ドラゴン・タトゥーの女のレビュー・感想・評価
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脇の存在が盛り上げる、スリリングなメロドラマ
久しぶりに、2時間38分を長いと感じずに観ることができました。フィンチャー版、さすがです。(ちなみに、私は原作を読まずにスウェーデン版を観て人物相関が追いきれなくなり、原作に立ち返ってから物語にハマった輩です。フィンチャー版は、読んでいなくてもかなり楽しめるのではないでしょうか。)
何より、ミカエルと男女関係にある、ミレニアム誌の編集長を演じたロビン・ライトがいいです。冒頭の登場からリスベットとは対極の存在感を十二分に放っており、ミカエルとリスベットの関係を、よりスリリングに見せてくれます。
パソコン操作に若干ぎこちなさがあり、あくまで紙媒体ベース=メモを取りつつ膨大な資料の山と格闘し、インタビューを重ね、足で稼ぐのが身上なミカエルと、ハッキングに盗撮、縦横無尽のネット検索等々を駆使し、黒い手袋もはずさず、相手との距離を厳守しながらリサーチを進めるリスベット。人とのかかわりも(一見)対照的な二人の接近とすれ違いを、もどかしくもテンポよく描き、飽きさせません。身も凍る手段で後見人から食費を得ていたリスベットの目前に、温かな朝食と皿洗いつきで(!)ミカエルが登場するくだりは心憎いばかりです。サスペンスというより、今どき貴重なメロドラマと言ってもよいのでは、と思いました。リスベットと年齢が近いミカエルの娘の存在も、二人の関係をを近づけ・壊すきっかけとして、物語を面白くしていました。
リスベットの繊細かつ豊かな表情は言うまでもなく、ミカエルの独特なメガネの掛け方といい、伏線を節々で残した物語といい…続編を期待せずにはいられません。キャストもスタッフも忙しそうですが、何とか続投で三部作にしてほしいものです。特に、「見るからに…」な後見人の今後に期待しています!
リスベットのキャラ作りが 小説のイメージ通りにかっこいい。 眉毛を...
リスベットのキャラ作りが
小説のイメージ通りにかっこいい。
眉毛をそり上げ、
いかついピアスにドラゴンのタトゥー。
世の中の理不尽に対しては、
納得いかないことにはあらゆる手段で抵抗する。
大富豪の血族のハリエットの失踪に対して、
雑誌記者のミカエルと、
リスベットが共に事件の謎に迫る。
ミカエルとリスベットの正反対キャラクターが、
お互いの魅力を引き立てあう。
ミステリーのストーリーとして、
失踪した大富豪の血族のハリエットが過去に何が起きたのかを調査するのだが、
調査しつくされた事件を、
40年経って解決へ向けて動くさまはドキドキする。
ただ、
原作があまりにも素晴らしく、
重厚なため、映画でまとめると、
原作を知らないと流れについていくのが難しく感じると思う。
ミステリー作品の映画化の難点ではあると思う。
ミステリーのストーリーを楽しむのは
小説の方が良いと思うが、
原作のイメージを損なうことなく、
リスベットのキャラクターを作りこまれていることに、
原作を読んだ人間には喜びを感じる。
今度はスウェーデン版の映画もぜひ見てみたい。
スウェーデン版は、
ジャケットで見る限り、ハリウッド版よりマッチョな女性感を感じる。
ぜひ見比べてみたい。
人物も舞台も暗くて綺麗
北欧ミステリーについて本作以外に知ってるのは特捜部Q
と湿地くらいなのだが、美しい自然や街並みの一方、冬は日照時間が短く暗い影がさす舞台に惹かれる。
ストーリーは言うまでもなく面白い。原作読み直すかな。
犬神家やカラマーゾフの兄弟じゃないが、一族の人物が多過ぎてわけわからなくなるところは頑張らないといけない。
細かい描写で真実を辿っていく感じが好き。
007のダニエル・クレイグが好きすぎるが、こちらの役の彼も良い。方向性は違うが使命感に満ちて、女性にモテるところは同じだが、優しくて弱さが出てるこのキャラクターは魅力的。
もちろんリスベッドも素敵だ。ルーニー・マーラも頑張っている。でも150分であってもそのキャラクターの魅力を伝えるには足りないのかなという気がしないでもない。原作三部作の一作目だから仕方ないのかもしれないが。
個人的にデビット・フィンチャーの作品は大好きなので、これもシリーズ化して欲しかった。
でもこの一作だけでもありがたや。
面白いのだから。
ちなみに色んな映画あるけど、忘れられないオープニングNo. 1作品かも。
なるほど深い!! って思う部分あり
リスベットがハッカーしたり戦ったり変装もして能力が高い
色々な角度から楽しめるミステリーサスペンス
最高のエンタメ
この作品の秀逸さは誰もが感じるだろう。
