劇場公開日 2011年7月2日

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「物語そっちのけでただ練習と本番を見せ続けられるだけ」赤い靴 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5物語そっちのけでただ練習と本番を見せ続けられるだけ

2019年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合50点 ( ストーリー:50点|キャスト:60点|演出:40点|ビジュアル:65点|音楽:60点 )

 物語ははっきりと描かれることなく、日常の練習風景ばかりが描写される。ヴィッキーが同僚に対してどんな素晴らしい才能を見せたのかもわからぬままに、パリ公演に選抜されていつの間にか主役に抜擢されていた。これって映画なのにひたすらバレエを上演したいだけ。そこにどんな苦労や葛藤や踊ることへの情熱と喜びがあったのかもわからない。そして延々とバレエ公演が映し出される。これでは物語にも登場人物にもさっぱり惹きつけられない。

 そして登場人物は舞台劇のように大袈裟な動きと科白で演技をする。自然な人の動きがなく、いかにも我々は演技をしているからこうなっていますという印象ばかり受ける。

 後半になって物語がやっと動き始める。しかし断片的に部分部分を写すのでよくわからない。何故レルモントフは公演が上手くいっているのに若い2人の恋愛をこうまでして妨害するのか。久しぶりに登場する作曲家のジュリアンは、妻の公演を離婚を決意してまで妨害するのか。こういうのをしっかりとわからせない展開と演出は駄目です。

 劇中のバレエ公演自体は悪くなかった。でもバレエを観たい人は最初からバレエを観れば良い。映画なのだからもっと物語の展開か登場人物への掘り下げが必要。それらがないままにバレエだけ観てもただのバレエ公演に過ぎず、登場人物の背景を背負った物語になっていない。
 演技も演出も古い。この時代に天然色で撮影したのは評価するが、いかにも絵を背景にして撮影所の美術で撮影された場面が多いのも興ざめする。

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Cape God