伝説巨神イデオン 発動篇のレビュー・感想・評価
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異星人との戦いの中にも人間の真理が感じられる
子供には難しすぎる作品。ある意味風の谷のナウシカ(漫画)と同じテーマか。これだけ宇宙規模の殺し合い、壊し合いが人間のさがによって引き起こされるのを見ると戦争をする人間の本質的な愚かさを感じさせられます。時節柄、大義名分があれば戦わざるを得ないとするドバ指令が某国の大統領のように思えてきます。予定調和的とはいえ人類にとって救いなのか救いでないのか分からないラストはしかしその戦争の虚しさを抱えて感動です。チョイ役なのにズオウ大帝の最後のセリフがすべてを物語っているようで泣ける。
40数年ぶりに鑑賞
富野監督が観た感想
この映画ドットコム内の関連ニュースにある、2019年開催映画祭でイデオン上映時の富野由悠季監督によるコメントが興味深いので見てほしい。ここに引用する。
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富野監督は完成後も度々見直したが、「こんなすごい映画とは思わなかった!」
「これまでのイデオンの印象は制作状況の悪さもあって、稚拙にしか見えず、作品を通しての感想はなかったが、今回は1作品として見ることができた。作画もひどい。何もかもひどいけど、『こんな話かよ』と驚いた」
「人間関係の入れ子構造が上手だなと思った。(自分自身が)経年劣化を起こしていて、だんだん、ああいうことができなくなっている。たったひとつの言葉で人間関係を結びつける。見事だな、と思った」
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一見自画自賛に尽きるとみえるが、クリエイターは直線的に成長する一方ではなくピークがあり、過去の自分をピークと認め現在の自分を劣化していると評する。
これはクリエイターにとっては最も認めがたい事であり、得難い自己批評となっている。
このように老境にして自分の業績を俯瞰して評価するまでに至った監督。
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「『(玩具の)金型を作っているから、変更してもらっては困る』と言われて、頭に来た。当時の自分の精神状態はやばかった。それを制御しようとして、うつ病にもなった。(こんな壮大な話は)一人の能力では無理。チャラチャラやっては作れない。いい経験ではあったけども、自分に能力がないことも自覚した。能力があれば、スピルバーグにもなれただろうな」
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ぜひとも今後の余生はこのような過去の苦悩を清算するべく、ロボットからもオモチャからもエンタメからさえも自由になった、本当の富野由悠季100%の作品をネットフリックスか誰でもよいのでパトロンになって作らせてほしい。
売上・評判など気にすることなく後悔なく死んでほしい。
それが彼によって映像ドラマの可能性の夢とトラウマを授けられた我々ファンのせめてもの恩返しの願いである。
富野由悠季はトミノフスキー粒子を吹き出しその無限力を開放し富野映像の因果地平へと旅立つのだ。
33年ぶりに
理解しあえなかった人たちの結末
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