蛍火の杜へのレビュー・感想・評価
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尺が短いが、やはり物足りなかった!!
不思議な男性との出会いを描いていますが、やはり尺が短いので、この後の話が欲しかったと思います。
棒一本
6才の夏の日、ホタルはギンという妖怪に出会う。
「デートみたいですねー
色気の無いデートみたいですねー」
一本の棒を2人で握りながら階段を降りる。
それが距離。
探しに来たおじいちゃんとはしっかり手を繋げるのだ。
少女はギンの事を考え、早く行きたいと逸る気持ちで眠る。
出迎えるギン。
それはホタルの初恋。
お面で顔は見えないが、そこがミステリアスで儚げな感じと時々からかうように言葉を出す。
うーん、魅力的。
妖怪たちはギンをとても大切にし決して触れないように忠告していく。
そこで、他の妖怪たちはギンの顔を知っているのはずるいと感じる。これは嫉妬ですね。
そして、「ギンに触れたらいけない」から「絶対私に触れないでね」に変わる。もうこれは少女の恋。
自分の前から決して消えてほしくないのだ。
彼らは何気ない夏の日々を共に過ごし、来年、また来年と約束をする。
少女の恋というのは恐ろしいもので、本当に毎日彼の事を考えてしまう。
会えない冬を心配し、次の夏を想う。
同クラ男子と手を繋いでもときめかない、彼女が手を繋ぎたいのはギンだけ。
高校3年生の夏、ギンに妖怪の夏祭りに誘われる。
そして彼の秘密を打ち明けられる。
赤ん坊の時に捨てられて妖術で育てられ、その不安定な身体で人間に触れられると消えてしまう。
しかし、ホタルはそんなギンに恋をした。触れると溶けて無くなる雪のような彼と消えない様に大切な夏を過ごし、恋を育てた。
そしてギンもまたその冬の雪の間、想いを募らせる。
「飛びつけばいい、本望だ」
この言葉でギンもホタルも2人の夏の終わりが近づいているのに気づいていた。想いは溢れても同じ時を歩めない。
夏祭りの日、布で2人を繋ぐ。
初めて出会った日、一本の棒で妖怪と人間を繋いだように布を手首にくくりつける。恋人として。
「デートみたいですねー
デートなんですねー」
わたし泣くよ…
触れられない手、お面越しのキス。
突然おとずれる別れ。
心の準備もできていないよ!叫ぶわたし…
雪のように白く消えていくギン
「来いホタル、やっとお前を抱きしめられる」
悲しむことなく、満面の笑みで抱き合う2人。
何年も触れられなかった2人。やっと叶う願い。
実際、遠距離恋愛の大好きな相手と手も握れないとか、普通に辛い。
涙をするホタルに声をかけるのは妖怪たち。ありがとうと。親に捨てられ、人間から愛され抱きしめられるという事は本当にギンにとって幸せな事で妖怪たちには叶えられない思いだったから。
いなくなったギンをホタルは忘れない。
その場所でその森の近くで生きていく。
きっとギンも忘れない。
EDもとても良くて、最後まで泣きっぱなしになる。
公式HPのトップ画の2人の様子がとても微笑ましい。
いまのアニメ作品の気合い入りまくりの作画やCGにはとても叶わないクオリティだし、キャラクターもたった2人といろいろと劣るところは大きいが、1人の少女の夏のように暑い初恋のストーリーと思えばシンプルでとても胸を揺さぶられる。
自分の初恋を思い出す作品。
初恋は叶わないとはよういうね〜
触れたら消滅
6歳の女の子蛍が独りで森に入り迷子になる、良い子は真似をしないでね。
人に触れられると消滅するという森の怪人ギンに助けられた蛍は何故かギンのとりこになって高校生になるまで毎年夏休みには森に行ってギンとデートするという奇妙な恋愛ファンタジー。手も握れない妖怪にぞっこんにならなくても学校には蛍を気遣ってくれる同級生が居るでしょう、ずっと触れることを自制してきた蛍が何故ギンに抱き着いたのか、単なる感情の高ぶりか、はたまた叶わぬ恋に終止符を打ちたかったのか・・・。
創作動機がわからない奇妙なファンタジーでした。
【”本当は抱きしめたいけれど、何があっても私に触らないでね。”毎年の夏出会う、不思議な変わらぬ少年ギンと、成長する蛍との切ない恋物語。】
■夏休みに祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・蛍は、ある日、妖怪が住むと云われる“山神の森”に迷い込んでしまう。
途方に暮れる蛍を助けたのは、狐の面を被った不思議な少年・ギンだった。
それ以来、成長する蛍は、毎年夏には会った時のままのギンのもとを訪れ、徐々に2人は惹かれあっていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作の様な、ノスタルジックで切なくも儚い恋物語は、アニメーションならではなのかなと思う。
・作品の随所で現れる、“山神の森”に棲む妖怪たちも、邪悪なる存在としては描かれず、蛍とギンとの恋の進展をハラハラ見ており、心配そうに”ギンに触らないでね。”という姿も、良い。
・途中明かされるギンの哀しき生い立ちの設定も秀逸だし、冬、雪が降る中ギンが蛍に貰ったマフラーを巻いて、一人空を見上げている横顔も切ないが、詩的なシーンだと思う。ギンは一人で、毎年の冬、蛍を想いながら過ごしていたのだろうな。
<ラストは切ないが、それでもギンは毎年の夏訪れる幸せな時を一年待ち続け、漸く蛍と抱き合う事が出来たのだから、幸せだったのではないかな、と思った小品である。>
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