「クリストファー・ノーラン監督に拍手!!」ダークナイト ライジング Takapyさんの映画レビュー(感想・評価)
クリストファー・ノーラン監督に拍手!!
クリストファ-・ノーラン氏が、この『新バットマン』シリーズの監督に抜擢されたとき、
これほどまでの3部作を誰が予想しただろうか。
いろいろな監督やキャストの名前が浮上しては消えるのを繰り返した。
クリストファ-・ノーラン監督の名が浮上したとき(当時は代表作品がメメントぐらいしかなかった。)
はっきり言って、みんな心配した。
時間が逆さまに流れないことを祈る。とかね(笑)
今では、それが笑い話にしか聞こえない。
僕たちは、すぐに『バットマン ビギンズ』により、その心配は無用だったと思い知らされる。
彼が構築したバットマン&ブルース・ウェインの物語は、
誰にとっても共感できるものだった。
真のヒーロー像を、えぐり出す。
その深さや重厚感は、そのままに、わかりやすい一貫したテーマを描きだした。
ただ、ただ、難しくなりすぎずに、エンターテイメント性も持ち合わせていることが
誰にでも響きやすいシリーズになっている重要な部分だろう。
もちろん、クリスチャン・ベイル無しでは無理であっただろう。
彼は、複雑なこの主人公ブルースウェインの正義に似た怒りや陰を見事に演じている。
その奇才と呼ばれる才能を存分に押し出し、観てすぐに、それとわかるティム・バートン版の2作品。
エンターテイメント性を全面に押し出すことで、娯楽作品となったジョエル・シュ-マッカー版の2作品。
そして、ダニー・エルフマン氏が作りだした有名すぎるテーマ曲。
これを超えることは、かなりの難しさだった。
チャレンジだっただろう。
しかし、今やバットマンと言ったら、
このノーラン版の3部作を指す言葉になっている。
あらゆる登場人物が登場する中、ぜったいにブレない。
どんな怪人や、どんな悪党が出てきても、これは孤児となった億万長者ブルース・ウェインの物語だということ。
確かに、前作で故ヒース・レジャーが怪演したジョーカーや
今作でもトム・ハーディが演じたベインは
これまでのアメコミ、いや映画にはないほど、強烈な悪役キャラであるに違いない。
しかし、それに惑わされず、それを糧とし、ブルース・ウェイン(バットマン)の闘いと苦悩、絶望、そして新たなる希望を描いている。
ここまで打ちのめされるヒーローも、なかなかいないだろう(笑)
物事は、なかなかうまくはいかないものだ。
何度チャレンジしても、決して報われることなどない。
だからこそ、人は、チャレンジしなくなり、あきらめることを知る。
それが幸せなのか。不幸せなのか。
それは、誰にもわからない。
自分が決めることなのだから。
正義感、価値観、善と悪、信頼、人間性…
このシリーズによって、打ちくだかれた人も多いはず。
それでも、人ははい上がる。
何十年後…
またクリストファー・ノーラン監督には、この伝説のシリーズを超える、新たなるバットマンシリーズを作りあげてほしいものだ。
素晴らしいシリーズをありがとう。
このシリーズに出会えたことを誇りに思う。