秒速5センチメートル(2007)のレビュー・感想・評価
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人生のスピードは?
桜の花びら 5cm/sec
ロケット運搬 5km/hr
心 1cm/1000texts
初恋の淡い思い出から、成長と共に生じる現実的なすれ違い。恋も仕事も、無意識に手の届かないような理想を追い求める人の姿と、遥か彼方へ飛んでいく宇宙ロケットとを掛け合わせているようです。止まって欲しいと願う幸せな瞬間、早く終わって欲しいと焦る待ち時間。人間の感情は時間の流れを変えます。
初恋は可愛らしいのですが、13歳の少年少女が雪の夜に納屋で一晩て…?
結局毎回、歌に合わせて作っているのか?という印象です。
見てて恥ずかしさが…。
絶妙な余韻の残し方
新海監督の作品初鑑賞です。
君の名は。はまだ観ておらず、こちらの作品を先に観ました。
観終わった後の感想としては、切なくて胸が張り裂けそう。
でも、お互いに人生を踏み出している。
淡くて優しい恋の物語ですね
1話目は、貴樹が雪の中明里のもとへ向かうという状況でしたが、
雪と主人公の苦しい胸の内がいい情景描写として表現されているのが印象的でした。
家族は心配しないかなぁ、とも思いましたがそれほどは出てきませんでしたね。
途中、時刻表を買うときに種子島の本がちらっと写っていましたが、伏線だったのかと後で気づきました。
2話目では、主人公が引っ越しをした先から始まりますが、花苗の叶わない恋が描かれています。ジュースを買うコンビニがいい脇役だと感じました。最後は、貴樹と同じコーヒー牛乳を買う花苗の心理とはどのようなものか、考えてみたいです。
また、貴樹の宇宙に対する夢が明確に心理描写として描かれていますね。
3話目では社会の中で葛藤する社会人の貴樹が描かれています。山崎まさよしさんのソングが絶妙なタイミングでかかるのが素晴らしいと思いました。(歌も素晴らしいです)また、やはりここでも種子島の雑誌を手に取る貴樹の姿が見られます。
心の中に秘めてきた宇宙への夢をあきらめきれない貴樹の心理が3話分を通して描かれているのだと思います。
最期踏切の場面はすごく余韻のあるものでした。
明里と思われる人と踏切ですれ違う瞬間、そして振り返る瞬間、視聴者の目は電車の奥に釘付けです。
結果として彼女はその場にはいない、という結末でしたが、二人の脳内には幼い頃に駆け回ったあの想い出が蘇ったのではないでしょうか。
そして、貴樹は歩き出して終わります。
続いていくそれぞれの人生を、少しずつ伏線を残しながら(貴樹なら宇宙への大きな夢)終わるこの余韻の残し方が絶妙だと思いました。
優しいだけでモテたら苦労しないゾ
小中高社会人と4つの時代を3部に分けた彼と彼女の関係を描いた淡すぎて消えそうな透明感を持った作品。
だいぶ前から良さそうと思っていたが観たら確実に心に深刻なダメージを負いそうなDVDパッケの淡さ儚さ切なさに観るタイミングを失い、すっかりいい歳こいた大人になってしまった2016年冬笑。
君の名は。現象で荒れ狂う新海誠旋風。いろんな名画座でリバイバル上映が行われていたためようやく鑑賞。
小学生から中学生になるまでにかけてお互い気にかけていた少年少女が家の都合で離れ離れになってしまう1部。
引越し先で出会った褐色少女に好かれるもかつての少女を忘れられない高校生時代の少年を描いた2部。
失恋し、上京した社会人生活にも嫌気が差した青年と同様に上京し、結婚を控える彼女がただすれ違うだけの山崎まさよしPVな3部で構成されたショートムービー。
ただただ悲しくて切ない。ありがちといえばありがちだがいざ見せられればツライ笑。
63分の短さで詰め込まれた致死量の切なさ。
切ない 賛否両論あるか
ただ、ひたすら美しい。
生きていく中で、会えなくなったひとが、会うことを諦めたひとが、どれだけいることだろう。
なのに、それでも、会いたいひとのどれだけいることだろう。
求めるひとの、どれだけいることだろう。
それを知っている今観たからこの作品はこんなに胸が苦しくなるんだろう。
そして新海誠監督特有の映像美がそれをまた増幅させる。空が、雲が、雪が、桜があまりにきれいで余計に哀しくなる。
劇伴も哀しくてきれい。ラストの山崎まさよしの主題歌もずるい。。
※以下、別作品「君の名は。」のネタバレあります。
「君の名は。」も会いたいけど会えない誰かがいる。その会いたい気持ちを元に、失った空白を埋めようと求め、行動して結局は埋めることができる話だけど、この作品はそれを埋められない。
