「ビジュアルにどっぷり浸かれる」ドラゴン・タトゥーの女 ソロモンさんの映画レビュー(感想・評価)
ビジュアルにどっぷり浸かれる
158分と長めの映画ですがめちゃくちゃ刺激的な映画でした。全編通して暴力的なんだけどどこかスマートな雰囲気でそれが最後までまったくぶれない映画でした。
まずしょっぱなのOPはものすごくかっこいい。まさにデビットフィッチャーさん監督作品といった感じで「ファイトクラブ」で見せたあのOPのすごさはこの作品でも健在です。
しかしこの映画はビジュアル面だけが魅力ではないのがすごいところ。なんといってもルーニーマーラーさん演じるリスベットとドラマがいい。見た目はかなりのヤンキーなんですが、徐々に現れる感情や乙女心は思わず彼女に感情移入させられます。時より思わぬ行動を取りますがなぜか憎めないのは監督の力量なんでしょうかね。
ミカエルに手を貸した理由があまり語られなかったのですが、おそらく殺された女性への思いやりと女性に暴力を振るう男どもへの怒りからなんだと思います。そう考えるとますますこのキャラに魅力を感じます。
ミカエルの正義感があり心優しいところもよかったです。ダニエルグレイグさんは最初はちょっとダンディーすぎるんではと思いますが、硬派で心優しそうなところはミカエルには必要不可欠だと思えたのでまったく違和感がありません。意外とジェームズボンドに見えなかったですし(笑)
ただミステリー部分は少しピースを集める様な面白さがなかったのは残念かなと思います。ですがテンポが非常によかったため真相に近づくにつれて緊張感が出ていたのでこれはこれでとてもよかったです。
ミステリー映画にしては非常に変化球だと思いますが、リスベットとミカエルの物語はとても深いものです。表現はきついですが男の醜い部分を見せるという面では決して無駄ではなかったと思います。
2012年のベスト候補に余裕で入るぐらい個人的にはすごい映画でした。