劇場公開日 2011年7月30日

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「【“力はペンにあり。”ケニアに実在した元民主主義的独立運動組織に属していた、84歳の小学生の物語。彼の過去の独立を求める中で英国兵から受けた仕打ちを挟みつつ、学ぶ事、諦めない事の大切さを描いた作品。】」おじいさんと草原の小学校 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【“力はペンにあり。”ケニアに実在した元民主主義的独立運動組織に属していた、84歳の小学生の物語。彼の過去の独立を求める中で英国兵から受けた仕打ちを挟みつつ、学ぶ事、諦めない事の大切さを描いた作品。】

2023年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■2003年のケニア。
 英国から独立後39年を経て、無償教育制度が開始される。
 田舎の小学校に多数の子どもたちが集まってくるが、その中に1人、84歳になるマルゲの姿があった。
 何度入学を断られても諦めないマルゲの熱意に打たれた女性校長のジェーン(ナオミ・ハリス)は、入学を認めるが脅迫、中傷の電話が掛かって来るようになる。
 そして、ジェーンは上司のマルゲを辞めさせろ!という圧力に反発するが、遠い土地への転勤を命じられてしまう。

◆感想

・マルゲの何事にも諦めない姿が心に響く作品である。
ー 彼は若い頃から英国領だった、ケニア独立の為に民主主義的独立運動組織マウマウ団に所属していたが、妻や子を失っていた事が物語の随所で挟み込まれる。その事を思い出し、一人目を潤ますマルゲの表情。-

・入学を許されたマルゲは凄い勢いで文字の読み書きを習得していく。
ー そして、彼はジェーンを助ける立場になり、読み書きの覚えが遅いカマウに、優しく5の書き方を教えるシーン等、彼の人柄を表している。-

・ジェーンの家に脅迫、中傷の電話が掛かって来るシーン。
ー 彼女の夫は理解ある男だが、何度も掛かって来る電話に疑心暗鬼になるが、ジェーンは毅然として、”圧力には屈しない”と言うのである。-

・ジェーンが転勤する事を知ったマルゲは単身、ナイロビの教育委員会に乗り込み、要職者たちの前で、英国兵に拷問の際に付けられた背中の傷を見せる。
 そして、彼は言うのである。
 ”良い教師を。子供は将来の繁栄を齎す。”

・彼の進言により、ジェーンが戻って来るシーンも心に響く。

<今作は、一人のケニア独立の為に命懸けで戦った男が、学びの大切さや諦めない事の大切さを自ら示した事を描いたヒューマン映画である。
 画面では描かれないが、彼はアメリカに行き、国連でスピーチした事もテロップで記される。凄い男が居たモノである。>

NOBU