劇場公開日 2006年4月29日

「平成ガメラ3部作というコース料理に添えられた最高のデザートだと思います デザートは甘くないとデザートにはならないものなのです」小さき勇者たち ガメラ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0平成ガメラ3部作というコース料理に添えられた最高のデザートだと思います デザートは甘くないとデザートにはならないものなのです

2022年6月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

2006年4月29日公開
平成ガメラシリーズの第1作が1995年の3月公開だったからほぼ10年過ぎての記念映画だといえます
内容は典型的なジュブナイルものです
母を亡くした少年とその仲間達を主人公にして夏休みの日々をガメラの子供トトと交流して成長していくというものです
昭和のガメラシリーズはもともと子供の味方だという基本設定を思い出して根本に据えてあります

子供達もガメラもまだ子供なのに勇気をだして凶暴な怪獣に立ち向かうのです

題名の「小さき勇者たち」とはそういう意味です

超古代の生物兵器としてのガメラとギャオスの戦いという設定は平成ガメラシリーズそのままです

但し冒頭のガメラとギャオスの戦いは1973年なのに、当時の人々はすでにガメラもギャオスを知っていることになっていいます
平成ガメラシリーズでは第1作で初めてガメラやギャオスを人間が知るので世界線が異なる訳です

舞台は前半が伊勢の志摩地方です
これでピンと来ないようなら怪獣ファン失格です
昭和ゴジラシリーズの第1作の大戸島は
伊勢志摩の鳥羽市石鏡(いじか)です

本作では大王崎の灯台辺りが舞台のようです
そこで物語は展開されます

なんだかエメリッヒ版のハリウッドゴジラを思わせるような爬虫類の特徴の強いゴジラ形の凶暴な怪獣ジーダスがこの伊勢志摩に出現します
ゴジラ第1作を意識した山影からぬっと頭数をだすカットもあります

「宇宙怪獣ガメラ」は1980年の作品
その作品でゴジラ出てこいや!とあおっていました
すると1984年から平成ゴジラシリーズが始まりました

平成ガメラシリーズは1995年に平成ゴジラシリーズが終了するタイミングで作られました
「これでゴジラはお仕舞いなんて許さねえぞ!」というわけです

そして本作は2004年にミレニアムゴジラシリーズが終わった2年後の2006年に公開されたのです
またも「ゴジラでてこいや!」と煽っていたように思えます

そして2014年にギャレス版ハリウッドゴジラ
そして本作から丁度10年後の2016年に「シン・ゴジラ」が公開されたのです

となると今度はガメラが出てこないとならない順番のはずです!
シン・ゴジラから10年後は2026年です
そろそろ企画を始めてもらわないと間に合いません

終盤は名古屋市内で決戦が行われます
といっても名古屋城とか栄のテレビ塔ではなく、名古屋駅前だったり大須の商店街辺りだったりします
JRセユトラルタワーとか大名古屋ビル、名駅地下街ユニモールなどがでてきます

伊勢志摩には観光に良くいく所ですし、名古屋にも一時住んでいたこともあるので見慣れた街並みが破壊されるカタルシスがあります

すべてが終わってガメラが飛び去っていくとき少年もガメラも大人に少し近づいているのです

怪獣映画ファン、ガメラファンなら大いに楽しめる映画と思います

特撮は樋口真嗣特撮監督ではありません
が、なかなかクォリティーは高いものがあり特撮も満足できると思います

監督は田﨑竜太さん
平成ライダーシリーズなど多数の東映特撮シリーズの監督をされてきた、学生時代からの筋金入りの特撮ファンです

映画的な演出も的確です
このロケ地は小津安二郎監督の1959年の名作の「浮草」の舞台の近くです
そんな事を思いださせる街並みや光景を美しく撮影されています
「浮草」はガメラと同じ大映作品でした
それ故この地が舞台に選ばれたのでしょう
大映にとっては、ガメラも立派な格調高いドラマ作品と並ぶ大きな柱であるということです

本編のストーリー、役者も良い演技です
夏帆は15歳、名作「天然コケコッコー」に出演の1年前の姿です
彼女も主人公の少年の子役もみんな演技が上手く引き込まれます

平成ガメラシリーズの3部作のようなハードな内容ではないので、そこが不満な方もあるかも知れません

それでも3部作というコース料理に添えられた最高のデザートだと思います
デザートは甘くないとデザートにはならないものなのです

あき240
トミーさんのコメント
2024年8月31日

ゴジラへの意識は、もしかしてエリマキにも?

トミー