ミラルのレビュー・感想・評価
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一人でも多くの女性に見て欲しい!人間の美しさが輝いている
現在世界人口は今年の10月を迎えるころには70億人に達すると推定される今日、世界には200以上の国々があり、そこに暮す総ての人達が幸せな生活を営んでいると言う訳では、決してない。この地球上を見渡すと実に多くの戦争・紛争それに端を発する孤児の数も何千万人単位で存在する事だろうか?
飛行機が処狭しと世界の国々を網羅し、通信手段も著しい進歩を遂げた現在、世界中で起こるニュースはすぐさま世界配信される時代となり、家庭では、PCを使えば世界の裏側のあらゆる出来事も自宅に居ながらにして知る事が出来るその事は、非常に有り難い便利な世の中になったものと喜べる事と言えるのかも知れない。
しかしそんな地球の裏側を見る機会が増加すると益々TVのニュースには、余り登場して来ない人類の負の爪痕が数多く、この世界には共存し現在進行形で、存在している事が見えて来る。
『ミラル』と言う本作に描かれるこの話しも、現在イタリアを中心に活躍するジャーナリストのルーラ・ジブリールさんの自伝がベースになっているもので、決して過去の出来事ではない。1948年からのパレスチナ・イスラエル紛争の戦災による孤児を育てる為に生涯を捧げたヒンドゥ・ホセイニ女史と、その孤児院で育ったルーラとの教師と生徒の絆と愛を描いた作品として、この夏休みに見た映画の中では最もインパクトの有る見事な出来栄えの作品として私の心に深い感銘を残す作品だった。
この映画監督のジュリアン・シュナベールと言う人が描く世界は、『夜になるまえに』や、『潜水服は蝶の夢を見る』など、皆マイノリティーな人々の生活ばかりを描いているのだが、不思議と世間の中では、埃を被り忘れ去られてしまったり、踏み付けられたり、その存在自体気付かれない様な小さき者の存在が、彼女の手にかかると、どれも是も皆生き生きと魔法でも使い生かされた様に、その存在に息を吹き返した人物像ばかりである。
パレスチナ・イスラエル紛争は長い歴史が有り、その国に生きる人々にしか、中々その苦悩を理解すると言う事は困難な事ではあるが、この映画の中では、暴力に対して暴力で対抗する事は、決して問題の解決へは導いて行かず、そればかりか、暴力の連鎖と言うまた新たな憎悪を生み出す種となるヒンドゥがミラルを諭すシーンが忘れられない。そして「コントロール ユア エモーション」と言い含めるのだ。それが
例え、ピースマーチ(平和行進)と言う様な、比較的穏やか行動であっても決して許す事をせずに、政治的に、政治家で無い人間が政治に関わる事を禁じて、無知を無くし、立派な教育こそが、歴史を何時の日か平和な道へと必ず塗り替える事が出来る唯一の道である事を
ミラルへと懇親の愛を持って忍耐強く伝えて行くこの作品は、今の日本の学校で丸暗記の生徒の出来不出来を勉強の出来不出来と判断し、生徒の人格価値を成績の出来不出来で決定してしまう今日の我が国の学校教育のあり方にも一石を投じる秀作と言える。もし一万の歴史を丸暗記するなら、この映画1本見る事の方が余程価値が有る事だと確信の持てる映画だ。(これは比喩的に1万と私が例えただけである)地球の裏の情報を
自宅で見る事が出来る時代ではあるけれども、決してそれは、その出来事を勉強した事でも、学んだ事でも、理解した事でも無い。世界の歴史を知る事、その他自分の知らない現実を学ぶと言う、その意味のとその価値がそれを学ぶ人の生涯に渡る大切な意味を持つ事の重要性をこの映画が教えてくれた。
娯楽映画も生き抜きにはとても大切である。しかしその一方で『ミラル』の様な作品を見る事も、あなたの人生のキャパと価値を上げるためにこの映画を私は心から勧めたい。
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