「通常版よりずっと長いが、全く退屈しない」グラン・ブルー グレート・ブルー完全版 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5通常版よりずっと長いが、全く退屈しない

2013年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

幸せ

総合:90点
ストーリー: 80
キャスト: 90
演出: 95
ビジュアル: 90
音楽: 75

 「レオン」、「ニキータ」と並びベッソン監督の絶頂期の作品の一つ。

 美しい紺碧の海で繰り広げられる、自由に生きる誇り高い男たちの意地。幻想世界にでもいるような青また青の世界。素潜りは競技といっても単純で派手な見せ場があるわけではないのに、それを素晴らしいものに見せるリュック・ベッソンの演出が何より素晴らしい。神秘さの中にも深刻さが同居する。演出の素晴らしさは地上での場面も同様で、ちょっとした食事とか会話の場面が絵になる。
 風景の美しさを映画の演出の一部として取り込む手法は、まるで自然を美として捉えて作品に取り込む至高の日本の芸術のよう。登場人物の科白が多いわけではないのに、美しさや行動で心理や状況を語らせる。そして喋るときはさまになる場面が多い。このころのベッソン監督の演出は本当に衝撃的だった。

 すごい能力を持っているのにふわふわとしてどこか捉えどころのないジャック・マイヨール役のジャン・マルク・バールと、個性の強いエンゾ・モリナリを演じたジャン・レノが織り成す人間模様がまた強烈。恋に落ちてすっかりと可愛らしい女になるジョアンナ・ベイカー役のロザンナ・アークエットも見事。特にジャン・レノは個性的役柄に加えて見た目の独特さがあって、一度見ただけで強い印象を残す。この作品ですっかり彼は有名になったし私も彼にはまった。

 完全版となって随分と時間は長くなったが、それでも退屈することはない。むしろより多くの美しい場面を堪能できてより楽しめる作品になった。

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Cape God