2作品に共通した「失ったなにかを求め続ける」という苦しさや痛み。これは「君の名は。」を観たときにわたしを虜にして劇場に足を何度も運んだけど、そういう意味ではこの作品もすごく好き。
そしてラストに残る苦しさ、哀しさ、それゆえの美しさの余韻はやはりこの作品が大きい。また観たい。
エピソードの順を逆にしたらより完成度高いかも
最初の引き合う純粋な二人の初恋はとても素晴らしい出来であった。特に最初の桜景色からラストの雪景色につながる転換、特に列車の連結部の細やかな動きなど相変わらずの素晴らしい新海タッチに感動した。2番目の種子島のシーンも悪くないが、ある1つの片思いが描かれ、展開がやや寂しい感じがする。それに宇宙ロケットを巡る面白さはあるが何か全体が上手く調和していないと感じるのは私だけかな。3番目は初恋の人との哀しくなるすれ違いと言えようか。
スピードがキーワードであるがストーリーが私のこころの中で上手くつながらない。勝手な思いを抱いた。「順序を逆にしたら、見終わって悪い気がしないんだけどなあと…。」
人によりけり
ちょうどよく唖然とさせられた
生理的嫌悪感が生じる。取急ぎ断るが、もちろん物語の内容についてではない(後味の悪さで有名らしいが、正直よくある別れの話にしか思えない)。何が酷いか、それはこれが"映画"とは思えないからだ。
一番それを象徴しているのは多用されるあまりに饒舌なモノローグだ。わざわざ言わなくてもいいようなことまで喋っていて、これはラジオドラマなのかと思ったほどだ。それは音楽についても同じことで、第三話"秒速5センチメートル"での"One more time, One more chance"に至っては乾いた笑いしか出てこなかった。
思い人に会えないもどかしさも、思いが届かない/届けられない痛切も、思いを吹っ切れない虚ろさも、すべて言葉にされたら薄っぺらでしかなくなる。そこから零れ落ちるものを掬いとるのが映画ではないのか。
美しく繊細な描写だが、不自然な設定
風景や自然描写が美しい。
ただ、見ていてリアル感に欠けるので、突っ込みどころ満載である。
中1男女の淡い初恋は素敵なのだが、両親の影が全く不在なのが不自然。大雪の夜に誰も居ない田舎の駅で、男女の子どもが深夜までいれば、駅係員は心配すると思うのだが、お気をつけくださいなどと大人への対応しかしない。
小屋で二人が夜明かしするのも、親が心配するので迎えに来て家に泊まらせるなどすると思われるのだが、親や家庭は全く出てこない。
昭和の大学生くらいの恋愛だと思って見ると良いだろう。
主人公の男子は、初恋を引きずり、関わる女子の気持ちを傷つけていく、ダメダメ男子。その思いにすら自分で気づけずに、風化してから気づき仕事を辞める。
理屈っぽいわりに、おセンチでどこか狡さに似た無関心があり、男子に魅力と共感を覚えない。
第2章で、男子に心を寄せる女子の親も、進路相談を教師をしている女子の姉に丸投げ。人ごとである。
特に家庭崩壊などがテーマではないのに、とても不自然。
自然描写以外は、イヤなストーリー。
新海クオリティ ソノ2
19年前の作品
桜の花びらの落下速度なんてものを気にするほどの繊細さがなければこの作品は産み出されないものなのだろうとしみじみ思う。
三部構成になっているストーリーは、それぞれが単体というより、時系列的な流れでその時々の出来事を作品毎の主人公目線でフォーカスしてみせている形になっている。だから視点の違いで感情の流れを多角的に表現演出している故、主人公の心の機微が洪水のように溢れ流れるように移入してくる。受け止めきれない程の切なさを抱えたまま、ラストストーリーへ進み、そして最後のBGMが山崎まさよし『One more time,One more chance』と共に短いカット割りで過去から遡り、現在のお互いの生活状況、特に男の子の純粋な気持ちから大人になっての疲れやさぐれた心情を映し出す印象的シーンの演出・・・ 涙腺が悲しみを押し出すように決壊していくのを食い止める術はない。 しかもこの作品、あれだけ二人の男女がすれ違いながらも小学生から大人になるまで想い続けていたのに、最後は結ばれないという哀しいオチになるところが、より一層の切なさを奏でているところが秀逸であり、フランス映画の薫りさえ漂う。
多分、『君の名は』は、アナザーストーリーかパラレルワールドとしての物語なのかもしれない。そういう意味でもこの監督の過去作品は全て繋がっている希有な制作方法なのだろう。
相変わらずのヌケの良い広大な空と光と雲のカットは言うまでもない。
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