「ここ20年で最高の出来」007 スカイフォール おがさん.さんの映画レビュー(感想・評価)
ここ20年で最高の出来
007シリーズはゴールデンアイ以降しか観たこと無いですが、その中では最高の出来ではないでしょうか。
今までの敵といえば、世界征服を企む輩、しかし今作の敵は全く個人的な理由でボンドやMI6を追い詰めていく。
ダニエル・クレイグになってからのシリアス路線が、他のレビュアーが述べている「ダークナイト」の様だと揶揄する表現につながっているのかもしれないが、この二つの作品は似て非なり。己の在り方を自答するバットマンに対して、今作のボンドは過去との対峙。バルデム演ずるシルヴァも、ジョーカーがあまりに悪役として強烈すぎて比較されやすいが、シルヴァの原動力ははっきりしていて、ジョーカーはとりとめもない。
まぁ、監督のサム・メンデスはダークナイトに影響を受けたとの発言をしている様だが。
IT時代にアナログなスパイは必要なのか、ペン型爆弾は時代遅れだと一蹴、わかりやすく単純な悪の描写が受け入れられなくなった9.11以降の世界に合わす様に、過去のシリーズとの訣別とも思える表現が、今作では過去の作品を引き合いに出すことで描かれています。
これまでのボンドを否定する事で、次の50年へバトンを渡す、そんな重要な意味合いを含ませつつ、カーチェイス、肉弾戦、女好き、銃撃戦、といった007に必要な描写も手を抜かず、作品そのもののバランスが絶妙。
これまでに見られた衛星からのレーザーやステルス艦と言った荒唐無稽とも思える表現は落ち着き、スパイの「重み」すら感じる仕上がり。
個人的にお気に入りのシーンは、上海の高層ビルのイルミネーションをバックにボンドと敵が戦う姿がシルエットで浮かび上がり、揉み合いながら時折放たれる銃のマズルフラッシュが互いの顔を浮かび上がらせるシーンです。
いずれにせよ、この作品が、この先の007の方向性を決める作品となるのは間違いないと思われます。
そうですね、私はショーンコネリーで終わったと思っていましたが、(今でもロシアより愛をこめてがベストだと思っていますが)寅さんが、渥美きよしが死んだからと言って、ほかの役者では成り立たないように007も違うな!と思っていました、ダニエルクレイグになって、カジノロワイヤル以降見ていますが、このスカイフォールは、良いなと思いました、特にアストンマーチンDB5が出てきたときは、やった!と思ったりして、Mもマニーペニーも、Qも変わるわけで、この後2作も見たいと思いました、(クレイグは、あと2作でボンドをおりると行っているので)