秒速5センチメートル(2007)のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
先に、実写映画化された新作を鑑賞したので、観比べ鑑賞です。
今回が初鑑賞。
物語は、概ね実写化された作品と同じだが、テーマの方向性が大きく異なっていますね。
新海誠監督作品において繰り返し描かれる「届かない想い」のテーマ。
そのエッセンスが凝縮されている。
が、エッセンスだけとも言える。
小中学生時代、高校生時代、成人してプログラマとして働いて疲弊している現在。
届かなかった想いは、そのまま過去に埋もれ、いまは「汚れちまった」澱のようなものだけが残っている・・・
そんな物語、
短いショートアニメ3作の連作の形をとっており、特に最終話は山崎まさよしの楽曲のPV、イメージアニメのような形式になっている。
主人公の青年の背景を深掘りし、最終的な方向性を真逆にした実写版の方が好みだなぁ。
初見 60歳の爺の見る映画じゃない。
重力加速度と空気があるので「5cm」はあくまでも比喩的表現と思うべし。
V=GTですらね。しかも、花ぴらは空気抵抗に阻ませる質量。
つまり、ロケットを運ぶ5kmからの発想なんだろうね。
さて、ストーリーは完全に男目線な「君の名は」だね。
こんな青春だといいなぁってことじゃない。
色が少しデフォルメされ過ぎ。
兎に角、昔からの日本人の好きな「メロドラマ」だよ。
結局、女性はどうなってしまうのか?
だろ。
あかりを夢に置き換えると共感できる
告白が全てではないけれど、たかきもあかりもかなえも、最善策として言わずに断ち切る事を選んだはずが、
一生心に後味苦めに残るのだろうな。
スマホなくとも上の世代の人間達は、距離が離れてもうまく相手を思いやり心を通わせて次世代に命を繋いできている。たまたま不器用な3人が集まってしまったのではないかな。
東京で同じ中学に通うために合格したはずが、雪が深くなる栃木に引っ越すことになって先に離れたあかりは、先に絶望を経験したが自分から何通もたかきに手紙を書いて再会を実現させた。
たかきが鹿児島に引っ越すことになった時、今度はたかきの番なのではないかと思ったが、たかきもあかりも、今度はそう簡単に会えなくなるねと最後を感じてしまう。
その後ずっとあかりとの過去にとらわれてたかきは青い鳥状態なのに。
そのたかきを見て、親しくなっても決して自分に向かない目線に、辛くなるかなえ。かなえは高校はたかきと同じにするため頑張って受験し合わせたが、高卒後は進路が定まらず、サーフィンを高3で始めて毎日海でぼんやりして過ごしている。
かなえとたかきがロケット打ち上げを目撃する場面、
かなえは波に乗れた今日告白しようと考えていたがいつまでも言い出せず、結局ロケットのとんでもない轟音に全てかき消されてしまった。
自分の意思で関わる人の意思確認をして人生を舵取りできず、止まってしまっているたかきとかなえを象徴するようで真反対に、ロケットは宇宙の真っ暗闇に留まるのではなく闇を切り裂いて進んでいく。
あかりも、そうだったのではないかな?
離れたたかきを追える歳ではなく、栃木で雪深い闇の中を歩んで、それでも闇をかき消して未来を切り拓いていき、別の男性との結婚を選んだのではないか?
