劇場公開日 2006年12月23日

「青春が終わるとき」気球クラブ、その後 スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5青春が終わるとき

2017年5月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

序盤は正直何かいまいちだな~と思いながら見ていたのですが、終わってみれば意外と嫌いではない青春群像劇でした。
序盤をいかに耐えれるかがこの映画を楽しむ鍵かもしれませんね。
ラスト15分ぐらいは本当に素晴らしかったですから、何とか序盤で見るのを止めようと思わず、まあ尺も短いことですし、せっかくだから最後までお付き合いしようぐらいの精神で見ることが出来れば、最終的には青春映画らしい味わい深さを感じとれて、まずまずの満足感は得られるのではないでしょうか。

しかしこの映画は意外にも園子温監督作品だったんですねぇ、何か似合わないような、でもこんな一面もそう言えば持ち合わせていたような、まあとにかくシンプルなザ・青春映画でした。
青春の終わりって一体いつなんだろうかなんて、普段はまずそんなことは考えませんが、この映画を見ていたらふとそんなことを考えてしまったぐらい、儚くも青春が終わっていく様子がふんわりと描かれていました。
何となくとか、妙に曖昧な感じが青春と言う存在なのでしょうかね、それを気球と言うふわふわ感を象徴するようなアイテムで表現する辺りはちょっと面白かったです。

まあ映画的には、ある程度の人間関係が見え始めるまではちょっと退屈でした、そこは耐えましょう、物語の核が見えてくると、ようやく面白くなってきます、そして気球クラブのリーダー村上と恋人・美津子の思いが見え隠れする後半は、ホント切なくて感傷的で心掴まされました、また美津子を演じた永作博美がホント素晴らしい演技で魅せてくれるんですよね。
村上がそこまで魅力的に見えなかったのは難点でしたが、いつまでも夢を、青春を追い求める男と、それを待つ女の恋模様、そして青春の終わりは、切なくて物凄く印象深かったです。

深水元基が演じた主人公・二郎が、村上の彼女・美津子にほのかな恋心を抱く様子も、いかにも青春映画っぽくて何か良かったですね。
ちょっと年上の女性が物凄く魅力的に思える学生時代を象徴するような、永作博美の大人の魅力満載な映画だったかと。
川村ゆきえが演じた皆にチヤホヤされたいビッチ系女子も、サークルに必ず存在するタイプの女性でしたよね・・・(苦笑)
それにしても皆よくビール飲むなぁ、でもそう言えばあの年齢の時だけはやたら飲みたい衝動に駆られたかもしれません、それも青春の思い出ですね。
ちょっと自主製作映画っぽくて好みは分かれそうですが、終盤の15分を味わうだけでも見る価値はあった映画だったかなと。

スペランカー