈そのもの(笑)
時空を行ったり来たりのストーリーはぶっちゃけありきたり。個性的なキャストと独特なジャズナンバーは面白いが、映画自体のアイデアは乏しい。
何より結局安い不倫で締めるクライマックス。ラストで新しい出会いにニコニコしてた主人公が失笑もの。
おすぎさんだけではなくて、きっとみんなが好きになれる最高の映画です!
グリム兄弟が描いた「シンデレラ」はミッドナイト=12時になると魔法が消えてしまうが、
ウディ・アレンがパリに仕掛ける魔法は、ミッドナイトから幕開けだ!
オーウェン・ウィルソン演じるジルは婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の両親に誘われて憧れのパリに4人で訪れる。
ジルはイネズに確かにラブラブだが、ブルジョア育ちの彼女とは生活感がどうにも相容れない。
そんなジルとイネズとその両親を交えたパリのレストランでの会話は、またいつものウディお得意の辛辣なユーモア溢れるセリフが機関銃の様に連発されるのだ。ネタバレになるのであまり多くは語れないけれど、決して噛み合う事の無い議論がジルとイネズの父の間で交わされる。こんな人間関係で結婚の行方はいかに?と思っていると怪しくも、イネズの大学時代の先輩が奥さんと共にパリへ来て偶然遭遇。ここからまた新たな人間関係が成立してゆくと言う話だ。
そして、ハリウッドで脚本家として成功を収めているジルは、生活の為にチープで詰まらない映画の脚本はもう書きたくない。そこで、彼はパリに移住し、小説の執筆を始め、人生の再出発を結婚を契機スタートさせようと夢見ているのだ。
作家は皆子供だと言うセリフが出て来るが、芸術家とは、創作活動に専念するため、現実的な日常の糧をどうするかと言う金銭感覚を持ち合わせて生活を考える人は少ないようだ。
ジルは、ひたすらパリに恋して、パリの街を彷徨い、20年代のパリの芸術家に憧れているとミッドナイトの魔法が、ジルの願いを叶えて、彼はヘミングウェイや、ピカソ、フィッツジェラルドと出合い、様々なアイディアや助言を持ち帰り、執筆にのめり込んで行くと言うお伽話だ。
ウディの創作する脚本は、どれもドギツイユーモア溢れる機関銃の様なセリフの連発でその時代と人間を風刺してきて、そのテンポの良いリズム感と、音楽のセンスのすこぶる良さも相まって、彼の映画はいつも人生を踊り明かしているような軽快なリズムを放ち、観客を楽しませてくれているのだ。
そして、今回はパリの魅力溢れる街並みを存分に味わい尽して、そしてまた、20年代、更に時代は過去へとタイムスリップして行き、遠く昔の芸術家達との交流を通して、ジルは作家としての観察眼により磨きがかかり、自分の作品に対して自信を付けてゆく!
ウディの作品は早送りの様な会話のテンポのリズム感と尖がっているセリフが大好きな私であるが、先日「人生万歳」を観ていて気が付いたのだが、彼の映画の魅力とは、ヘソ曲がりで偏屈で悲観的に世の中を色眼鏡で眺める人物が登場する事で、常に世の中を風刺して、愛などは、幻想に過ぎない一時的なビジョンであり、真実の愛など続きはせずに、夢に過ぎない、儚い生活こそが、人生の本質であると語っている事が、コメディアンである彼の生き方だとズーッと思っていたのだが、そうでは無くて彼は全くその逆で、ロマンチストでヘソ曲がりでも無く常にお冠真直ぐなキャラの持ち主だったと気が付いた。そして彼ほど人間好きで、人間の良さを表現しようと常に挌闘し続けている作家はいなかったのだと言う事に、遅まきながら今にして気が付いたと言うわけだ!
きっと皆さんは前からとっくにそんな事は解っていたのだろう!
また1つウディの魔法が明かされた気がして、ハッピーな気分を味わえた!
試写会で一足先に魅せて頂いた私であるが、映画館で、また再度観ようと思っている!