たかきは手紙なくともあかりを片隅に東京に進学し、疲弊するIT職で心を壊したようだが、頑張って歩んだ先にあかりではない交際相手?からも別の人との結婚のメールが届いた。
通じ合うには会話が必要。
メールもできるのに。
書いた文を送らず保存し続けるたかきの心情は、家族も友達もかなえもあかりも、誰も知らぬまま。
言わないと伝わらないよ、そのために人間には言語能力があり文字で会話がなくても伝えられるのだから。
そのようなメッセージを受け取った作品。
人間関係より、あかりを夢と置き換えた時に、わかる人も多いのではと思った。幼い頃はただただ好きで、なりたかった職業に中学生頃、その職業に就いている人から実際に話を聞くとそこで嬉しいと同時に圧倒的難関を感じてしまい、今までより遠い存在に心理的距離ができてしまう。進路を決める頃までまっすぐその夢に突き進めたら良いが、なんとなく諦めて、夢は夢として蓋をして、手っ取り早い選択肢から進路と仕事を決めてしまう。叶わぬ夢はずっと心に残るのに。ロケットの場面も、宇宙飛行士という圧倒的になるのが大変な職業が近くて遠い種子島で高校生活を過ごしたら、どんな進路になるのだろうな?そんなことを考えながら見た。
男性は恋愛ごとにフォルダを分けて保存、女性は上書き保存、こんなことをよく聞くが、その通りなのだろう。
実写映画→アニメの順で
昨日実写版の映画を見て、今朝アニメを見ました。
この順番で良かったと思います。
貴樹が幸せに向かって歩き出せることを願います。
映画の補完
○映画は今(2009年)にスポットを当てて深掘り
アニメよりもさらに貴樹の孤独感が伝わる。
それだけに彼の心の叫びが染みてくる
○小学校時代に電車の音や星を観る風景など追加
伏線となって美しく繋がっていく
○2人が渡せなかった手紙の内容
○再会の約束
逆にアニメの補完(映画でのカット)
○2人が朝まで過ごした納屋のお話
○種子島の花苗のセリフ 優しくしないで
○クライマックスの山崎まさよしの歌と共に貴樹の目はいつでも明里を探していたこと
○手紙をお互いに楽しみにしたが、やがて途絶えていったこと
あの頃に戻りたいと感じた🏫
誰もが持っている甘酸っぱい青春の思い出は、時々思い返す事はあれど決して戻れない…。この様な題材を堂々と映画にできるのは、新海監督だけでは無いでしょうか。ブレイクする前の作品の方が良かった気がします。台詞が結構ポエムじみていて、ラストは寂しいです。
蛇足5メートル
【所感】
劇場版を初めに観ました。が、物足りなさを感じました。映像の美しさや空気感はよかったのですが、全体に無理に話を膨らませている印象があり、心にすっと入ってきませんでした。特に松村北斗の配役は、アニメ版を見ると、あらためてミスキャストだと。高畑充希の演じる女性像も、薄情に映り、登場人物同士の距離が必要以上に冷たい感じでした。
本日、アニメ版のDVDを観て、印象は一変しました。3つの短編で構成されたアニメ版は、どのエピソードもコンパクトながら、登場人物の心の揺れや時間の流れがわかりやすかったです。へたに無駄な説明もなく、映像と音楽と間で物語が進んでいくので、劇場版では感じづらかった登場人物の心の痛みや届かない想いが胸に響いてきました。
第3話では、不覚にも涙がこぼれました。時間に流され、それでも忘れられない記憶のかけらがふと甦る瞬間を、PV的に描いていて、正直やられました。
劇場版のように無理に形を整えようとした物語よりも、アニメ版の余白のある語りのほうが、登場人物の心を感じられるのではないかと思いました。
軍配は圧倒的にアニメ版に上がります。劇場版は、説明しすぎた続編のような印象で、原作の持つ詩情を弱めてしまったように思います。アニメ版の完成度を考えれば、無理に劇場版を作る必要はなかったのではないかと。この作品が、本来伝えたかった「届かないけれど、確かにあった想い」を、無理に膨らます必要はなかったと思います。
テーマは飲み込める、秀逸。ただやたらメソメソされても..
3話で主人公に届くメッセージや電話スルーがよく分からなかったのだけど、ああ、社会人になってその時の彼女はいたんだけど、1話の子に囚われすぎて身が入らなかったってことか。と少し考えてわかりました。
しかしですな、あんな白けてたらさすがに3年どころか恋など生まれないのではあるまいか。
そして登場人物が終始いちいちメソメソするのがよくわからない。片思いを寄せる相手に会ったりするのは基本楽しいですからね。ああ、この人自分のことそんな好きじゃないか、と気づいたらめちゃ冷めたり、片思いが成就しないのは悲しいけれど、若い時はもうちょっと明るいんじゃないでしょうか。
別れたら泣くことはあるでしょうけどほぼ付き合う前の話ですからね。
他にもあちこち違和感や突っ込み所はありますが、映像美や表現は既にすごいし、若い時に強烈に片思いした相手がどっかにつっかえて前に進めない現象を花が散る秒速5cmに例えたのは大変に秀逸に思いました。
センチメンタル
「なんで両想いの二人の手紙のやり取りがなくなってしまったのか。」と疑問で一杯になった作品だったが、好きだから連絡を取り合って結ばれるという現実的な関係性よりも、儚くて繊細な眩い揺らぎが宝なんだろう。
