「冷気+殺気=VERYGOOD!」ドラゴン・タトゥーの女 りりーさんの映画レビュー(感想・評価)
冷気+殺気=VERYGOOD!
スウェーデン版を見た時に思ったことは、
衝撃的だったけれど、素晴らしい作品。
その雰囲気が、生きているかどうか心配だったけれど、大丈夫。
フィンチャー監督、素晴らしい。
根底に流れているのは、女性への差別や蔑視・暴力、それと権力の横暴さ。
まずは、オープニングで、唸った。
予告編で何度となく聞いた、「アアア~アッ~」という「移民の歌」と漆黒と銀色の画面。
スタイリッシュで洗練された画像は素晴らしかった。
そこから始まるミステリーに、期待はいやでも高まる。
デヴィッド・フィンチャー監督は、とても繊細で美しい世界を作り上げたと思う。
冷気が殺気となり、見る者の心に冷たく鋭く突き刺さる。
ダニエル・クレイグのミカエルも良いが、リスベットを演じるルーニー・マーラがとても良い。
アカデミー賞主演女優賞にノミネートですか。
納得。
リスベットが背負う暗い過去の説明の一つが、スウェーデン版では後見人との短いやり取りでわかったのだが、この作品ではなかったのが残念。
父とのことも。
リスベットへの感情移入が、しにくいのではないか。
暗い過去に傷ついてすっかり閉ざしていたリスベットの心に、ミカエルの優しさがしみ込んでかすかに心を開くという、甘美さもハリウッドらしくて良い。
また、こちらのリスベットは、あの短い髪を変幻自在に操って、色々な髪形を楽しませてくれる。
ヴァンゲル一族のたくさんの名前が一気に登場するので、ややこしい。
ミカエル制作の家系図をもっと見せてくれるとありがたかった。
残酷で非情なシーンもあるが、「どうだ、すごいだろ」という感じはなく、監督の手腕に唸る。
第2部・第3部にも期待大。
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