「勝どき橋をパカ〜ッとせよ!」こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
勝どき橋をパカ〜ッとせよ!
ご存知、秋本治の長寿漫画。破天荒な巡査長、両津勘吉が巻き起こす騒動ばかりの日常。
両津に香取慎吾が扮してTVドラマ化されたのだが…
TVドラマ版は全く興味惹かれなかった。と言うより、嫌悪感すら抱いてしまった。
香取はハットリくんや西遊記や座頭市を演じ、オリジナルファンから叩かれ、そのクドい演技には辟易。この両津も然り。
香取が演じる両津は両津でなく香取であり、オーバー演技をすればするほどイメージがかけ離れていく。
案の定、香取勘吉はまたもや叩かれ、視聴率は低迷。そんなバッシングの中、まさかの劇場版。
さて、その劇場版は…
まあツッコミ所満載である。
漫画っぽい言動・描写は百歩譲るとして、突然の警察庁長官の孫娘誘拐事件には呆然。
明らかな「踊る」の真似事であり(サブタイトルがそれを物語る)、サスペンスも全く盛り上がらない。
本来ならうんざり!のレベルなんだけど、この映画には救いがあった。
人情映画としての醍醐味である。
ある日、小学校の頃の幼なじみ・桃子と再会。それは両津にとっても幼き淡い恋の思い出で、イイ女になった桃子に一目惚れ。所帯を持つ妄想までする。
ここら辺、某柴又長寿映画を彷彿させ、ニヤリ。会社も同じ松竹。
でも桃子は突然居なくなった昔の男にまだ未練があり、最後、両津はその為に一肌脱ぎ、あえなく失恋。まさにあの映画!
その間、誘拐サスペンスが割り込んで作風を乱してしまうが、この人情劇のお陰で思いの外そんなに悪くはない印象を受けた。
最も、誘拐事件には桃子が思わぬ形で絡み、事件の犯人にも泣かせるエピソードがあって、決して蛇足ではないのだが、人情劇一本に絞った方が良かった気も…?
ツッコミ所は多々あれど、「R○○KIES」や「花○○男子」みたいなファン祭り劇場版と比べれば、全然見れる。
ラストの両津の「わし、ずっとここに居るからな」のセリフが胸に温かく染みる。
葛飾の下町には、寅さんや両さんの人情が息づいている。