「大人が見たほうが響くかも」おじいさんと草原の小学校 こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
大人が見たほうが響くかも
クリックして本文を読む
文科省推薦になりそうな作品。
海外への経済援助で「日本人はなぜ学校ばかり作るのか」と言われるそうだが
その理由はここに集結している。
文盲のおじいさんが手紙を読めるようになりたい、それだけの映画と思いきや、
おじいさんはケニアの独立運動にも絡んでいて、
複雑に部族間の反感も現在まで続いていることがわかる。
しかしケニアの未来を担う子供たちは部族間で争っていてはいけない。
大人たちの黒い歴史を背負わせないためにも
子供たちへの教育は必要なのだ。
卑怯な父の姿を見て息子はいったいどう感じただろう。
一方マルゲは誇り高い戦士であった反面、
他人をなかなか心から信用できない頑ななところがあった。
それが「なにがなんでも自分で手紙を読まねばならない」といった考えに顕れている。
そんな彼が、手紙を読んでくれと頼む。
小学校に通ったことで、
マルゲの中で氷解ともいえる人間的成長があったことを示す
いい場面だったと感じた。
手紙の内容はそれまで語られた過去が
さらに想像を絶する長い苦痛であったと知れる悲しいものだったが。
重い過去がありながらも、
作中の人物達、マルゲも教師も子供たちも表情は明るい。
教育によって可能性の扉が多く開かれた、
未来へ向かっている眼差しには観ていて深い感動を覚えた。
コメントする