「伝説が、壮絶に、終わる」ダークナイト ライジング オレさんの映画レビュー(感想・評価)
伝説が、壮絶に、終わる
ジョーカー事件とハービーデントの死から8年。デントの罪を被り姿を消したバットマンの前に影の軍団のベインが現れる。
ダークナイトの続編である。相当なハードルの高さであっただろう。圧倒的な存在感のヴィラン亡き今、どんな結末を迎えるのか。そう思われても仕方ないほどの期待値があったはずだ。
そんな中でこれほど素晴らしい作品になったのはジョーカーというヴィランに頼らずに、ヒーローとしてのバットマンを堂々たる主役として復活させたことだ。
ビギンズでブルースが言った
「悪が恐れるシンボルを作りたい」
その象徴として産まれたバットマンが人々の心にヒーローとは何たるかを刻み、最後のゴードンに言った
「ヒーローはどこにでもいる。それは上着を少年にかけ、世界の終わりではないと励ますような男だ」
に繋がる。ここのバットマンとゴードンの会話がいい。ゴードンは前シリーズまで事件現場チラッとで見かける程度の存在でこんなにもシーンに取り上げられたことはなかった。幼少期のブルースを励ました張本人でバットマン誕生のきっかけを生んだ人物という新たな設定がここですごく活きる。今のところ最高の名セリフ。演じたのがゲイリーオールドマンというのも大きいが笑。
誰もがヒーローになれる心を持っていると説いたバットマンの行為が最後のブレイクことロビンの行動にも繋がったのである。
もちろんそれらが引き立てられたのは他の人物らも活躍していたからである。
今回のヴィラン、ベイン。なんなんすかその体笑、MADなマックスが小柄に見えるほどのキン肉マンを演じるはトムハーディー。ジョーカーと違い、純粋に強い。腕っ節の強さなら過去最強だ。Mr.フリーズのネタキャラを一掃する強烈なヴィランだった。
そして目の保養キャットウーマンことアンハサウェイ。さらりとアクションこなしてたけどそいえばそんなイメージないなあの美形に黒タイトスーツでもう本当にありがとうございます笑。バットモービルで疾走するシーンがたまらなく好きです。
そしてジョセフ演じるジョンブレイク。これはずるい笑。まさにもう1人の主役最後に荷物を受け取り、バットケイブに辿り着くラストシーン。なんとうまい表現か、一言も発してないのに彼が新しいバットマンとなることを予感させる素晴らしいエンド。実は裏でブルースは生きている?と同時に観客に匂わせるエンドも素晴らしかった。
そう3作全てにおいてラストシーンが秀逸なのだこのシリーズは。ビギンズではジョーカーのカードだけですごく高まるし、ダークナイトは史上最高のラスト。オチがいい映画はだいたい素晴らしいそれが3作続くというのがすごい。ノーラン様ありがとう。
決してコスプレヒーロー映画ではなく、ヒーローの本質に迫ったバットマンの「復活」を描いた作品。
1回目2015年8月3日(月)
2回目2016年1月30日(土)@新文芸座ダークナイトトリロジー