その要素は多岐にわたる設定だと思うが、まずタイトルを表現しているのがリズベットであり、一連の事件をジャーナリストのミカエルが記事にしたタイトルでもある。
しかし、この作品の中ではミカエルが書いた記事のタイトルは描かれていない。
第4作で初めてタイトル=ミカエルの記事のタイトルだとわかる。
そして、ミカエルの視点がこの作品の中心ではあるが、実際の主人公であるのはリズベットであり彼女の少し歪んだ人生と特質した性格が非常によく描写されている。
物語は結構複雑で、初見では面白さだけがクローズアップされ詳細部分が拾い切れない。
この作品から第2作と3作を想像するのは不可能だろう。
さて、
スウェーデンを舞台に繰り広げられる物語の壮大さを、超大富豪というスケールで描いた設定は見事だった。
ヴァンゲル一族の資産 広大な敷地と屋敷と親族の数々。
その依頼者の長老が唯一心残りだったのが、40年前に失踪したハリエットの謎を解明すること。
忽然と消えてしまった彼女の行方というとても人間らしい依頼内容もまた、大富豪という反面の素晴らしコントラストだった。
冒頭、ミカエルは裁判で負けた。
にもかかわらず長老が彼を指名したのは、その調査能力と真実を追求する姿勢だった。
「わしの心残りの調査を依頼するには、いったい誰が適任か?」
その理由もまたこの作品を際立たせる材料だろう。
超大富豪という金持ちは、その創始者は、その考え方から平民とは違うようだ。
この長老から始まった大成功の陰にある思惑
その特質した片鱗 ミカエルを指名したことで伺えるのもまた物語に深みを与えている。
ミカエルはこの物語のクロニクル的存在だろうか。
どん底から思わぬ依頼を受けることになるが、その結果は事件の謎を突き止めることに成功する。
少し面白いのは、ミカエルはミレニアム誌の共同経営者エリカと不倫関係にある。
そしてリズベットとも関係する。
この部分が日本人的ではなく、女性関係と人間的誠実さとは関係ないのかどうなのかわからないが、それは欧米人の「分けて考える」思考なのかもしれない。
ミカエルを悪い人物だとは思わないが、そういう点が人間らしさとして表現されている。
彼の視点、目的は当然事件とそれを記事にして汚名返上することだ。
ミカエルにとってリズベットという女性は信じられないほどの知性と過去と持っていて、彼女との出会いと一緒に仕事をするのは強烈だったものの、余りにも規格外なことが現実離れし過ぎていて、「ひと時の出来事」としてしか感じられなかったのかもしれない。
リズベットが最後に革ジャンを捨てるあたりにそれを垣間見ることができる。
この余韻もまたこの作品の秀逸さを表現していた。
そして、リズベット
彼女の生き方というのか生き抜いてきた過去とその方法は、形を変えた「市子」のようでもある。
その規格外の生き様という設定は見事でしかない。
ここに「羊たちの沈黙」の型を感じてしまう。
物語の本筋はあくまでハリエットの失踪の謎を追うものだが、視聴者の視点はずっとリズベットから離れない。
次に彼女が何をしでかすのか見逃せない。
そのリズベットでさえ見抜けなかったパレードの写真の一コマ。
この事件は過去のもので、リアルさは過去にしかなく、表面上の写真などの資料を探ることしかできない。
失踪の謎
それ自体は視聴者にとって何らかの期待を示すものは無い。
しかし、
押し花という形によって、ハリエットの生存を期待する。
このことも物語に、依頼者の想いに寄り添っている。
この寄り添うことこそ、作家が示したかった人間性なのだろう。
失踪の謎
たとえ死んでいたのだとしても、その真相を知りたいと思うのは至極当然で、金持ちであれ庶民であれそれは同じこと。
長老はまさか生きているなどとは考えもしなかったのだろう。
あの場面の救われたような気持ちこそ、物語としての最高の形だろう。
このパッピーエンドこそこの作品の最も良かった点だろう。
それに比べて主人公リズベットの複雑な心境は、この物語をシリーズ化へと移行させる最高の手段だろうか。
さて、、
初回作もシリーズも、すべて性的異常さが挙げられている。
この問題はスウェーデンの社会問題なのだろうか?
女性に対する暴力と企業の腐敗
これを作家が取り上げたかったのかもしれない。
しかしながらこの作品は面白い。
ミステリーとサスペンスに加えて、リズベットの秘密が特に面白い。
この作品のダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ の二人が特別な存在だった。
本当に面白い作品だ。
謎解きと暴力とエロス
少女のときのトラウマ!タトゥーのように 哀しき過去と共に生きる覚悟を決めた女!!
