ハラがコレなんで

劇場公開日:

解説

「川の底からこんにちは」「あぜ道のダンディ」の俊英・石井裕也監督が、粋に生きることをモットーとする妊婦の光子と、彼女を取り巻く人々の悲喜こもごもを描く人情劇。妊娠9カ月で恋人と別れ、所持金もつきてしまった光子は、幼少期を過ごした時代遅れの長屋に戻ってくる。いまは閑散とした長屋に暮らしているのは、幼なじみの陽一とその叔父・次郎だけ。義理人情を重んじる光子は、2人の営む食堂が経営難と知るやすぐさま助けの手をさしのべ、食堂は活気を取り戻していくが……。主演は「時をかける少女」の仲里依紗。共演に中村蒼、石橋凌。

2011年製作/109分/G/日本
配給:ショウゲート
劇場公開日:2011年11月5日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10

(C)2011「ハラがコレなんで」製作委員会

映画レビュー

3.5妊婦、食堂、そして福島。

2011年12月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

タイトルからして、そのものずばり、の妊婦映画。…のわりには、「妊婦割引き」とか「母子手帳割引き」とかやらないんだな…というのが観る前の漠然とした疑問だった。観て納得。これは、妊婦の映画ではない。
確かに、妊婦の主人公・光子は強烈で魅力的なキャラクターだ。光子を軸として、物語は絡まりほぐれ、転がっていく。けれども実は、光子を取り巻く人びとすべてが、様々な意味で強烈であり、魅力がある(もしくは、「粋」である)。そして、光子ひとりが彼らを変えたり引っ張っていったりするわけではない。互いの奇想天外なやりとりが、光子を含めた彼ら自身を変え、動かしていくのだ。光子の底力がマンション住まいでは生かされなかったように、光子自身もまた、彼らを必要としている、と言える。
いったいこの映画はどうなっていくんだ?という寄る辺ない気持ちを落ち着けてくれるのが、愛想ない男二人が切り盛りする食堂。物語がのびのびと活性化するのと並行して、彼らの食堂も活気を増していく。数々の映画の中で、繁盛していく食堂は、確かな幸福感をもたらしてきたことが思い出される。(例えば、日本映画なら「タンポポ」、「かもめ食堂」、海を越えれば「ソウルキッチン」、「浮き雲」などのカウリスマキ作品群)。この映画も、「食堂映画」というジャンルにおさめたいくらいだ(そんなジャンルがあるのなら!)。
光子の「粋」な行動は、いずれも不思議な説得力に満ちているが、特に印象的だったのは「いきなり昼寝」。悪化していく思考と行動の連鎖を絶ちきるため、電気のスイッチを消すように考えるのをやめる→まったく別のことをする、という「ストップ思考法」にピッタリあてはまる。知識としては知っていたが、実際はこうやればいいのか!と納得した。ぜひ実践してみたい。
おとぎ話のようでいて、生々しさも併せ持つこの映画。虚構と現実、ギリギリの境界を、怖いもの知らずなパワーで突き進む。バランスを崩すのを怖れてこわごわ進むよりは、崩れたらその時何とかすればよい、と大胆不敵。だからこそ、火事場の…的底力が発揮されるのかもしれない。極限に達した彼らの掛け合いは、舞台劇か、単なる棒読みか?という怒鳴り合い。その必死さが、おかしくもパワフルで、圧倒された。
そして(たぶん意図していなかったことと思うが)、彼らが向かう「福島」についても、今となっては触れずにはおけない。エンドロールを見る限り、クライマックスとなる福島パートは、河口湖で撮影されたようだ。なぜ、あえて「福島」なのか。思うに、フクシマになる以前の福島には、誰しもが持ちうる田舎・故郷というイメージがあった(例えば、「百万円と苦虫女」。映画では明らかにされていないが、桃もぎのパートは福島が舞台となっている)。都会=東京から近すぎず、遠すぎず。南国のように浮わつかず、北国のように過酷さや悲壮感はなく。ほどよい実直さと安心感・親近感があったのではなかろうか。この映画には、そんな福島がいまだ息づいている。彼らの奮闘に目を奪われつつも、そんな感慨を抱かずにいられなかった。
最後に、ふと疑問が。世界各国の映画祭等において、「粋」はどう訳されるのだろう?どう理解されるのだろう? この映画で「粋」を知り来日してくる人びとを失望させないためにも、何より自分の人生のためにも、光子を見習い「粋」であろう、と思う。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
cma

5.0ムフフと笑いがこみ上げる場末の長屋のシュールで頓珍漢な「粋な話」

2023年5月17日
PCから投稿

「川の底からこんにちは」と同じ傾向のずれたギャグで彩られたシュールコメディ。
この監督はこういった作風で真価を発揮できるような印象。
というより単に個人的嗜好に非常にマッチしていただけなのかもしれない。

最下層に落ちぶれた冴えない人間たちの群像劇でもあるが、絶妙な「冴えなさ具合」演出がじわじわツボにはまって、特にヒロイン仲里依紗の「どんどんずれていく”粋”なテンション」にはとうとう吹き出してしまったよ。笑

レバニラをつまみに格安甲類や合成日本酒を飲みながら見るといい塩梅かもしれない。

2303--

コメントする (0件)
共感した! 0件)
resuwisshu311

3.5人の家に勝手に上がり込んだり、たくあんを人の家の前に置いて行ったり...

2022年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

人の家に勝手に上がり込んだり、たくあんを人の家の前に置いて行ったりと、最初は仲里依紗の異様な行動が不気味だった。
しかし、そのルーツが分かると次第に応援したくなってしまう。
終盤のドタバタ展開は残念だったが、他人のために生きるという考え方、粋ではないか。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
省二

5.0スキスキー!粋に生きたい!

2020年11月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

いや〜、全然期待せずに見たから、それが良かった!
「粋」とはなんぞや?と思っていましたが、

"昔から日本人は、誰かの生き様に感動した時に、粋だね〜っておもわずつぶやいちまうんだ"

このフレーズに、なるほど〜と長年の謎が解けた。

困っていても、貧乏でも、自分より困ってる人に手を差し出せる生き方をする光子(仲里依紗)に、私は感動するし共感した。ちょいちょい無茶な事はあるんだけれど、どれも私的にはオッケーオッケー!

状況が悪いなと思った時は、焦らず、慌てず、まずは昼寝して。風向きが変わったら、ドーンといけばいい!

そのくらい、余裕を持った生き方がしたい。
私欲にまみれ、自分さへよければ良いなどという小さい器ではなく、どんな時でもうろたえず、堂々としている人は粋だと思う。

とにかく、命を宿したお母ちゃんは強い。

陽一(中村蒼)がまた愛おしくて最高だったなー!

もうこの映画の全てが好き。
ふざけたストーリーに大爆笑しながら、心を暖めてもらいました。いやーおもろーい!
これは人に勧めたいなとおもう。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
M hobby