暖かくて明るいあかりちゃんの家に泊まればいいのにと思ってしまったが、雪の中、寒くて暗い二人だけの小屋が尊いという感じなんだろうか。
貴樹は遠くの何かを見ていると花苗ちゃんが言っていたが、それはあかりちゃんさえも通り越しているように思える。そして、貴樹自身も遠くを見てはいるがはっきりと何かを見ている訳ではない。そんなやさしく掴みどころがない貴樹に魅かれてしまったように思えた。
ラストは貴樹が踏切であかりちゃんとすれ違い切なくなったが、実は一番周りを振り回して自由に生きていたと思う。人それぞれの青春のほろ苦さに共鳴する作品なのかな。私は雪で電車が遅れ、期待が絶望に変わっていく想定外の状況に胸が痛くなった。
美しい映像とキレイなセリフ
映像も美しいし、セリフがキレイだった。
言葉を楽しむかんじ。
耳に心地よい響き。
「天気の子」や「すずめの戸締り」はそんなに好きじゃなかったけど、この作品は好きな感じだった。
子供の頃の約束って
その時は真剣で守れると思っても
人も状況も気持ちも変わっていく。
それぞれの人生。
とてもリアルに近い展開。
2人また出会って欲しかったけど。
踏切で2人が振り返るところは、「君の名は」を思い出した、「君の名は」は大好きな作品。
山崎まさよしさんの一番好きな曲がテーマ曲で
最後は歌詞とストーリーが重なって
切ない気持ちが盛り上がる。
実写版も観に行ってみよう。
なぜか水橋研二 でもそれ自体は嫌いじゃない
2007年公開作品
初鑑賞
監督と脚本は『ほしのこえ』『言の葉の庭』『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締り』の新海誠
『桜花抄』『コスモナウト』『秒速5センチメートル』
この作品のタイトルは「桜の花びらが舞い落ちる速度」
粗筋
『桜花抄』
1990年代前半の東京
仲良しの小学生・遠野貴樹と篠原明里
明里は小学校卒業後に栃木に引っ越すことに
中1の終わり頃今度は貴樹が鹿児島に引っ越すことに
大雪のなか列車に乗り貴樹は栃木に住む明里に会いに行く
『コスモナウト』
鹿児島の高3澄田花苗はクラスメイトの遠野貴樹に片思い
花苗は思い切って告ろうとしたが貴樹は全くのうわの空
貴樹は明里を想い続けていたのだった
諦める花苗
『秒速5メートル』
東京で社会人になった遠野貴樹は3年間付き合った彼女と別れ勤めていた会社も辞めた
貴樹は今もなお明里を想い続けていた
絵は綺麗
特に日の出前の空
だけどなぜか台詞が殆ど入ってこない
自分がヤボテンだからだろう
これは自分には向いていなかった
歌手山崎まさよしは良いよね
『One more time, One more chance』
名曲だな
チカラがあるな
たとえどんなにグダグダな展開になっても猪木(または春一番)の「1・2・3・ダー!」のような終わり良ければすべて良しと思わせてしまう締めの一発になる男っぽい強引な効果
新海誠作品にSF要素はほしい
美しければ全て許されるとはどうしても思えない
配役
遠野貴樹に水橋研二
少女時代の篠原明里に近藤好美
成人時代の篠原明里に尾上綾華
澄田花苗に花村怜美
花苗の姉に水野理紗
小説版読了後、娘の押し(推しではない)でアニメ版鑑賞。
用事があって吉祥寺へ娘と出かけた。久しぶりに吉祥寺で一緒にラーメン屋に入った。以前は武蔵野市に住んでいたので、20年以上前は良く一緒に行っていた店だ。
最近観た映画の話をして「秒速5センチメートル」の実写版を観た、レビューを書く前に新海誠の小説版を読んでいる、と言ったら(娘が好きな米津玄師より山崎まさよしの歌が良いと言ったからか)「アマゾンで見られるから、山崎まさよしの歌が良いならアニメ版を観た方が良い。歌まんまだから絶対に観た方が良い、絶対に観ろ〜!」と言われた。
へぇ、そんなにアニメ版「秒速5センチメートル」が好きだったんだ。娘の熱意はラーメンよりも熱かった。
10月21日(火)
新海誠の小説版を読了後、アニメ版を観た。
確かに主人公たちの絵は粗いが、風景の描写は秀逸だ。夕景、夜景、桜の風景、雪の風景の見事さに比べて波の表現がイマイチなのが御愛嬌か。
第一話 桜花抄
小学4年から中学1年までの貴樹と明里の話。貴樹は明里から桜の落ちるスピードは秒速5センチメートルだと教わる。中学1年の3月に雪の駅で別れる。
第二話 コスモナウト
中2の時に東京から種子島へ転校した高校生貴樹と花苗の話。花苗がいくら貴樹の事を思っても、貴樹は優しくはしてくれるが、貴樹の目は花苗を見ていない事に気づいてしまう。
第三話 秒速5センチメートル
現代(2007年)。社会人になった貴樹は働いているが、心は満たされていない。
貴樹は付き合っていた彼女とも別れ、会社も辞めてしまう。
結婚が近い明里は実家で中1の別れの時に貴樹に渡せなかった手紙を見つける。
山崎まさよしの「ONE MORE TIME, ONE MORE CHANCE 」に乗せて、貴樹と明里と花苗の姿が描かれる。
貴樹と明里のホームでの別れ。
貴樹と花苗の高校生活。
花苗との種子島空港の別れ。
婚約者と明里の姿。
貴樹と交際していた理沙の姿。
すれ違う二人の姿?
