「相手と戦うのではなく、抱きしめるために拳を使うジェット・リーの優しさが、やわらかい感動を呼ぶ」海洋天堂 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
相手と戦うのではなく、抱きしめるために拳を使うジェット・リーの優しさが、やわらかい感動を呼ぶ
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香港が誇るアクションスター、ジェット・リーが十八番のアクションを一切封印し、命懸けで息子を守る父親を熱演。
父子は水族館の裏方として働いており、海やプール、空などの青さが印象的でキタノブルーを連想させたが、音楽を久石譲が手掛けていたのを知り、直ぐに納得した。
自然美や人情の温かさが際立ち癒やされる一方、障害者を受け入れる環境が整っていない現実の厳しさが露呈し、やるせない気分に襲われる。
偏見や差別。
父親は勿論だが、近所のお節介なオバサンや水族館の上司、施設のスタッフなど周囲の理解だけでは息子の自立は到底、不可能だ。
現代社会をどう克服していくかは、結局、自分自身の力に委ねるしかない。
その苦闘は、障害を持とうが、持つまいが全てのヒトに共通する宿命であると半人前ながらも私は思う。
息子の恋愛めいたエピソードが唐突に始まり、唐突に終わってしまったのは、違和感が有ったが、あのギコちなさが、今作を独特なる御伽噺へ導いたとも云える。
観終えた後、我が身を包んだ優しさみたいなものが、自分の職場でも活かせたらエエなぁ
っとまだまだ半人前の私が思いつつ、最後に短歌を一首。
『独りでも 泳げと託す 親亀の 遺した実り 海に手を振る』
by全竜
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