「やはりAマーチン♪」007 スカイフォール ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
やはりAマーチン♪
従来のボンドのイメージからかけ離れいる今のボンド(ダニエル)に
めっぽう足りないのは、「女たらしの性分」だとずっと思ってきた。
十分な演技力と鍛え上げられた肉体には文句のつけようがないが、
どうもJ・ボーン的なイメージが強く、キャラに遊びの要素が全くない。
いつも必死で可哀想なボンド、ダンディズムもなければ余裕もない。
もちろんそれなりにカッコいいのだが、あのしかめっ面をギャグに
したところで、匂い立つようないやらしさはおそらく出せないよなぁ^^;
(いや、これから磨かれるのは分かりますけどね、人間が違いすぎ)
そんな意味で今作は、監督があのヒトだけあって(S・メンデス)
気持ち悪いいやらしさは出せていたかな。Mに抱く複雑な感情とか。
もちろんsean時代のボンドに一番ハマってきた中年世代の私には、
原作者が最も推すP・ブロスナン同様、ああいうイメージが強いのだ。
スマートで女たらしで苦境に立たされてもドヤ顔のダンディなボンド。
物語は単純、新春かくし芸大会みたいな(もうないか)お家芸のように
繰り返されるシリーズ展開。そんな体裁で楽しんでこられた気がする。
なので昨今のスパイ映画のように、あまり緻密なスケジュール展開を
期待してはいないんだけど、まぁ~今回のボンドは暗かったですねぇ^^;
話も暗いが画面も暗い。表情も暗いが展開も暗い。Sフォールは曇天。
ボンドガールとのお色気絡みや(やっと出たわね、シャワーシーン)
Aマーチン復活や新生Qの発明などの遊び心も多彩に配置、日本人に
とっては、あの!?ロケ地も披露されて(気付きましたか、あそこねぇ)
精一杯楽しめる方向へ持っていった感は一応アリ(トカゲもいいぞ!)
まぁアクションのピークがほとんど冒頭寄りなので、
もっともっと後半へと期待をかけていたファンは大いに裏切られるけど。
今回の主役はMかな。
そろそろお疲れモードのデンチ皇后には退いて頂き、次代はあの人が…
っていうところまでのお話。
うーん、、面白いかと言われれば、普通かなぁという感じは残るものの、
古来の007っぽい演出が張り巡らされていた気がする。
オープニングタイトルもいいので、あ~懐かしい♪と浸っていられる。
しかしこれだけの俳優達が歴代ボンドを演じてきて、
それが未だに続いているなんてことは映画的にはお宝ですからね。
ダニエルがボンドを演るなら今のイメージを続投するほかないけれど、
他の映画と変わらぬ演出じゃ007らしさが埋没しちゃうから気をつけて。
(強烈な悪役キャラにも期待したいところ。ハビエルは使われ過ぎだよ)