未解決な過去の失踪事件の真相を究明、
突き止めていく、状況が痛切に描かれていました。リスベット・サランデルが
過去と向き合い忘れられない少女時代を今も男性に対して感じているように思えるストーリーでした。
ダニエル・クレイグ演じるミカエルは
ジャーナリストでありながら、仕事の依頼を
任務達成に向かうような都会的かつ
男っぽさを感じるアクション、捜査を見ることができました。
空港で変装するリスベット・サランデルは、
様々な顔、いろいろな側面を持ち合わせる
女性のダークな魅力がありました。
バイクで走り去るラストシーンは、
リスベットがミカエルに父親がいたらと懐う
悲しみを背負いながら、生きていく女性の
繊細な心の傷みと独りでいる強さを感じ取りました。
ルーニー版リスベットの儚さ
デヴィッドフィンチャー版「ドラゴン・タトゥー」です。
プライムに上がっていたので久しぶりに観ました。
当時ダニエルクレイグと、ルーニーマーラの起用もインパクトがありました。
オープニングの「移民の歌」はちょっと軽いけど、bgのハードコアな映像がフィンチャーぽくて良いですね。
こちらもじっくり見せるサスペンスな作り。
オリジナルに漂う陰鬱は抑えめに、スタイリッシュさを増しています。なのでキャッチーで見易い作りになっていると思います。
二人が共闘して進める過程なども、静かなのにテンポが良かったですね。
そしてやはり何と言ってもルーニーですよ。
ハリウッドリメイクで一番印象的なのは、彼女のキャラクターでしょう。
より原作の設定に近いであろう容姿、空虚な空気、ファッションからバイクに至るパーツ、作品のアイコンとしてより強烈な印象を残していたと思います。
それとキュート。オリジナルよりも少し弱く、少し人間味を持たせているのがうまいですね。
オリジナルと違うそのラストも、ルーニー版リスベットの儚さをよく演出していたと思います。
このリメイクはオリジナルの世界を壊さず、かつ新しいアプローチも見られとても面白かったです。
TaToo女リスベットに刻まれた心のタトゥーが垣間見え、泣く
リスベットの心境が変化を事件解決を通して描いている 推理部分は細か...
リスベットは ミカエルの調査の助手となる。 そこから2人は40年前の事件の真相に確実に近づいていくのだった。 徐々にお互いを信頼していく2人。 ラストシーンは 切なくて胸が熱くなる。
動画配信で映画「ドラゴン・タトゥーの女」を見た。
劇場公開日:2012年2月10日
2011年製作/158分/R15+/アメリカ
原題:The Girl with the Dragon Tattoo
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ダニエル・クレイグ(ミカエル)
ルーニー・マーラ(リスベット)
クリストファー・プラマー(ヘンリック・ヴァンゲル)
スティーヴン・バーコフ(ディルク・フルーデ)
ステラン・スカルスガルド(マルティン・ヴァンゲル)
ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン(ニルス・ビュルマン)
ベンクトゥ・カールソン(ホルゲル・パルムグレン)
ロビン・ライト(エリカ・ベルジェ)
デヴィッド・フィンチャー監督
ミカエルはジャーナリスト。
ある企業を告発した記事の訴訟で敗訴。
そのことで大金と名誉失っている。
ある日スェーデンの巨大企業の元会長から40年前に起きた少女失踪事件の調査を頼まれる。
リスベットには23才になった今でも後見人がいる。
過去に彼女が起こした刑事事件のためだった。
リスベットは新しい後見人から度々性的虐待を受けたが、これに強烈な反撃をする。
映画がはじまってから70分後に、リスベットは
ミカエルの調査の助手となる。
そこから2人は40年前の事件の真相に確実に近づいていくのだった。
徐々にお互いを信頼していく2人。
ラストシーンは
切なくて胸が熱くなる。
同じシリーズの他の5作品も見たくなる。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
アートなサイコサスペンス
いつか見なければ、と思いつつようやくの鑑賞。
ハードな描写が実に効果的、スパイシーと効いた作品だった。
それでもグロくならず、ギリギリ見られる映像美は、なかなかモノスゴイモノを見た気にさせてくれる。
原作はもう半世紀ほど前のベストセラーだとか。
閉所のドメスティックで湿ったサイコ加減に、鑑賞しながら横溝正史や松本清張を思い出してしまった。
主人公、二人視点で両側から結末へ収れんしてゆく凝った謎解きや、どんでん返しは絶妙。
ジリジリ、じわじわ加減も長尺ながらじれったく感じさせないから、これまたお見事。
もちろんそこには主演のお二人の力量も大きいと感じる。
特に、互いの関係の変化や、リスベットの私的な部分というサスペンスの筋書きには直接影響しない箇所が、この作品をただの謎解き探偵ゲームから文学的なものに押し上げているな、と美味しく鑑賞できた。
難点があるとすれば、日本人の私には気を抜くと、
誰が誰だかごっちゃになりそうになるというところ。
ところで、リスベットが地下鉄でスリにあった後、奪い返したバックと共にエスカレーターを尻で滑り降りるのは、スカイフォールとまんま同じアクションなのですが、ナニカ意識されてたのかしらん。
そんなリスベット、見るほどに「攻殻機動隊 arise」の少佐に見えてしかたなく。
唯一、ホッとできたのは、なにもかもスペックがフツーな人を演じてるダニエル・クレイグでした。
コンビ再びの続編などを期待してしまう次第。
追記、「プロミシング・ヤング・ウーマン」と根底は似てる
素敵な映画だね・・
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