劇場公開日 2012年2月4日

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荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE : インタビュー

2012年2月3日更新
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林遣都&山田孝之、互いに刺激しあう若き才能

シュールなギャグ、個性的なキャラクター――弱冠16歳にして漫画家デビューを果たした中村光の作品の中でも異彩を放つ「荒川アンダー ザ ブリッジ」。現在、「ヤングガンガン」(スクウェア・エニックス刊)で連載中にもかかわらず、2度にわたるテレビアニメ化に続き、実写化が実現。主演を若手実力派の林遣都、ヒロインを桐谷美玲がが務め、小栗旬山田孝之らが脇を固めた。 奔放なエネルギーを持つキャラクターを通して向き合った林、山田。今、何を思うのだろうか。(取材・文/編集部、写真/本城典子)

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自称“金星人”の美少女ニノ(桐谷)、カッパ姿の村長(小栗) 、ロックスター“星”(山田)。大財閥の御曹司(おんぞうし)の市ノ宮行ことリク(林)は、個性豊かな河川敷の住人に翻ろうされながらも、既成概念にとらわれない自由な生き方にひかれていく。

メガホンをとった飯塚健監督はドラマ、映画という切り口で実写化に挑んだ。「映画は色味がドラマとは違ってせつない要素が多くて、別ものになっている」(山田)というように、ドラマはコメディ要素、映画はリクとニノの恋愛模様に焦点を当てた。しかし、“リクの成長”が根幹にあるという点では「映画とドラマでわけず、ひとつの物語として考えた」(林)、「どちらも『人間らしくなった』『素敵な笑顔をできるようになった』というリクの成長を見せている」(山田)と大きな軸を持っている。

同シリーズ最大の魅力は、なんと言ってもキャラクターの強烈な存在感だ。実写化にあたり林、桐谷、小栗、山田 をはじめ城田優安倍なつみ徳永えりら勢いのある若手から、高嶋政宏(※高嶋の「高」は正式にはハシゴダカ)、上川隆也らベテランが結集。荒川の河川敷を舞台に、日常を逸脱したファンタジーを形にした。

圧倒的な世界観を持つ人気漫画との対じは、どのような思いがあったのだろうか。「GANTZ」「MW ムウ」など漫画原作の作品に出演した経験を持つ山田は、「どんな作品でも1回やるとそれが正解になる。原作とは別のものだから、比べることほどセンスのないものはないんです」と力強く語る。「映画とドラマで僕らがつくった『荒川』も同じです。原作で中村さんが伝えたい核は愛であって、人間らしく生きることだと思う。ドラマでも映画でも、ふざけたことをやりながらちゃんと伝えているし、リクの成長過程にも見ることができる。完ぺきな『荒川アンダー ザ ブリッジ』だと思っています」。山田が語る通り本作では淡い恋愛、父子の確執に隠れた親子愛などさまざまな形の愛が随所で描かれている。

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「星だけじゃなくて、河川敷にいるみんなに共感できるんです。見た目ではふざけているけれど、言っていることはすごくまともで、生きたいように生きている。人間誰しもあこがれているところがあると思います。周りから何と言われようと、それを突き通す生き方は格好いいし、自分もそうありたい」(山田)。

林は、「孝之くんは星の格好をしているのに、普通の顔で現場に『おはようございます』って入ってくるんです(笑)。村長は眉毛の表情が決まっているので、最初どんな表情しているのか一切わからなくて」と独特な空気が漂う撮影現場を振り返る。しかし「みんなが真剣にやっていたので、この人たちしかいない。ほかは考えられないし、チームワークがあります」と撮影を通して、劇中さながらにきずなを深めた。

取材中も兄弟のような掛け合いを見せるふたりに、互いの魅力を聞いてみた。「誰もがそう感じると思うんですけど」と切り出した林は、「一緒に現場にいてこちらもやる気になる。絶対にもやもやしたまま進めないんです。どんな役、どんな立場、どんな現場にいても、理解していろんなことを決めていく姿はすごいなといつも思います」。一方の山田は、林の魅力は「真面目さ」だという。「真面目すぎるくらい真面目で純粋。ピュアなところが遣都の一番の魅力」。

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親友であり、ニノをめぐる恋敵を演じたふたり。日常では「孝之くんの言葉でプラスの方向に向かっていったこともあるし、困ったときは頼りたい(笑)」という林に、山田は「役者としてやっていくうえでのモチベーション」など心構えなどを伝授しているようだ。

「僕らの仕事は特殊で、新人の10代のころから60、70代とか社長・会長クラスの人と、役者として肩を並べて芝居をする。殴ったりもするし、タメ語を使ったりもします。だから上下関係を考えていると、邪魔になる。スタッフもキャストもひとりひとり役割があって、全員でひとつの作品をつくるんです」(山田)と熱を込める。作品を通して成長し、年齢という壁を越え、互いに刺激を与えあうふたり。河川敷の仲間から吸収した個性は今後、よりカラフルに光るのだろう。

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