「ロボットの出番は少ないが・・・」花の詩女 ゴティックメード tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)
ロボットの出番は少ないが・・・
この作品については事前情報を何も知らず、たまたま映画案内サイトで発見し、永野メカを大スクリーンで見たいという思いだけで劇場へ足を運んだ。
結果としてはロボットの戦闘シーンよりベリンとトリハロンの「ボーイ・ミーツ・ガール」に重きを置いた話になっているが、70分という時間では主題を絞らざるを得ず、それが作者の意図なのだろう。ただできればカイゼリンとボルドックスだけでなく、巨大キャノンを持つ飛行変形GTMとの戦いを少しだけでも観たかったというのが正直なところだ。しかし1エピソードの描写だけでオチのつかない終わり方になってしまうのではないかと思っていたが、ラストでの急ぎ足の感は否めないながらも一応のまとまりをつけているのは好感が持てる。
劇中ラブの描写が作為的であまり好きになれなかったが、成獣になってからの変貌に驚いた。これはシワルベの変形とも共通するもので、「そうなるならもっと早く見せてよ~」と言いたくなる。
この作品での巨大ロボや動力源の呼称は「FSS」とは異なっているので、関連しているのかどうか私には分からないが、「1500年後にまた会おう」という言葉からすると、つながりがないとも言い切れない。これは作者のみぞ知るというところだろうか。
エンドロールが延々続くと思ったら、更にそれが二重構造になっていて、劇中の伏線が文字通りの「花の詩女」へと結実していく過程を観せてくれる。驚いたのはその間席を立つ人が皆無だったこと(私はどの作品もエンドロールまで見ることにしているが、普通はその間に席を立つ人が多いものだ)。これは好きな作品世界に浸りきろうというファンが多かったためだろうが、私も久しぶりにファンとしての一体感を感じることができて嬉しかった。