いつでも捜しているよ どっかに君の姿を
こんなとこにいるはずもないのに
いつでも捜しているよ どっかに君の破片を
こんなとこにあるはずもないのに
新しい朝 これからの僕
言えなかった「好き」という言葉も
いつでも捜してしまう どっかに君の笑顔を
こんなとこにいるはずもないのに
命が繰り返すならば 何度も君の元へ
欲しいものなどもう何もない 君の他に大切なものなど
山崎まさよしの歌は昔から好きな曲だが、本作では本当に沁みる。それは新海誠の美しい画と貴樹の気持ちを代弁しているかのような歌詞がラストで見事にマッチしているからに他ならない。
貴樹は、小田急線の踏切で明里とすれ違う。
上りと下りの2本の電車が通過して行く。遮断機が上がると彼女の姿はない。貴樹は踵を返して歩き出すのである。
実写版を観て、小説版を読み、アニメ版を観て、奥山由之✕松村北斗✕新海誠のスペシャル・トーク・セッションも1時間観た。
あと鈴木史子のTHE NOVELを読んだら実写版のレビューを書く事にしよう。
実写を観てからアニメを観てほしい
アニメ版は評価が割れていたので実写から見ました。正解だったなと。
初恋に囚われ今を生きられない男が約束の日をきっかけに過去を振り返る話だけれど、約束の日じゃなくても過去ばっかり見ていたじゃないか!と女性目線で言わせていただく。
前半のモノローグに比べて後半は心情をあらわす描写が少なく視聴者に委ねられたので、踏切りでの笑みを浮かべた1歩が、前向きに今を生きるための1歩と感じられたかどうかで評価が分かれているにかなと思いました。
実写を観てからアニメを観るのがオススメ。ぐっと解像度が上がります。
成就しない初恋のノスタルジー?
実写版が人気なので予習のために観た
短いながらも背景などは綺麗だった
短編アニメーションの連作で
1話目が中学生の初恋相手に電車であいに
2話目が高校時代でサーファー女子が主人公に好意を寄せるがその恋もうまくいかない
3話目が社会人になって恋愛などもうまくいっていないまま終わる
初恋は成就しないということか?
