「【人生に、哀しみと閉塞感を抱えて居た少年及び、その父&スーパーで働く冴えない人生を送っていた女性の前に現れた、生命力溢れた破天荒なヘビメタ男が齎した事を描いた作品。】」メタルヘッド NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【人生に、哀しみと閉塞感を抱えて居た少年及び、その父&スーパーで働く冴えない人生を送っていた女性の前に現れた、生命力溢れた破天荒なヘビメタ男が齎した事を描いた作品。】
■事故で母を失い、心に傷を負った少年・TJ(、デヴィン・ブロシュー)。
妻の死から立ち直れないその父・ポール(レイン・ウィルソン)。
そしてスーパーで働く人生を見失った女性・ニコール(ナタリー・ポートマン:ちょっと見ただけではナカナカ気付きません・・。私だけかな?)。
彼らの前に突然現れた男で、パワフルなヘビーメタルサウンドを愛するヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、TJの祖母の家に勝手に住みつき、さまざまなトラブルに彼らを巻き込んでいくが、徐々に彼のストレートな生き方が、閉塞感、諦観を持って生きている人たちに、不思議なパワーを与えて行く物語である。
◆感想
・個人的に今作は、好きな作風の映画である。
所謂、世間の柵の中で生きるが故に、閉塞感を抱きながら生きる人たちの前に、”スーパー・ヒーロー”の如く、世間の常識を打ち破りつつ、善性の欠片があるが、無茶苦茶な男ヘッシャー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が、彼らに意図せず、喝を入れていく様が、観ていて気持ち良い。
・ヘッシャーの行いは、法的には許されざる部分はあるのだが、彼のTJの祖母に対してのストレートなTJに対しての発言。
”学校に行くよりも、祖母の散歩に付き合え!、早起きすれば良いだろう!”
・スーパーで働く人生を見失った女性・ニコールが、事故った時にも、今までのジョセフ・ゴードン=レヴィットのイメージを完全に覆すヘッシャーが、相手に言い放った言葉。
ー 無茶苦茶であるのだが、何故かスカッとするのである。-
・勿論、ヘッシャーは完全なる善人ではなく、本能の元に生きる男である事が、助けたニコールとベッドを共にするシーンで描かれるのであるが、それが観ていて嫌な感じを感じさせないのである。
ー この辺りは、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの清廉な風合が効いていると思う。-
<彼が、TJの祖母の葬儀に、突然現れるシーンでも、誰も彼を咎めない。世間の常識を超えつつも、結果的に正しき行ないをして来たヘッシャーを、皆が受け入れているのである。
今作は、ヘッシャーを演じた、ジョセフ・ゴードン=レヴィットのパワフルなヘビーメタルサウンドに身を纏いつつも、ブラックなユーモアに不思議と癒やされる作品なのである。>