劇場公開日 2011年7月16日

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「これを観ながら笑っている自分にドンヨリします」イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0これを観ながら笑っている自分にドンヨリします

2018年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ビデオ撮影が趣味の古着屋の店主、ティエリーはストリートアーティストの従兄弟を撮影しているうちにストリートアートの世界にのめり込み、様々なアーティスト達と交流を重ねるうちについに世界中でゲリラ的に活動するストリートアートの巨匠バンクシーの撮影を手掛けることになるが、ティエリーには全く映像センスがないという致命的な欠点が発覚。頭を抱えたバンクシーはティエリーにある提案をするが、その提案が思わぬ方向に転がり始める。

バンクシーにまつわるドキュメンタリーかと思いきや、バンクシーのドキュメンタリーを撮ろうとした男のドキュメンタリーというメタ構造になっているややこしい作品。そこかしこに悪意ともシャレともつかぬ言動が挿入され、実はヤラセじゃないかと勘繰ってしまうほど大幅にスケールアウトしていくティエリーの活動の背後に彼自身が抱える心の闇やストリートアートを巡って暗躍する魑魅魍魎たちの影までもが浮かび上がり、やがてそれは鏡面となって観客の内面をも映し出す。結果、映像を観ながら失笑している自分自身の姿にドンヨリさせられる実にバンクシーらしい作品です。

よね