男は恋を引きずっていて
女は結婚をして先に進んでいるということを描きたかったのかな
3話目が結構あっさりしていて余白が多い
One more time , One more chance‼️
君の名はでブレイクする前の新海誠監督の才気が垣間見れる秀作アニメーション‼️転校生同士の貴樹と明里はお互いに思い合っていたが、小学校卒業と同時に明里の引っ越しで離ればなれになってしまう第1話「桜花抄」‼️鹿児島で高校生活を送る貴樹が同級生の花苗に思いを寄せられる第2話「コスモナウト」‼️社会人になってもどこか明里への思いを引きずってる貴樹を描く第3話「秒速5センチメートル」‼️明里と離れることで、明里への思いが永遠なことで、前に進むことが出来ない貴樹‼️そんな高木がたどり着く結末はハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか⁉️これで良かったとも思えたし、2人にキチンと再会させてあげたかったとも思うし・・・‼️桜の散る風景や雪の舞う世界を、淡い映像というか、大事な思い出を美しく思い出すような映像に仕上げてるのは、さすが新海監督ですね‼️特に山崎まさよしの名曲のサビが繰り返される第3話はホントに情熱的でホロ苦い‼️
えっまさか、、、
実写版が気になったのと、僕らの時代に新海さんが出てて、気になって先ずはアニメ版を見てみました。
新海作品は5作目の鑑賞です。
お願い。そ、そこで終わらないで!って終盤に切に願うけど、山崎まさよしとエンドロールに突入してしまう。観終わった後は胸がキリキリずーんと痛い。完全に自分の青春と重ねました。実写版も見たいな…
1話目の主人公が電車で遠出するシーン。悪天候の移動も心配になるし、一晩えっ?って色々ツッコミどころ満載なのだけど詳細が多く語られないのも余白を楽しめるし、文通が止まった理由や、あの日のお互いの手紙に何が書いてあったのか知りたいけど、結ばれない二人のやりとりや、サーファーちゃんの切ない片思いにも自分の青春を重ねる。最終章の社会人となってしまい追われる毎日にも共感する。
細かいところは詰めず、勝手に自分の青春の色んな思い出と共に観終わった後の痛みは、心の中の箱に閉じておこうと思います。
だけど久しぶりに切ない気持ちになれて、ありがとうって思います。案外、すれてないというか最近の作品よりも、手がこんでないというか荒削りな感じで意外と私の中で1番だった言の葉の庭を超えたかも!!!です。
初恋病
今度、実写化されると言う事で、あの果てしない時の流れと、宇宙の片隅で何事も無かったかの様に消えてしまった青春の1ページをどう表現してくれるのかワクワクしますが。
あれは、貴樹が中一の終わりに、雪で何度も停車と乗り換えを繰り返し、気が遠くなる様な時間と距離に心折れそうになりながらも、やっと明里と会う事が出来た。その出来事は明里と一緒に乗り越えた事と貴樹は思ったのではないかな。だから、この先も明里とは離れていても、ずっと強い絆で繋がってると思ってた。
最終的に、今、幸せそうな明里の姿を見て、そんな風に一途に明里だけを思い続けた長い年月も、一瞬の出来事と錯覚する位に最後の貴樹の表情が思わせてくれた様に思う。
無限に広がる宇宙なような距離を彷徨う少年少女
交わした思いの年月だけ別れとは辛いものである。
文通でやり取りをし続け、あんなに遅れた遠野をまってしまった明里、それなのに、明里は別の人と結婚してしまう。初恋に囚われていた遠野を置いて。これは男女の恋愛観の違いのリアルさというか、なんというか。「君の名は」から続いた3作のどんでん返し的な展開は一切なく、ただ静かに現実を描ききった作品。けっして届く事ない遠野への想いを抱く花苗、同じく明里に思いを寄せる遠野をコスモナウト(宇宙飛行士)と題するセンスに脱帽である。
タイトルなし(ネタバレ)
ただ、ただ、物悲しい。だれも幸せになってないような。ネタバレするけど、最後は振り向くと思ったなあ。これは『君の名は。』とは違うなあ。映像の美しさは格別だし、ディティール描写が細かい。種子島の高校生はバイク通学が認められてるのか。
エピローグをプロローグに
10年以上ぶり、劇場では初鑑賞。
第1話と第2話における初恋の描写は、異常なほどに当時を思い起こさせるものがある。
『桜花抄』での諸々の設定が絶妙。
物理的な距離、金銭的な負担、日常的な行動範囲なとが有機的に繋がり、説明を省いても色々と伝わる。
あの時代は世界が狭く、その中でずっと一緒にいられると勘違いしてしまう。
逆に、そこから外れた瞬間に手が届かないように感じるのもそのためだろう。
『コスモナウト』の花苗は一番好きなキャラ。
純真で、真っすぐで、でも相手を慮ってしまう優しさや年相応の臆病さもあって、率直に眩しい。
飲み物ひとつにも、「どれを選べばかわいいと思ってもらえるか」なんて悩んでるんだろう。
最後の『秒速5センチメートル』は、踏切に本当に明里がいたかも含めて空白が多い。
しかし、最後の表情で貴樹が初恋に区切りをつけられたのかな、と感じさせる演出が上手い。
きっかけなんて、案外大きくもなければ具体的でもなかったりするんですよね。
明里と離れてからの貴樹は、その後の人生を本編を終えたエピローグのように捉えていたように思う。
それをプロローグと捉え直して一歩を踏み出すラストが、切ないながら爽やか。
淡い色彩や明滅する照明、揺れる列車の連結部、雲、鳥、蛇口など、心情の投影は素晴らしいのひと言。
物足りない部分は、清家雪子版のコミカライズが秀逸なので、帰ったら読み返したいと思う。
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