「おせっかいの大切さ。」麒麟の翼 劇場版・新参者 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
おせっかいの大切さ。
原作は(ほとんど)読んでいないのだが^^;
TVシリーズの大ファンで、すべて観ていた。
スペシャル版もかなり良かったので、劇場版も期待してた。
加賀恭一郎=阿部ちゃんがすっかり板について、
相棒の松宮脩平=溝端コンビも健在、今回は笑いも織り交ぜ
ドラマとしても、なかなか巧く纏まっていたと思う。
ゲストは中井貴一。
最近、彼のドラマばかりを観ている気がするため^^;
あっちで貴一、こっちで貴一、今度は映画で貴一、なんだけど
さすがに巧いので、彼の演技にはまったく飽きがこない。
今回は冒頭で殺されてしまう…という役ながら、ほぼ主人公、
彼がどういう経緯でそういうことになったのかが語られていく。
ミステリー推理が絡んだ話なのであまり言えないけど、
親子をはじめとする大人と子供、深く切り込めば父親と息子が
縦軸に、相手を思う気持ちが横軸にあり、最も難しい年頃の、
おそらくは過去に誰もが経験したかもしれないあの頃の自分と
向き合うような構成になっている。子供時代、どうしたらいいか
分からない時は大人の人に聞きなさい。とよく言われたものだ。
お父さんやお母さんなら、学校の先生なら、絶対に正しい。と
(っていうか逆らう術もなかったよね、昔は)信じている子供たち。
正しい選択と心のトラウマの関係を、加賀はグっと攻め込むが…
ドラマで観てきた人形町の風景・お店・水天宮もちゃんと出てくる。
本当にこの町を密着して描き続けたドラマなのが分かる。
なのでロケの様子も観ていて楽しめるし、サービスは満点。
まぁ~これなら今回もスペシャルドラマでいいんじゃないの?と
わざわざ劇場でお金を払ってなんで映画にしたの?という意見も
出そうな気がするが、だって東野圭吾が映画用に書き下ろした、
っていうんだから、やはり大画面で観た方がいいと思う訳なのだ。
日本橋の「麒麟の翼像」を見たくなる、確かに(何度も出ますから)
ここがスタート地点。に込められたそれぞれの思い。
非常に悲しい話ではあるが、人情という意味では太さを感じる。
まだまだ捨てたもんじゃない(大人だって子供だって)それぞれに
色んなことを考えて、おそらくその時は最善の策を練ったはずだ。
しかし思わぬ方向へ事態が流れ、あらぬ方向へ運が向いてしまう。
そんな時は初心にたち帰り、もういちど考えてみてはどうだろう。と
いう作者のメッセージが聞こえてきそうだ。
キャストでいえば、三浦貴大も最近非常によく見かける^^;が、
若手の新垣結衣も松坂桃李も着実に力をつけていて頼もしい限り。
皆ここから(もっと)羽ばたいていけるように、加賀さん共々祈ります。
田中麗奈のおせっかい…が身に染みる人間でありたい、な。
(緋田康人(役名なし)の絶妙な笑いを誘うタイミング、見習いたいわ)