芸術家でなくても魅惑されるパリ
ウッデイ アレンの新作映画 「ミッドナイト イン パリ」を観た。アレンの41番目の作品だ。
フランスのサルコジ大統領がモデルだったカルラ ブルニと結婚したとき、カルラのほとんど裸と言って良いモデル時代に撮られた写真を 世界中の新聞社が トップページに でかでかと掲載されたことは 記憶に新しい。その彼女も 一児の母になった。出産のその日 サルコジは ギリシャの経済破綻をいかに救うかで、ドイツのメリケル首相と会談していて、妻の出産に立ち会うことが出来なかった。夫の立会いが当たり前の社会で、出産は夫婦で一緒に経験する試練の機会だというのに 夫はチャンスを逃した。ギリシャをユーロ圏に留めて置くことを優先した結果 夫婦の間にヒビでも入ったら、サルコジは泣くにも泣けないだろう。
そのカルラ ブリニ サルコジが 清楚で知的な美術館のガイド役で この映画に出演している。カメラの接写や キャッツウォークを楽々こなし、フランス語の本を即興の英語で語って聞かせる。知的で 小粋で、ファッションセンス抜群で とても美しい。感心した。
1920年代のパリで活躍していた アーネスト ヘミングウェイも、スコットとゼルダ フイッツジェラルド夫婦も、T S エリオットも、マン レイも 出てくる。おまけにパリのベルエポックの時代にまで遡ってくれて、モジリアニ、ロートレック、ゴーガン、ゴヤ、セザンヌ、ダリ マテイスまで出てくる。過去の栄光パリ、輝けるパリ、芸術のパリ、印象画のパリ、ムーランルージュのパリ、マキシムのパリ、シャンソンのパリ、、、。
ニューヨーク、ブロンクス生まれのユダヤ人のウッデイ アレンがいかに、パリに魅惑されたかが わかる。この映画は彼自身の最初のパリ体験とパリカルチャーショックを映像化したものだ。
ストーリーは
カルフォルニア生まれのジル ペンダー(オーウェン ウィルソン)は作家で ハリウッド映画の脚本を書いている。今執筆しているのは、ノスタルジーという名の店の骨董屋をやっている男の話だ。しかし、婚約者のインツ(レイチェル マクアダムス)は 全然彼の作品を理解しようとしないし、脚本が退屈だと言う。インツは裕福な家庭の娘だ。インツの父親は、パリに商用ができた。これを機会に彼は 妻と娘と その婚約者ジルをパリに伴っていき、パリで休暇を過ごすことになった。
ジルは 初めてのパリに有頂天になる。何もかもが輝いて、芸術の香りがする。過去と現在が混在していて、見るもの聴くものすべてが刺激的だ。ジルはパリを じっくり探索したいのに、婚約者のジルは母親と買い物、夜は商談相手の接待のデイナーなどで、スケジュールは一杯だ。ある夜、友達と出かける婚約者を見送り、ジルは やっとひとり夜の街をぶらつくことになった。歩き歩いて 迷子になることさえもパリでは 心踊る体験だ。そんなジルの前に 深夜の鐘が鳴ると同時に、黄色のプジョークラシックが走ってきて停車する。
誘われるまま乗り込んだ車の中に居たのは 陽気な飲んべい達、スコットとゼルダ フイッツジェラルド夫婦だった。行った先はジャン コクトウの家。ピアノの前には コール ポーターが居て、ピアノの弾き語りをしている。活発な文学談義のあとは、そのままの流れで、意気投合した皆と ガードルード ステインのサロンに出かける。アーノルド ヘミングウェイや、ジョセフィン バーカーにも会って 文学論争を楽しむ。おまけに 自分が書いた脚本を ガードルード ステインに見てもらうことになってジルの心は躍った。酔って帰ったホテルで 婚約者と過ごしても 真夜中に作家達に出合った歓びが大きすぎて 昼間は退屈で仕方がない。
次の夜も次の夜も、ジルは 自分の原稿を抱えて街角に立ち 真夜中にやってくる黄色いプジョーを待つ。乗り込んでしまうともう、夢のような素晴らしい世界だ。モジリアニの元愛人で、ピカソの愛人、アドリーナが ジルの作品を高く評価してくれる。それが嬉しくて ジルは美しいアドリーナの恋をする。アドリーナと一緒に、サロンに集う作家や画家達と刺激的な会話を楽しむ。パリではどんな魔法も望めば実現するのだ。
とうとうジルは婚約者インツに愛想をつかされ 彼女の家族が滞在していたホテルから追い出される。ジルは自由になって、ひとり雨の中をそぞろ歩きする。パリでは雨に濡れることさえ 素晴らしい。
というお話。
これは全く ウッデイ アレンの青春時代に起ったこと そっくりに違いない。1920年代と、ベルエポックの二つの輝ける時代のパリに 焦がれる余り パリを彷徨う若い作家の魂が描かれている。実際、書きかけの脚本が パリで完成することが出来た というような体験もあったのだろう。若い日々の自分を笑ってみせているが、本心は真剣そのものだ。新しいものばかり追い求めてきたニューヨーカーが ノスタルジアという店をやる男の話を書き、タイムスリップしたパリで 自分は2010年から来た旅人だ と言っても誰も驚かない。なぜなら アドリーナもヘミングウェイもフイッツジェラルドも画家たちも皆シュールリアリズムの芸術家だからだ。そこが面白い。
配役では ジルにオーウェン ウィルソンという どちらかというと醜い顔のもっさりしているが知性のある役者を使ったのは、気が利いている。アレン自身が 自分が醜いことをよく知っている。
芸達者な役者たちが 次々とピカソになったり、ロートレックになったり、マチスやゴーギャンになったりして それらしく演じている。フイッツジェラルド夫婦が本当の本人達のようだった。また アドリアン ブロデイ演じるダリも本物みたいだった。すごく素敵だ。
ウッデイ アレン、、、さすが。よく考えて 実によく作られている。90年前のパリのサロンに集まる芸術家達の会話を聞いてみたい人、ベルエポックの頃の画家達に会ってみたい人にとって、この映画は得がたい作品といえる。ウッデイ アレンが嫌いな人でも、この映画なら好きになれる。
芸術家でなくても 深夜の鐘が鳴ったら街角で黄色のプジョーがやってくるのを待ってみたくなるに違いない。
キャスト
ジル ペンダー :オーウェン ウィルソン
婚約者 インツ ;レイチェル マクアダムス
コール ポーター :イブス へック
アーネスト ヘミングウェイ:コリー ストール
ゲートルード ステイン:キャッシー べイツ
アドリアーナ:マリオン コテイラルド
パブロ ピカソ:マルセル デイ フォンゾ ボー
サルバドール ダリ:アドリアン ブロデイ
マン レイ :トム コルデール
ルイス ブニュエル:アドリアン デ ヴァン
T S エリット :デヴッド ロウ
エドガー ドガ :フランコス ロステイン
ヘンリ ロートレック:ヴィンセント メンジョウ コルテス
ポール ゴーガン :オリバー ラボーデン
ヘンリー マチス :イブス アントワヌ スポト
レオ ステイン :ローレント クラレット
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