「「カジノ・ロワイヤル」はただの奇跡だったのか?(かなりネタバレ)」007 スカイフォール grahamさんの映画レビュー(感想・評価)
「カジノ・ロワイヤル」はただの奇跡だったのか?(かなりネタバレ)
007シリーズ50周年記念作品。
ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドとしては3作目となる今作品ですが、前回、前々回では微かに匂わされていたボンドのMに対するマザコンっぷりが今回は全開になっています。
元々ダニエルボンドは「ボーンシリーズ」にかなり影響を受け、超人ではあるが無敵ではない、肉体的にも精神的にも弱さがあるボンド像が描かれています。
今回はさらに「ダークナイトシリーズ」の影響も受けているようで、過去にトラウマを抱え、肉体的にも衰えを見せるボンドvsMを付け狙う得体の知れない不気味な悪役シルヴァといった構図で、中盤までは、進みます。
途中、シルヴァがわざとボンドに捕まり、それを逆手に取って利用する場面や、ボンドが「Storm is coming」なんて言っている所なんかもろに「ダークナイトシリーズ」を意識しています。
でも中盤以降は、得体の知れない悪役が只のマザコン野郎だったり、デキるオタクっぽいQがあんまデキ無かったり、わざわざ人気も無く武器も無い廃屋に隠れてピンチになったり、アストンマーチンDB5が爆破されて、え?怒るとこそこなの!?だったり、最終的にこれミッション失敗してるよね?だったりします。
全体的に言える事は、MI6役に立たな過ぎだろ、どんだけ人材不足だよ!って感じです。
シルヴァとボンドの裏表の関係性。
シルヴァ=過去の007シリーズの暗喩。
Qの登場などで昔の要素を取り入れながらも、DB5を爆破することで暗示した新しい007像を作り上げるという気概。
などなど言いたい事は何となく伝わってきますが、全体的にどこに焦点が合ってるのかが解りづらい作品です。
オープニングは格好良いですし、前半の上海のビルのアクションシーンも面白い。でも「カジノ・ロワイヤル」ほどのデキを期待して観ると肩透かしを喰らいますよ。